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スポーツで笑いと感動を届けるグループYouTuber・レイクレ 「走れ!レイクレバスケ部」動画にみる魅力

2020年03月06日 17:02  リアルサウンド

リアルサウンド

動画サムネイルより

 「よぉ暇人!」という威勢のよい挨拶から始まる動画を、今までに観た覚えがあるだろうか。これから紹介するYouTuberの名前を知らないならば、本稿を機にぜひチェックしてほしい。2017年8月に結成されたグループ・Lazy Lie Crazy(以下、レイクレ)だ。


(参考:本日放送『炎の体育会TVSP』にバスケ日本代表・富樫勇樹が登場 その実力を引き出したYouTuber「Lazy Lie Crazy【レイクレ】」とは?


 レイクレのメンバーは、大阪を拠点とする大学生5名。自他共に認める“コミュ力おばけ”で、ビビッドな赤髪が目を惹くリーダー・どば師匠。グループ随一の“パリピ”キャラとして、何事にも思い切りのよさに定評があるたかし。韓流アイドルのような端正な顔立ちながらも、最近では“サイコパス”な一面を覗かせるてっちゃん。高校時代はバスケットボールの全国大会プレイヤーで、現在も3人制バスケ「3×3」(スリーバイスリー)のプロ選手として活動するともやん。“不潔界の貴公子”を自称する、グループのいじられ役・ぺろあい男爵で構成されている。


 そんなレイクレの動画は、結成初期に投稿された「真冬のタンクトップかくれんぼ」をはじめ、最近であればじゃんけんですべての支払いの行方を決める「メシ代男気旅行」や、目隠しをつけてバトルを繰り広げる「ゴボウしばき対決」など、よい意味で大学生らしい、無茶でバカバカしい笑いに溢れたものばかり。なかでも彼らの名前を一躍に広めたのが、ともやんが運動が苦手なオタクキャラを演じたドッキリ動画だ。これまでに614万回再生(2020年3月5日現在)を誇る同作は、ともやんが全国経験者としての本性を隠しながら地元コートでバスケ対決を繰り広げ、最後には本気のプレーを披露して相手を驚かせるというもの。あまりのスピード感あるプレイの数々に、思わず驚いてしまった視聴者も多いことだろう。


 このほかにも、現在までに様々なスポーツ企画に挑戦しているレイクレ。しかし、前述のドッキリ企画や、ともやんの1on1動画などを通して、どうしてもバスケ動画にフォーカスが当たることが多い。本人たちはその活動を楽しんでいるに違いないが、人気シリーズ『黒子のバスケ』のオマージュ企画など、バスケに関する動画は他の作品と比べて再生回数が一段と伸びているのも事実。金髪の似合うイケメンで、バスケも達者なともやんの大人気ぶりに、ほかのメンバーが頭を抱える場面もしばしば目撃されてきた。


 それでもレイクレメンバーは、バスケはもちろん、グループで過ごす時間が純粋に大好きなのだろう。昨年10月には、“ともやんのバスケ”という飛び道具と、グループとのしての魅力を相乗的に発揮するシリーズ企画「走れ!レイクレバスケ部」がスタート。彼らが努力を重ねて切磋琢磨する姿や、これまでに見られなかった意外な一面を楽しむことができる。


 同シリーズは、ともやんをコーチとして、彼以外のバスケ初心者である4名が、一般大会での優勝を目標に本気でバスケを練習するというもの。たかしは中学時代にバスケ部キャプテンであったため、正確には初心者ではないのだが、それでもイチから新たなスポーツ技術を磨くという、チャレンジ精神に満ちた長期プロジェクトに相応しい内容だ。


 そんな「走れ!レイクレバスケ部」では、レイクレが広く人気を集める理由をいくつも発見できる。まずは、どば師匠の関西人らしいコミカルさが存分に発揮される実況コメントだ。前述のドッキリ企画の段階で、実況としてすでに高い完成度となっていたが、そもそもが初心者であるため、ともやんや相手選手のプレイを前にして新鮮に驚きの声を上げ、臨場感を高める。そのリアクションはもちろん、ともやんのドリブルのリズムに合わせて「文系?理系?文系?理系?」などと笑いを誘う実況も、彼らのバスケ動画には欠かすことができない。


 また、試合を決定づけるプレーと同時に流れる「シャイニングスター」も、レイクレらしさを象徴する要素のひとつだ。「シャイニングスター」は、フリー音楽素材サイト「魔王魂」にて配信されている楽曲。アニメのエンディング主題歌のような雰囲気で、これがなければ彼らの動画が綺麗に締まらないといえるほど、グループのイメージにさえ紐づいている。ともやんの“主人公感”を強調、あるいはチームの成長を輝かしいものに見せる、いいアクセントになっている。


 そしてもちろん、メンバーの白熱したプレーが「走れ!レイクレバスケ部」の真骨頂たる楽しみだ。新たな技の練習時には、動画の冒頭こそ初心者らしいあたふたとしたプレイでふざけ倒しながらも、次第に真剣な目つきで反復を重ねていくレイクレメンバー。その様子にはともやんもたびたび納得した表情を見せているほか、実況のどば師匠も好プレーの数々を心から讃える場面が多いくらいだ。また、ともやん直伝でシューターとして秘密の特訓をしていたぺろ愛男爵の成長などは、見ていて嬉しささえ覚えてしまったほど。彼がゴールを決めた時のとびきりの笑顔は、青春ドラマのワンシーンのようだ。


 さらに、シリーズを通して見逃せないのが、チームで唯一となる“補欠メンバー”の座を争う入れ替え戦。不名誉といえる補欠の座を守り続けてきたどば師匠が、最新の入れ替え戦でシュートを決め続け、一気にチームのスターダムを駆け上がる姿には目を見張るものがあった。あわせて、ほかのメンバーもディフェンス面で初心者とは思えないブロックを放つなど、いつか隠れた才能が開花するのではないかと楽しみにさせられている。


 若者がただバスケをしているだけの動画になりかねない企画にも関わらず、それがおもしろおかしく成立してしまうのは、冒頭に記した“キャラ立ち”の強いメンバーが揃っていてこそ。「走れ!レイクレバスケ部」について総括する前に、自身の学生時代に戻って、体育の授業や球技大会を思い出してみよう。同じクラスや同学年など問わず、想定しうる範囲で最もおもしろいメンバーを集めた、少数精鋭のドリームチームを作ってほしい。そこで思いつくような、スポーツを通して笑いと感動を届けられるグループこそレイクレなのだ。


 ともやんは今年2月、これまでの活動を振り返って「今も昔も変わらない事はYoutubeを一人じゃなくてレイクレとしてやり始めてよかった」と、しみじみと語っていた(参考:ともやん 公式Twitter)。前述した通り、メンバーがふざけ合いながらも互いを認め、褒め合える雰囲気のよさが、グループ全体のポジティブな空気感にも繋がっているのだろう。


 「走れ!レイクレバスケ部」では、今後の試合に出場すると思われる5人目のメンバーの選抜をはじめ、次なる展開が気になるばかりだが、ファンが本当に楽しみに待っているのは、彼らが念願の登録者数100万人を突破する日ではないだろうか。レイクレが歩み続ける“GO FOR IT”な毎日を、これかも追いかけていきたい。


(一条皓太)