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いよいよ禁止「マスク転売」への怒りの声…「人としてどうなの?」「喘息だから大変」

2020年03月07日 10:22  弁護士ドットコム

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政府は3月5日、国民生活安定緊急措置法を適用し、インターネット上などでの転売を禁止し、刑事罰を科すとの考えを示しました。日本では現在、深刻なマスク不足が続いていますが、これによりマスク不足は解消されるのかはわからないものの、胸をなでおろす人もいるかもしれません。


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中国での新型コロナの感染拡大が報じられて以後、ネットでは実際の販売価格の数倍以上の価格で売られるようになりました。転売目的での購入も数多くあったとみられ、弁護士ドットコムには、息子が高校受験を控えているのにマスクを入手できない女性から、怒りの声が寄せられました。



この女性の声を記事で紹介したところ、たくさんの反響がありました。その後、マスクだけでなく、トイレットペーパーや除菌用ジェルまで買い占めや転売の標的になるなど、状況は悪化の一途をたどっています。



転売に対して人々にはそれぞれ思うところがあるようです。寄せられたコメントの一部を紹介します。この母親のように転売を許せないという「転売否定派」が主流と思いきや、「転売肯定派」の声も同じかそれ以上に届きました。



●「なぜ自分の得しか考えない?」

転売否定派の代表的な意見は「転売屋がいなければ普通にマスクが手に入る。これっぽっちもありがたくない」(匿名)というものです。



「本当に必要な人に行き渡らない…何で自分の得する事しか考えられない人がいるのだろう?」「転売なんて、思いついてもできないなあ。良心が痛む」(ともに匿名)。このような転売行為の愚かさへの嘆きもよく目にしました。



怒りをにじませるどころか、前面に押し出す人もたくさんいました。



「転売するんだったら、病院とかに回せよ。喘息とか呼吸器系の病気の人は、マスクが必要なんだよ。喘息でマスクが足りなくて、なんとか一ヶ月乗り切れたけど、転売しまくる奴らのせいで、大変だったわ。金しか頭にない人間は、人じゃないんだな」(40代・男性)



この男性のように持病を持つ人や、高齢者にとってはマスクは命綱であるはずです。「自業自得」という心ない声もありましたが、理不尽なほど高いお金を出さなければ入手できない、もしくはお金を出しても入手できない日が訪れると誰が予想できたでしょうか。



「規制しないメルカリ、ヤフオクもおかしい、出品できなきゃ買い占めないだろうに」(50代・男性)という意見もありました。



フリマアプリ「メルカリ」とオークションサイト「ヤフオク!」は転売屋の主要な取引市場として機能していました。ただ両社とも対応はしていたようです。



たとえば、メルカリは2月20日には「マスクの取引に関するご協力のお願い」と題した通知を発表し「社会通念上適切な範囲での出品・購入にご協力をお願いいたします」と呼びかけ、場合によっては商品の削除を行ってきました。



その後、マスクに加えて、除菌用のウェットティッシュ、除菌用ハンドジェル、消毒用アルコール、トイレットペーパーなどについても制限を加えています。



●「数十店舗回っても買えなかった」

仕事で人と接する機会があるためにマスクは必要であるのに「市内数十店舗回っても買えず困っています」と嘆く40代男性は、転売行為がいずれ転売屋自身の首を絞めることになると指摘します。



「社会がうまく回る為には一人一人の他人を思いやる心が不可欠です。必要な人がマスクをせずに、病気が蔓延する国に住みたいですか? 蔓延すれば、病院にも行けず、スーパーも閉まって、誰も荷物を貴方の家に届けられなくなります」



「転売が需要と供給のうえに成立した行為だ」。そんな転売屋サイドの主張に対して、真っ向から意見をぶつける人も。



「ストアで本来買える物を転売する奴が使わず売る為に買うから、本来求めてる人の手に渡らず結果的に値段が上がってるだけ。転売が居ても居なくても生産が間に合ってないにもかかわらず必要のない人の手に奪われてる」(匿名)



●「デマのせいで、ウンチもできません」

また、転売を完全に「悪」とみなしはしないものの、生命や安全に関連する物品の転売は考えものだという意見もありました。



「転売自体は市場原理として全否定するものではないけど、健康や人命に関わるようなものを転売するのは人道的にどうかなぁ」(50代・男性)



「デマのせいでトイレットペーパーも品切れで買えません。マスクとトイレットペーパーは原材料が違うしほぼ国内生産だから、トイレットペーパーの生産が減る事はないから焦って買い占める必要ないのに…。ウンチできませんよ」とは熊本県在住の30代男性。



妻のためにマスクを買ってあげたくても、入手は困難だといいます。「転売屋を否定はしませんが、ちょっと値段上げすぎかなぁとは思います。買うなら儲かるし、誰も買わないなら買い占めた分赤字になるだけです」



●転売肯定派「需要と供給が成り立っている」

さて続いては、転売を肯定する意見を紹介します。先述の「需要と供給説」を支援する主張も目立ちます。



「マスクの価値が高騰してるのに、高騰以前と同じ額で手に入れようとするから不満が出てるんだよね。だから、人の心がないとか、自分勝手とかっていう感情論でしか非難できない。転売ヤーが出てくるのは買う人がいるからであって、需要と供給が成り立っているのならそれは悪ではないと思うよ」(30代・女性)



「転売を買う人が居なければ…転売ヤーは成り立たない。需要と供給の問題であって、嫌なら買わなければ良い話ですね」(30代・女性)



この女性は非常事態に備えて、マスクやトイレットペーパーや水やカップラーメンなどを備蓄しているそうです。マスクは安いときに「1箱100円」で購入し、現在では周囲の知人らにマスクを無償で配っているといいます。



「困った時はお互い様の精神です。世間が必要としてない時に買い占めておくのが一番ですよ」



どれだけ高額であっても、お金さえあれば確実に手に入ることをヨシとする人もいます。



「転売ヤーのおかげで、金さえ払えば、確実にマスクが手に入るよね。ありがたいけどな」(30代・男性)



●人間はどうせ買い溜め、買い占めする生き物だ

転売屋がいなくても、人々は買い占め行動に走るだろうという「性悪説」の訴えもあります。



「転売屋が価格吊り上げなかったら消費者自ら買い占めるのやで。意地汚いおまえら消費者が自分のために多め多めに買うから余計に手に入らなくなる。転売屋が価格吊り上げて、おかげで、需要抑制。市場のメカニズムが立派に働いとる」(10代・男性)



「転売は悪ではない。仮に転売屋がいなかったとしても、消費者が買い溜めして品薄になるのは必至だろう」(20代・男性)



「なんで転売が悪扱いなのが本当に心の底から全く理解できない」(男性・30代)



肯定派否定派の間の溝を象徴する意見です。また、世界的なマスク不足によって、転売があろうがなかろうが、入手は難しかったのではないかとの意見もありました。



様々な意見を取り上げてきましたが、最後に、人情にあふれる優しい人たちの声で締めたいと思います。



「私の持ってるのを分けてあげたいです! どうにかコンタクトとれないでしょうか?」(40代・男性)



「同感。数年前買った箱マスクだけど、本当に必要としてる人に分けてあげたい。本当に必要としてる人になら、無償でも構わない」(40代・男性)



今回のマスク品薄騒動を受け、私たちは何を学ぶべきなのでしょうか。