介護や医療業界のブラックぶりを嘆く声は多い。キャリコネニュース読者からも、
「年間休日40日、20連勤なんてざらでした」(30代女性)
「残業代が一切なし。月1で会議に参加しなくてはならないが、もちろん1円も出ない」(40代女性)
「有休を勝手に消化させられる。贔屓人事が凄まじい」(30代男性)
といった声が寄せられている。以前、介護施設に勤めていた50代女性は「人手不足なのは職員を大切にしないから。自業自得、身から出た錆び」と業界の劣悪な実態を綴る。そこは高熱が出ても出勤させられる職場だった。(文:鹿賀大資)
「こんなに酷いブラック業界は見たことがない」と次々やめていく
かつて女性が働いていた職場は、休日出勤をしても時給の加算は30円のみ。ゴールデンウィークや年末年始でも変わらない。タイムカードはなぜか2枚ある。1枚は本人が早出・残業・休憩時間などを記入し、もう1枚は事務の方で書き換えていた。
「子育てが終わった女性や定年退職した男性が『自分も近い将来、受ける側だから』と優しい気持ちで勤務し始めても、最短2日、長くても3か月で次々と辞める業界です。辞められた人の多くは『こんなに酷いブラック業界は見たことがない』と口を揃えて言っていました」
また、認知症を患う利用者は力加減が一切ない。暴力を振るう利用者もおり、介護する側は命懸けだったという。特に力の強い若い利用者が集まる障害者施設は注意が必要だと警鐘を鳴らす。この女性の息子も認知症利用者から暴力を受けた一人だ。
「施設側は勤務中の事故にも関わらず、労災保険の手続きをしませんでした」
女性の息子は大学生の時にパート勤務として1年半、デイサービスとグループホームで働いていた。
「勤務中に認知症利用者から暴力を振るわれ、左足の筋肉が断裂しました。整形外科医に『大腿骨が骨折しなかったのは奇跡。診断書を出します施設の方に提出してください』と言われました。しかし、施設側は勤務中の事故にも関わらず、労災保険の手続きをしませんでした」
結局、息子は退職する形になった。現在、別の企業に勤務しているという。女性は「虎や熊、ライオン、シャチなどのお世話の方が、遥かに気楽で安全かもしれません」と綴っている。それほどこの親子にとって介護の現場はつらく苦しかったようだ。