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新型コロナによる全国小中高の臨時休校に“動いた”教育サービス 無料かつ役立つ学習教材は?

2020年03月15日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 今年2月27日、政府は新型コロナウイルス対策として3月2日から全国すべての小学校、中学校、高等学校と特別支援学校で春休みまでの臨時休校を要請する考えを示し、実際に今月2日からは全国の学校で休校が相次いでいる(参照=NHK NEWSWEB「全国の小中高 臨時休校要請へ 来月2日~春休みまで 首相」)。


(参考:『PS5』の発売にも影響? ゲーム業界に広がる新型コロナ流行の余波


 休校で授業が受けられない間、児童生徒の学習については自主的に行うようにとのこと。しかし、3学期中に前倒しで春休みが来てしまったような状況の中、まだ年度内に学習すべき単元が修了していない児童生徒も多数いるだろう。


 そんな不安に応える形で、現在様々な教育サービスが自宅待機中の児童生徒の学習を支援するプランを打ち出している。学校の授業が受けられなくても教材を利用して学習できるというのは非常に便利だが、その一方で現在提供されているサービスの多さからどれを選べばいいのか分からないという保護者や児童生徒も多いのではないだろうか。そのため、今回は通信学習サービスのうち、いますぐ無料で利用できるものをまとめてご紹介する。


・小学館の通信教育「まなびwith」
 小学館が提供する通信教育「まなびwith」では、小学校1年生から6年生までを対象として、「まなびwith」2019年度3月号の教材(学年総復習号/国語・算数)のPDF版を無料提供している。また、年少~小学校6年生コースの3月号を除く希望月のワークブックを一人につき一冊無料提供する取り組みも行っているが、現在多くの号が申し込み多数により用意分終了となっている。


 無料提供している2019年度3月号の国語・算数PDF版は月額会員向けに提供している冊子と同じ内容であるため、かなりボリュームのある内容となっている。また、まなびwithは教科書準拠ではないことから、学校の進度を気にせず個人のペースで進められることを特長としている。児童それぞれが通う学校での学習状況に左右されにくく、今回のような予想外の事態でも使いやすい。


・ベネッセコーポレーション
 通信教材大手「進研ゼミ」の運営元であるベネッセでは現在、小学校1年生から高校2年生を対象として、主要科目の復習ができる自社教材「3月春の総復習ドリル」をPDF版で無料配布している。3月の総復習とあって内容も大ボリュームで、全編カラーかつ多彩な資料も収録されている。このサービスの終了時期は未定で、状況を見て判断するとしている。


 また、小学生がネットで楽しく漢字・計算練習ができる「ワクワク漢字・計算WEB」も現在登録費不要で利用可能になっており、高校生に対しては、古典・英語・数学の要点が確認できるアプリ「予習復習効率UP」を期間限定で一般配信している。既に進研ゼミ会員の場合はその他様々な臨時サービスを受けることができるため、詳しくは公式HPをチェックしてほしい。


・Z会
 学習塾大手Z会では、3月2日から小学校1年生~大学受験生まで各学年の教材を一部無料公開している。登録は不要で、こちらもPDFにて問題をダウンロードする方式だ。


 小学校1、2年生向けには「自習用ドリル」を、小学校3年生から6年生向けには、まだ教科書の内容が終わっていない児童に対して教科書会社ごとに内容の違うテキストを用意した「教科書理解サポート」サービス、春休みの学習を補完する「問題練習サポート」サービスの二種類を無料で提供している。それぞれの対象科目は1、2年生が国語・算数、3年生から6年生が数学と理科となっている。内容は随時更新とのことなので、現在公開されていない科目についても公開される可能性がある。


 中学生からは更に細かく分類され、中学スタートダッシュ用、高校受験をする新中学2年生用、中高一貫校に通う生徒用…など、生徒の学年や所属する学校の形態にあわせて教材を選択することができる。中学生向け教材には映像や音声が利用できるものもあり、難度に合わせたサポートが豊富だ。大学受験向けに公開されている教材は現在英語動詞表現400のみなので、少し物足りないかもしれない。


 また、同社が運営するライブ授業配信サービス「アオイゼミ」の動画も3月31日まで無料公開されている。テキストや動画のDLなどには制限がつくものの、過去の授業動画も視聴することができ、テキストだけでは理解できない部分の学習に役立ちそうだ。


・新型肺炎休校サポート LINEみらい財団
 LINEを用いた学習の機会も提供されている。LINE株式会社が取り組むLINEみらい財団の公式LINEを友達追加することで、国語・数学・理科・社会の学習動画が無料で閲覧可能になる。英語については、無償で教材が利用できるリンクがトーク画面に掲載される。対象は中学生と高校生で、期間は3月2日から新型コロナウイルスによる影響が終息するまでとなっている。


 国語、理科、社会の学習動画は大手学習塾を展開する市進ホールディングスが制作・配信を行い、数学は数学検定協会の監修の元、KJSが開発した動画を配信している。数学の動画では、数学検定の準1級から5級相当である中学1年生から高校3年生までの内容をカバーしている。トーク画面に掲載される英語学習教材へのリンクへ遷移すると、学研ホールディングスが運営する英語学習用の公式LINEアカウント「Gakken英語合格トレーナー」が表示される。このアカウントを友達追加することで英単語や文法、リスニングの練習問題などの教材を無料で使用することができる。英語教材の内容は中学卒業レベルの英検3級から高校卒業レベルの2級までとなっている。


 LINEみらい財団というと耳馴染みのない会社名で警戒してしまうかもしれないが、それぞれの科目で提供されている内容は長年教育に携わってきた企業が手掛けているものなので安心して利用できる。サービスの詳細についてはLINEからのプレスリリースを参照してほしい。


 今回は小学生から高校生向けの今すぐ無料で利用できる学習教材をご紹介した。様々な教材が突然決定した全国の休校に合わせた無料プランを展開しているため、どれを利用すれば良いか迷ってしまうかもしれない。しかし、ご覧いただいたようにそれぞれのサービスに異なった特長があるため、どれかひとつと決めるのではなく、児童生徒の性格や学習状況に合わせて複合的に利用することが望ましいだろう。


 また、今回の突然の決定を好機ととらえて、春から利用する通信教材のお試しとして利用してみるのも良いかもしれない。普段ここまで気軽に有料の教材をお試しできる機会はあまりない。この機会をそれぞれの児童生徒に合った教材を見付け、新型コロナウイルスによる騒動が終息した後の学びに生かしていく場として積極的に活用してほしい。


(堀田愛美)