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宮迫博之、YouTubeでの“轟さん”復活で見えた光明 コント動画に注力する意味を考える

2020年03月09日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

動画サムネイルより

 お笑い芸人の宮迫博之が3月3日、自身のYouTubeチャンネルに「轟さん」の動画を投稿して話題を呼んでいる。


(参考:雨上がり宮迫『Tik Tok』の「轟さんブーム」に便乗して“ご本人降臨”を宣言!?


 轟さんは、2000年代に放送されたフジテレビ系のバラエティ番組『ワンナイR&R』(以下、ワンナイ)で宮迫が演じたコントのキャラクター。“男すぃ”を愛し、“女すぃ”を嫌う趣向の人物で、「ギューン!」「ソイヤ!」といったギャグを持つ。トレードマークは、白のタンクトップと黒のスパッツ。目、鼻、口などに黒い縁取りが施されており、一度見たら忘れられない風貌をしている。


 数々の名物キャラクター・名作コントを輩出した『ワンナイ』の中でも、「轟さん」の人気は根強い。その証拠に、YouTubeに違法アップロードされている轟さんのコント動画はかなりの再生回数を記録しており、中には、150万再生されているものもあるほどだ。コメント欄を見てみると、「時間かかってもいいのでまた轟やってください」「今の宮迫に轟さんやって欲しいな」「復帰後一発目の仕事が轟だったら一生応援するわ」など、以前から、復活を期待する声が数多く寄せられていた。


 そんな世間の声をくみ取ったのか、今回「轟さん」がYouTubeの動画として復活した。動画は、轟さんが男性だらけのフィットネスジムに訪れるというもの。筋骨隆々の男たちがトレーニングする風景を、ガラス扉に張り付きながら羨望の眼差しで見つめ「なんだこれは!ただの天国じゃねぇかよ!」と絶叫する轟さん。ジムの中に入ると、何かと理由をつけてはトレーニング中のマッチョなお兄さんたちの身体にベタベタと触り、注意に入った女性トレーナー(グラビアタレントの橋本梨菜)に「女子は黙ってろよ!」と恫喝するというお馴染みの展開を披露していた。


 2月1日に始動した宮迫のYouTubeチャンネルは現在、スタート当初の“ブースト状態”が終わり、ネタの面白さ次第で動画の再生回数が大きく左右されるというシビアなフェーズに突入している。中には10万回程度しか視聴されていない動画もちらほら。2月29日に投稿された“金持ちYouTuber”ヒカルとのコラボ動画は100万再生を超えているものの、一部ネットユーザーからは“ヒカルドーピング”などと揶揄されていたりもする。


 そんな状況の中アップされた「轟さん」動画は、3月7日時点で81万再生をマーク。久しぶりの“単独”、それも、宮迫がこだわる“お笑い”でのヒットコンテンツとなった。


 ちなみに宮迫は、2月12日にも『ワンナイ』で演じていた自身のコントキャラ「呪怨くん」をYouTubeで復活させている。動画のコメント欄には、「この動画は、テレビ局関係者様のご厚意で、YouTubeで再現コントをさせていただきました。」という宮迫本人の一言が添えられており、これは「轟さん」動画にも表示されているコメントだ。どの程度の温度感かは測りかねるが、宮迫のYouTube活動を応援する人物がテレビ業界にもいるのだろう。


 「轟さん」は、宮迫チャンネルの虎の子になるだけのポテンシャルを秘めている。それは「轟さん」が過去にキャラクターグッズとしてフジテレビショップで売られていたほどの人気を誇ったこともさることながら、そもそも、コントがYouTubeと非常に相性が良いという背景もある。


 先述した『ワンナイ』のような名作コント番組の動画(ほとんどが違法アップロードだが)は高い再生回数を記録しているものも多く、また、東京03やサンドウィッチマンの公式コント動画が急上昇ランキングをにぎわすことも少なくない。数分程度で短くまとまったコントは隙間時間や移動時間などにサクッと視聴しやすいこと、スマホデバイスでみるにはちょうど良いサイズ感のコンテンツであることなど、様々な理由が考えられるが、いずれにしても、コントはYouTube上で好まれているのだ。轟さんは今回、フィットネスジムを訪問していたが、“男すぃ”がいる場所などいくらでもある。そこに、轟さんの邪魔をする(と本人が思っている)“女すぃ”役をキャスティングすればいくらでも量産化できるため、シリーズ化は容易だろう。


 とはいえ、ユーザーは早くも次の展開を期待し始めている。「轟さん」動画のコメント欄を見ていくと、「ゴリエ、川ちゃん、ホトミ、くず達にまた会いたいな」「ゴリエかゴリケルも轟さんコントに参加しないかなぁ」「いつか、いつか、いつか、くずの復活を、くずの復活を心からお願いします!!」など、かつての『ワンナイ』キャラの再集結を望むアツい声も数多く見受けられる。


 宮迫と吉本興業の溝はおそらく深い。そして、『ワンナイ』出の芸人たちは宮迫以外、全員今も吉本所属だ。様々なハードルを越えなければいけないのは事実だが、いつの日か吉本の態度が軟化すれば、かつての『ワンナイ』ファンたちが泣いて喜ぶような“夢の競演”が実現するかもしれない。その期待に応えるためにも、宮迫の孤独な闘いは続く。


(こじへい)