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格闘家YouTuber朝倉未来、やんちゃな若者の“歩きたばこ”を注意「消しに行きます……」

2020年03月14日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

動画サムネイルより

 格闘家YouTuber朝倉未来が3月11日、地元・愛知県豊橋市のアーケード商店街で“歩きたばこ”を注意する動画を投稿した。


(参考:【写真】歩きタバコをしていた若者が改心するまでの一部始終


 動画冒頭、地元に喫煙所があまりないため、歩きたばこが横行していると説明した上で、「子どもとかに当たったら危ないから」「街をクリーンにしていかないと」と訴えた朝倉。そこで商店街の一角に陣取って、歩きたばこをしているにやめるよう促していくことになった。ちなみに、本人含めてコワモテぞろいの朝倉の撮影クルーだが、全員非喫煙者らしい。


 「たばこ注意動画」は、YouTubeの隠れた人気ジャンルの一つだ。朝倉の実弟・朝倉海も昨年10月に「格闘家がオタクの格好をして歌舞伎町でポイ捨て注意してみた」という動画を投稿し、再生回数1000万超えのバズを起こしている。


 特にこの分野の草分け的存在と言えるのが、登録者数110万人(3月12日時点)のコレコレチャンネルだ。コレコレの注意の仕方はとにかく荒っぽくて好戦的。そのスタンスに逆上した若者とひと悶着あるのが企画のお約束であり、そのスリリングな内容で多くのユーザーを惹きつけているが、当然ながら批判も多い。人気動画配信者の影響力を背景に、私刑のような形で一般人を晒し上げることには、また別の問題があるからだ。


 今回の動画を再生した視聴者のなかにも、おそらく、RIZINを代表するトップファイターであり、素人時代も喧嘩で無敵だったアウトローのカリスマ・朝倉が、歩きたばこをする不良たちに正義を振りかざし、吊し上げる展開を期待した人がいたことだろう。


 しかし、朝倉はそうしない。歩きたばこをしている若者を見つけると、落ち着いたトーンで「歩きたばこ危ないんで、やめてもらえます?」と話しかける。朝倉の武名を知っていたと思しき若者は「あ、わかりました」とすぐに同意しつつも、「でも灰皿が……」と困った表情に。どうやら、携帯灰皿をもっていないようだ。


 すると朝倉は「あ~、そっか。喫煙所ないからね。豊橋」と理解を示しつつ、「どっかで消したほうが良いよ。すいませんけど」と、あくまで下手(したて)にお願いした。この朝倉の大人の対応に対してYouTubeのコメント欄には「朝倉未来の注意の仕方すごい。相手を逆上させないで同調しながら注意するのが上手」など、称賛の声が多く届いていた。


 以降も朝倉は、歩きたばこをしている若者に出会うたびに、相手を逆上させないよう丁寧な対応を実践していた。その行動の根底には、「相手は“お前に言われたくない”と思うはず」という考えがあるらしく、朝倉は「これはウザいと思うよ」「もし自分が仮に歩きタバコしとったとするじゃん。確かに悪いかもしれんけど、『何でお前に言われんとあかん?』ってたぶんなるんですよ」と注意される側のことを慮り、「この企画をやりたくなかった理由なんですけどね」と明かしていた。


 そうした配慮は動画の編集にも表れており、歩きたばこをしていた若者とその友人たちには全員、強めのモザイクとボイスチェンジャーが施されており、プライバシーがしっかり保護されている。


 そこまでして動画の撮影に踏み切った理由は何なのか。動画の最後に朝倉は「この動画が拡散されることによって、(歩きたばこは)恥ずかしいことなんだっていう認識が増えて、多く撲滅できるから。その場で注意できる人数は限られとるかもしれんけど、動画によって増えるかもしれないから」と語っていた。


 朝倉には数々の“武勇伝”があるが、少なくとも格闘家/YouTuberとしては、理知的で大人な振る舞いを見せている。プロレス的にヒートアップしたやり合いはもちろんあり、企画の内容も刺激的なものが多い。しかし、実際に動画を見てみれば、例えば“街のケンカ自慢とスパーリングをする”という企画においても、自分の強さをいたずらに誇示したり、人を貶めたりということはしていない。どんな相手でも常にフラットな姿勢で接し、わが身に火の粉が降りかかりそうな時(昨年9月に投稿された「ぼったくりバー潜入動画」などを参照)のみスイッチを入れ、そのオーラで場を制圧している。


 格闘技でも圧倒的な成績を残している朝倉未来は、周囲への配慮と常識を兼ね備えた“本当の意味で強い男”になろうとしているのかもしれない。だからこそ、多くの人の心をつかんで離さないのだろう。


(こじへい)