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プライムタイム連ドラ初主演が続出 “若手俳優戦国時代”に竹内涼真、上白石萌音らが魅せる活躍

2020年03月12日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

日曜劇場『テセウスの船』(c)TBS

 この1月期の民放連続ドラマを見渡してみると、ジャンルではサスペンスからラブコメまで多様なものが揃いながらも、なぜか病院を舞台にした作品が乱立。視聴率ベースで見ても序盤から突出した作品こそ見られなかったものの、終盤に向かうにつれて面白さとクオリティの高さが担保された作品が安定して注目度を増していくという流れが見受けられた。そんな中でひときわ目を引いたのが、若手俳優戦国時代ともいえる近年で堅実に力を付けてきた俳優たちが、こぞって民放プライムタイムの連続ドラマ初主演を飾ったことであろう。


参考:ほか場面写真はこちらから


 とりわけ“初主演”と言われてもピンと来ないのが、前述したように終盤でメキメキと話題を集めているTBS系列の日曜劇場『テセウスの船』で主演を務める竹内涼真だ。『仮面ライダードライブ』(テレビ朝日系)で主演を務めて以降、『ひよっこ』(NHK)や『過保護のカホコ』(日本テレビ系)などで“爽やかイケメン俳優”としての安定した地位を築いた竹内だが、そのフィルモグラフィを見ても意外なほどに主演作が少ない。名目上ダブル主演となっていた2本の映画でもヒロインの相手役という位置づけが強く、そう考えると本当に『仮面ライダードライブ』以来ということになり、当然プライムタイムの連ドラでは初だ。


 それでも違和感はおろか、この日曜劇場という“ドラマのTBS”の看板の主演を張っても遜色のないほどの安心感があるのは、この枠ですっかりお馴染みの顔だからに他ならない。実際、2017年秋のブレイク以降の竹内の出演作は映画を除けば(映画でもほとんどが脇に徹しているのが意外ではあるが)すべてこの日曜劇場の作品であり、主人公を立てつつも印象的な演技を残してきた。そんな竹内がこのタイミングで堂々と主演を飾る。夏に公開される藤原竜也と共演の映画・ドラマ連動作『太陽は動かない』も然り、今年は竹内涼真という俳優が真の大物になるかどうかを証明する試金石になるのではないだろうか。


 また『テセウスの船』同様、着実に話題を集めてきたTBS系列火曜22時枠の『恋はつづくよどこまでも』で主演を務める上白石萌音も、深夜では『ホクサイと飯さえあれば』(MBS/TBS)があったがプライムタイムでは初主演。言わずもがな『君の名は。』のヒロインの声で大きな注目を集めながら、なかなか大役に恵まれずにいた上白石だが、どこかほわっとした空気感を漂わせる庶民的な魅力で、多くの人気女優たちが経験してきた王道のラブコメヒロインにしっくりとハマることを証明する。テレビドラマのフィールドでは『義母と娘のブルース』(TBS系)や『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)に出演した妹の萌歌の方が一歩リードしているだけに、この姉妹が互いに切磋琢磨しあってさらに伸びていくことが楽しみでならない。


 他にも日本テレビ系列の『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』でダブル主演を飾った清野菜名と横浜流星も、ともに主演映画は多数ありながらプライムタイムドラマの主役は初。放送開始前から他の同世代俳優たちを凌駕する圧倒的な身体能力を持つ2人が繰り広げるアクションに期待を寄せていたが、それは遺憾なく発揮されたものと見受けられる。また、こちらは定義上プライムタイムよりも少し遅い時間ではあるが、テレビ朝日系列の土曜ナイトドラマ『アリバイ崩し承ります』で主演を務める浜辺美波も、意外にも日付が変わる前に放送される民放ドラマでは初の主演作となったわけだ。


 いずれも深夜ドラマや映画など、ターゲット層が比較的しぼられている作品から着実にステップアップを遂げて、より多くの視聴者の目に留まる時間帯のドラマの主演へと上りつめたということは、この若手俳優戦国時代を勝ち抜けてきた証であろう。もっとも、この1月期も充実していた深夜帯ドラマには、福原遥や岡田結実、さらには異例の2作品で主演を飾った山田裕貴など、次の飛躍を虎視淡々と狙う個性と実力を兼ね備えた面々がそろっている。それだけに、まだまだ若手俳優たちの戦国時代は加熱していくに違いない。 (文=久保田和馬)