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『テラスハウス』東京編:第33~36話ーーホラー、コメディ、ロマンスの三種盛り贅沢展開へ

2020年03月17日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(c)フジテレビ/イースト・エンタテインメント

 『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に突如として現れたニュースター・新野俊幸の“奇行”が止まらない。


(関連:東京編初のカップル、愛華&トパスの卒業後の関係性は? 『テラスハウス』第34話未公開映像


 33rd WEEKにてついに東京編初のカップル(愛華×トパス)が生まれたものの、案外あっさりと交際が成立し、卒業のペースも早かったためか、強く印象に残ることはなかったように思える。というよりもやはり、そのあとに訪れることになるサプライズパーソンの存在が大きすぎたのだろう。33rd WEEK~34th WEEKで立て続けに3人の住人が新たに入居し、予想だにせず吹き荒れる新風。とりわけあの“モンスター”の登場によって、テラスハウスはホラー、コメディ、ロマンスの三種盛り贅沢展開に突入している。


■映画『ミッドサマー』的な“全部見える”ホラー
 34th WEEKにて新たにテラスハウスの仲間入りを果たした新野社長。退職代行サービスの会社を経営し、30歳と他のメンバーよりも少し年上なことから“しっかりしたお兄さん”的なファーストインプレッションを抱かせる。ゲストで訪れた女優・永野芽郁が「社長がダメになっていくところが見たいです!」と言うほどには、“マトモな人間”に見えていたに違いない。


 その真の面白さが開花するにはほとんど時間を要することはなかった。34th WEEK、OL兼グラビアモデルの吉田夢と、大学生でモデルもこなす鈴木志遠が新たに入居。初めて会う前に「夢さんは胸が大きい」という情報を仕入れて、その一点のみに惹かれてしまっていた社長は、夢の帰りを待ち伏せすることに。この時点でもう視聴者は「怖いな~怖いな~」とゾクゾクしはじめるわけだが、そこから夢を巡る社長の恐怖の奇行は止まることを知らない。


 瓶ビールを手渡したかと思えば、初対面にも関わらず“濃厚な”間接キスを決め込み、その夜にはすぐさま「壁ドンで夢を落とす」と言ってみせる。他の女性メンバーもグイグイ食事に誘うものの、やはり夢にロックオンしてしまっているようで、同じく夢に気がある素振りを見せる志遠を警戒してか、ふたりでプレイルームに行った際には、出てくるまで部屋の前で待ち伏せしていた。ふたりが出てきた瞬間に、社長は夢だけをプレイルームに押し戻し、謎の酔ってるアピールの末、これまた謎すぎる腹筋運動を披露し始める。そのまま35th WEEKはまさかの腹筋ENDでドアバタンという、ある意味視聴者側の腹筋が崩壊する展開に。


 これでもまだまだ社長の快進撃は止まらない。クリスマスの夜に夢とのドライブデートに出かけた社長はリップクリームをプレゼントし、「塗ってあげる」と言っては不意に彼女の唇を奪ってしまう。「嫌ではない」という夢のまさかのリアクションもあってか、トントン拍子で事が運んでしまっているが、「(序盤の瓶ビール事件を見て)久々に怖いものを見ました」と悲鳴をあげた永野芽郁の言葉を借りれば、どう考えてもこれは「ホラー」ではないだろうか。


 しかも“瓶ビール”や“リップクリーム”を見せて先の展開を無意識に予想させてしまうあたり、不意に驚かしてくるジャパニーズホラー的な怖さではなく、現在大ヒット中の映画『ミッドサマー』が体現する「ずっと見えているのに(から)怖いホラー」と似た最新型の恐怖体験を視聴者に与えているからさらに怖い。「怖い」という感情だけでなく、次の“怖さ”を求めてしまうエンタメ性が溢れてしまっているのだ。もちろん夢がその言動を嫌がってさえいれば、100%この世に成立してはいけないタイプのホラーではあります。


■快と花のロマンス、社長のスタンダップコメディ
 35th WEEK。クリスマスイブの夜。社長が夢に腹筋運動を見せていた一方その頃、男子部屋では快が花を呼び出し、「気になってる」とついに想いを漏らす。すると花はいつものように顔を手で覆って照れを隠しながら、「今までは友だちだと思ってたけど……」「前の感情とは違います、はい……」と細切れになりながらも快に気があることを伝える。うまく言葉にできず平常心でいられない花が「ごめん、普通に喋んなきゃダメだよね」と言ったときの快の返答「いや、別に全然花でいていいよ」が全視聴者の心に突き刺さっただろう、一連の愛おしいやりとり。東京編イチの胸キュン展開を経て、花と快のロマンスが大きく盛り上がりを見せている。


 そんな快が次の一手を打つために水族館デートを計画していたら、社長が夢を連れて「ジョインする」とまさかの参加表明。このイベントは、社長主導の1泊2日京都旅行にまで発展し、社長の勢いはブレーキが付いていない車みたいに低下しない。もうこうなってくると、社長の行動はすべて“コメディ”であると捉え直したほうがいいのかもしれない。丸坊主にして気合いを入れる快に対して、スタジオでは、スタンダップコメディはもっと軽快な姿勢のほうがいいんじゃないかと苦言が呈され、「にぃにぃのスタンダップコメディが見たい」という流れに至っていた。


 「23年間の最高のデートプランを考える」と夢に向かって高らかに宣言する志遠の奮闘も気になりながら、やはり社長が体現するコメディ&ホラーな奇行の行方から目が離せないのである。(文=原航平)