トップへ

ムロツヨシと伊藤英明が心を通わす 『病室で念仏を唱えないでください』2人に共通したルーツ

2020年03月14日 06:41  リアルサウンド

リアルサウンド

『病室で念仏を唱えないでください』(c)TBS

 濱田(ムロツヨシ)の苦しみ、そして希望が描かれた『病室で念仏を唱えないでください』(TBS系)の第9話。ついに松本(伊藤英明)と濱田が心を通わした。


 心臓外科学会理事長・大貫(きたろう)の孫である美咲(中野翠咲)の容態が急変し、救急の松本、そして駆けつけた濱田が緊急オペを執り行うが、努力も虚しく、美咲は命を落としてしまった。心を痛めた大貫は、大学も医師も全て辞めると決意し、濱田の夢であるハートセンター設立への後援もなかったことに。さらに、投資家のリチャード・ポー(近藤公園)には今回の手術の失敗や、資料の数値に対しての不信感から融資を断られてしまう。


【写真】『大恋愛』のムロツヨシ


 夢を断たれてしまった濱田は、最後のチャンスにと、リチャードに見せるための公開手術に踏み切った。しかし手術中、濱田は手が震えて手術を続けられなくなってしまう。見兼ねた松本が、濱田をオペ室から連れ出して助けるのであった。


 濱田はその後、礼拝室での松本の話を聞きに来る。浮かない顔の濱田を、松本は砂場へと連れ出した。そして美咲への無念と、夢を断たれた悔しさを洗い流すように砂場で一緒にパンダの像を作ることを促した。積み上げる砂の山を前に涙をこぼす濱田。すると、偶然通りかかった通行人が倒れてしまう。救急搬送させて患者の手術に当たる濱田だが、未だに手が震えてしまう。そこで松本は、応援といいお経を唱えるのであった。濱田は心の傷を乗り越え、手術を成功させる。そしていつものように松本に悪態をつく余裕さえ見せるように。反発し合っていた2人の心が繋がったのだ。


 手術ができなくなり、一時は医師としての道さえ断たれそうになる濱田は、偶然出会った憲次(泉谷しげる)との会話で、自身の医療への向き合い方を「患者を救うことで救われている」と話す。子供のころに友人を救えなかった無念から医師になった松本は、この濱田の考え方とよく似ていた。松本もまた、人を助けることが生き甲斐だという。患者を救うことで救われているという点で2人は共通していた。医療に対して対立することの多かった2人だが、憲次を通してお互いのことを知った2人は同じルーツを持っていたことが発覚した。前回は濱田の計らいで患者を助けた松本だが、今回は濱田を立ち直らせることで、恩返しした。2人が公園で倒れた人の救助に当たる際の距離感で、まだ2人が同じ病院に来る前の初めての出会いの日とは違う関係になっていることが見て取れた。


 一方、憲次は、治験薬を試しながらガンの治療に奮闘していた。そして松本と憲次は2人で釣りに出かける。ここで初めて2人は、松本の友達であり憲次の息子でもある哉(三澤和歩)の死について語り合う。哉を思い出しながら涙を流す2人は、やっと苦しみを一歩乗り越えたのだった。このことで憲次は、改めてガン治療について、そして人生の“その後”について考え、松本に判断を託すことを決める。


 松本の教えや生き様に救われてきたあおば台病院の面々だが、ついに濱田までも松本に救われる。底抜けに明るく、熱い男が放つ仏教の教えは、少々押し付けがましいがハートに刺さる力強さを持っている。いよいよ次週が最終回となる『病室で念仏を唱えないでください』。松本の熱い説法を最後まで見届けたい。


(Nana Numoto)