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シリーズ最低興収に終わった『スカイウォーカーの夜明け』 SWの終焉と共に3部作映画はなくなる?

2020年03月11日 20:21  リアルサウンド

リアルサウンド

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(c)2020 & TM Lucasfilm Ltd.

 例年通りならば、『映画ドラえもん』の新作が圧倒的な数字を叩き出してトップに立っていたはずの3月第1週の週末(7日、8日)。動員ランキングで初登場1位となったのは、『ドラえもん』と客層がほとんど被らないという理由から同日3月6日に公開日が設定されていたに違いない『Fukushima 50』という皮肉な結果となった。土日2日間の動員は10万6000人、興収は1億4300万円。


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 初登場2位となったのは、坂口健太郎、永野芽郁らが出演したティーン向けの実写作品『仮面病棟』。こちらの土日2日間の動員は7万7000人、興収は1億500万円。配給は東宝とワーナーの違いがあるものの、3ヶ月前に公開された同じ木村ひさし監督の近作『屍人荘の殺人』の初週土日2日間の興収は1億6500万円だったので、休業中の一部シネコンの目減り分も含め、やはり新型コロナウイルスの影響の直撃を受けたかたちだ。大型テーマパークは休業中、ライブも軒並みキャンセル、街中も人はまばら。一部自治体を除いて全国一斉休校中で時間を持て余したティーンは一体どこで何をしているのだろうか?


 そんな異常事態が続く中、先週木曜日の3月5日に『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が約3ヶ月半のロングランを終えて、ひっそりと上映を終えた。こちらも本来ならば、最終上映に向けて最後の呼び込みがされていたはずだが、配給サイドも興行サイドもそれが許されるような状況下ではなかった。最終興収は72.7億円。シークエル・トリロジー1作目の『フォースの覚醒』は116.3億円、2作目の『最後のジェダイ』は75.1億円。『スター・ウォーズ』ブランドは同時期にディズニープラス(日本ではディズニーデラックス)で配信された『マンダロリアン』の高評価のおかげでなんとか崩壊は免れてはいるが、日本でも下げ幅こそ比較的少ないものの世界各国同様にシークエル・シリーズでは最低の興収となった。


 もっとも、実は日本ではジョージ・ルーカスが手がけたプリクエル・トリロジーでも、トリロジーの最終作で最低興収を記録していた。1作目の『ファントム・メナス』が127億円、2作目の『クローンの攻撃』が93.5億円、3作目の『シスの復讐』が91.7億円。今回のシークエル・トリロジーと見比べると、1作目と2作目の下げ幅には大きな差があるが、2作目と3作目の推移はほぼ同じ。作品の評価としては、『シスの復讐』は概ねファンからは好評で、今回の『スカイウォーカーの夜明け』は評価が大きく分かれていたが、興行も批評も散々だった『ハン・ソロ』のようなスピンオフ作品は別として、『スター・ウォーズ』正史サーガ作品に関しては、作品評価と興行成績はそれほど連動してこなかったと言ってもいいかもしれない。


 ディズニープラスの『マンダロリアン』が好調(先日、シーズン2の撮影も終了した)な一方、テレビシリーズ、映画ともに様々な噂は飛び交っているものの、今後の『スター・ウォーズ』の展開に関しては一度発表された作品やクリエイターがキャンセルされるなど不透明な部分が多い。プロデューサーのキャスリーン・ケネディが次の映画のシリーズでは3部作であることにはこだわらないことを示唆していることからも、いずれにせよ我々が親しんできたこれまでの映画『スター・ウォーズ』は、今回の『スカイウォーカーの夜明け』が最後の作品ということになるのだろう。いや、そもそもマーベル・シネマティック・ユニバースのようなユニバース化や、『ワイルド・スピード』のような人気が続く限り続いていくシリーズが主流となった今、『スター・ウォーズ』のオリジナル・トリロジーが定着させて以来、長らくハリウッド映画において親しまれてきた3部作というフォーマット自体が、もう終わりを迎えたのかもしれない。(宇野維正)