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ワーママのモヤモヤ整理します 第10回 「働きたい」思いはワガママ? 家族にかかる負担にモヤモヤ

2020年03月05日 10:32  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
連載「ワーママのモヤモヤ整理します」は、託児付きランチサービス「ここるく」の経営者で、育休復帰・働き方改革のコンサルティングも手掛ける山下真実さんが、ワーママが抱えるモヤモヤを整理・解消に導いていく企画です。

8回目となるモヤモヤ整理は、2人の男の子を育てながらベンチャー企業で働くさとみさんが主人公。仕事に充実感を覚えていて、さらにスキルアップしたいと思いつつも、それによって家族に負担をかけてしまうのではないかとモヤモヤしているといいます。

【今回の相談者】

さとみさん(37歳)
新卒で大手インフラ企業に入社。1人目を出産後、働きやすさなどにメリットを感じてベンチャー企業に転職。いまの仕事にやりがいを感じてもっとがんばりたいと思いつつ、家庭と仕事のバランスの取り方にモヤモヤした思いを抱えている。

○本当はもっとスキルアップしたいけれど……

山下さん:
「まず、さとみさんの経歴についてお聞きしたいのですが、大企業からベンチャー企業に転職したんですよね」

さとみさん:
「前職の上司がベンチャー企業を立ち上げたのですが、その誘いを受けて転職を決めました。約10人の小さな会社なので、経営企画や広報など、何でも屋さんのようにいろいろな仕事をしていて、やりがいを感じています。時間も柔軟に働かせてもらってありがたいのですが、本当はもっとスキルアップしたいという思いもあるんです」

山下さん:
「そこで、家庭との両立に難しさを感じているんですね」

さとみさん:
「私が働けば働くほど夫の負担が増えてしまうのは明白なんですよね。私のやりたい仕事は夜の時間帯や土日にあることが多いのですが、夫は私よりも多く稼いで一生懸命仕事をしているのに、さらに子育ても任せることに抵抗感があって……。しかも、やればやるほど私の稼ぎが劇的に良くなるというわけではないので、私のワガママなんじゃないかとモヤモヤしています」

○破綻する結果が見えているからモヤモヤする

山下さん:
「もしかすると、現状で自分の時間や体力などの配分が限界ということに気付いていて、これ以上何かやると破綻することは目に見えているから、二の足を踏んでいるのではないかしら?」

さとみさん:
「それはあると思います」

山下さん:
「何がどうなったら破綻して、どういうことが必要なのか、具体的に分析されたことはありますか?」

さとみさん:
「そう言われてみると、ちゃんと書き出して分析したことはないですね」

山下さん:
「自分のことって、なかなか自分自身では見たくなくて、見て見ぬふりをしてしまいがちですが、実はさとみさんがうっすらと感じている『無理かもしれない』という予感は、向き合って、ほぐしてあげてもいいのではないかと思いますよ」「たとえば、働く時間を増やすために旦那さんの協力が必要だと言っていましたが、子どもを預かってくれるところを活用するのも選択肢の1つですよね。さらに、旦那さんがさとみさんの働き方についてどう思っているのか、本心をしっかり確認することも大切だと思います。きちんとファクターを並べてみると、不安が解消できるかもしれません」

さとみさん:
「夫は我慢強い人で、思ったことをあまり言葉にしないんですよね。だから、我慢させてしまうことが嫌だなと思っていましたが、確かにきちんと話し合ってみた方がいいかもしれません」

○夫にやってほしいことは"具体的に"オファーする

山下さん:
「仕事が終われば、電車の中で、第2ラウンドの子育てに向けて気持ちを整え、モチベーションを上げる日々……仕事も仕事で大変、さらに子育ても大変、毎日手一杯ですよね。意外と自分が思っているより、すり減っていたりします。だから、自分について考えることってそんなに簡単じゃないです。でも大切なことなんですよね」

さとみさん:
「そうですね。簡単なことではないかもしれないけれど、確かに一度ちゃんと気持ちを棚卸しすれば、モヤっとしていることについても、もっとはっきりわかるかもしれません。それがわかれば、たとえば行きたいセミナーがあったとして『これは行くべき』とか『これはいいや、子どもといた方がいいな』とか、判断できるようになる気がします」

山下さん:
「日本の女性あるあるだと思うんですけど、誰かに協力を仰ぐことに慣れていない人が多い気がしています。旦那さんに限らず、周囲に何かをお願いするときは『私は●●がしたいので、土曜日に隔週で仕事が入るけれど、協力してくれない?』などと、具体的にオファーを出せる状態にして話をした方が、何が必要で、どう行動すればいいか、相手も判断しやすいと思いますよ」

さとみさん:
「確かに、具体的に聞いてみて、夫の予定調整が難しいとわかれば、シッターさんを頼むとか、祖父母に頼るとか、他の手段も取れそうですよね」

山下さん:
「そうそう! 具体的にオファーを出せば、たとえ希望がかなわなかったとしても、次の行動がすぐに取れます。スキルアップしたいという思いにしっかり向き合って、行動に移してみてくださいね。応援しています!」

○山下真実
株式会社ここるく 代表取締役・社会起業家・2児の母
米国留学によるMBA取得、米系投資銀行・金融コンサルを経て、ママになったことをきっかけに子育て支援という全くの新領域へ。人気レストランから選べる託児付きランチサービス「ここるく」を2013年にスタート。サービスを通じて集まる働くママのインサイトと、MBA・コンサルで得た専門知識の両面から、ママ向けサービス開発や育休復帰・働き方改革コンサルティングなども手掛ける。『第14回女性起業家大賞』、三菱UFJ銀行主催『Rise Up Festa』最優秀賞受賞。