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新型コロナ「休校」、困った親が「子どもを預けあおう」 トラブル対策の心構えは?

2020年03月10日 08:41  弁護士ドットコム

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新型コロナウイルスの対策で、学校が休校になりました。親が自宅で子どもの面倒を見ることができない場合、学童保育などの手段もありますが、中には、ママ友の家にあずける、といったケースも散見されます。


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ツイッターでは、「同じ学童に通わせてるママ友から『私、子ども家で見るから仕事行かない』ってLINE来た」「繋がりって大切。ありがとう」など、善意で子どもを預かるというママ友に対する感謝の声も上がっている。



一方、「ママ友同士で子どもを預け合い。個人宅に大勢が集まると、何日もするうちに別のトラブルありそう」「意味ねえじゃん。 ママ友に子ども預けるって…。 しかも大勢って。 むしろ後のトラブル発生機だ」などの声もある。



もしママ友の子どもをあずかって、トラブルが生じた場合、どんな責任問題が発生する可能性があるのでしょうか。上将倫弁護士に聞きました。



●預かっている以上は、注意を払う必要がある

ーーもし、ママ友の子どもが怪我をした場合、法的な責任は、預かった人が負わなければならないのでしょうか



「ママ友との間で子どもを預かる約束がある場合には、両者に契約(準委任契約)が成立していると解する余地があります。この場合は、預かった親は契約上の地位に基づいて『善良なる管理者の注意義務(自分の子どもを見るとき以上に子どもの安全確保やトラブル防止に注意する義務)』を負い、これに違反した結果、子どもが怪我をした場合には債務不履行に基づいて賠償義務を負う可能性があります。



契約があったとまでは評価できない場合でも、子どもを預かっている以上は、一般人として要求される程度の注意を払う必要はあります。なぜなら、故意または過失によって、子どもに怪我をさせた場合は不法行為に基づく損害賠償義務を負うことになるからです」



●「必ずしも、言われるがまま賠償に応じる必要はない」

  ーーもし、賠償を請求された場合には、預かった側は、どのように対応するべきでしょうか



「紛争をこじらせないためには、誠意をもって対応する必要があります。ただ、必ずしも言われるがままに賠償に応じれば良いというわけではありません。



債務不履行や不法行為が成立するかどうかは、事案によってはかなり微妙な問題になりますし、適正な損害額の算定も簡単ではありません。



また、ママ友から頼まれて好意で子どもを預かった場合、事情によっては、賠償額が一定程度減額される可能性があります。現実に減額が認められている裁判例もありますので、困った場合には、弁護士に相談すると良いと思います」



●ママ友とすぐに連絡がとれるようにしておくことが大事

ーートラブルに巻き込まれないために、預かる人はどのようなことに注意すべきでしょうか



「まずは、お子さんを預かる前提として、そのお子さんのことをよく把握しておいた方がいいでしょう。アレルギーはないかどうか、体調が悪いところはないかどうか、などです。



また、そのママ友と連絡がすぐにとれるようにしておくことも重要でしょう。特に、今回は新型コロナウイルスが流行っている最中のことですので、急に発熱したような場合、相手の保護者にすぐに知らせることが必要です。



もし、相手の保護者と普段からコミュニケーションがとれていない場合、子どもを預かることにはそれなりのリスクがあると言わざるを得ません。このようなリスクがあることも踏まえておきましょう」




【取材協力弁護士】
上 将倫(かみ・まさのり)弁護士
2001年に弁護士登録して現在19年目。家族、子どもなどのドメスティックな問題に関心を持ち、男女間トラブルや離婚、遺言・相続、児童虐待などの事件に積極的に取り組んでいる。
事務所名:弁護士法人松尾・中村・上法律事務所
事務所URL:http://www.mnk-law.jp/