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ウイルス問題に揺れたパリコレ 9日間の全日程が終了

2020年03月05日 02:22  Fashionsnap.com

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パリコレ最終日、LOUIS VUITTON 2020年秋冬コレクションのフィナーレ Image by: FASHIONSNAP.COM
フランス・パリで、ファッションウィーク(以下、パリコレ)が、2月24日から3月3日までの9日間にわたって開催された。新型コロナウイルスが世界各地で猛威を振るう中、一部のキャンセル以外は初日の「マメ(Mame Kurogouchi)」から最終日の「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」まで全日程が執り行われたが、通常とは異なるムードのウィークとなった。
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 パリコレは当初、公式スケジュールでは75ブランドの参加が決まっていた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、主に中華系のブランド「マーシャ マ(Masha Ma)」「シャッツィ・チェン(Shiatzy Chen)」「ジャレル・ジャン(Jarel Zhang)」「カルバン ルオ(Calvin Luo)」「メゾン マイ(Maison Mai)」が開幕前にキャンセルを決め、また「ユマ・ワン(Uma Wang)」はショーからプレゼンテーションに発表形式を変更した。ウィークの中盤には、新たに「アニエスベー(agnès b.)」と「アー・ペー・セー(A.P.C.)」がショーをキャンセル。公式参加数は7ブランド減って68ブランドとなった。
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 フランス国内の新型コロナウイルス感染者は、3月4日の時点で212人。パリコレ期間中にも増加傾向にあったため、主催するオートクチュール・プレタポルテ連合協会や関係者には、慎重な対応が求められた。ブランドによってはスタンディングエリアを無くしたり、プレスルームの入り口や会場間を移動するシャトルバス、ショー会場などにアルコール消毒液を、一部のショー会場にはマスクを用意。また、フランス政府が感染症の予防のために握手やビズ(頰へのキス)を控えるよう呼びかけており、一般的な挨拶が会場内外で見られなかったことも、普段とは異なる光景だった。
 各ブランドのPR担当者など、日本を含むアジア地域からのスタッフの渡航を中止もしくは制限したブランドが多く、一部の展示会やイベントの案内がキャンセルに。2月27日に予定されていた「LVMHプライズ」のカクテルレセプションも急遽中止となった。
 中国からのジャーナリストやバイヤーらが渡航を見送り、その他のアジア地域からの参加者も減少したことで、空席が見受けられたショーもあった。ブランドが特別に招待するアジアからのセレブリティも少なかった印象だ。最終日の「シャネル(CHANEL)」は通常通りの規模でショーを行ったが、会場に来られない参加者らの状況を鑑みて、ショーのライブ配信を初めて実施した。
 各ショールームではパリコレ期間中から終了後にかけてセールスが行われているが、来場できないバイヤーらに対しては、オンラインでの営業や受注に切り替えるなどの措置をとっている。しかし来場者の減少と今後の先行きが不安視される状況から、ビジネスへの影響も出はじめているという。
 今回のパリコレに予定通り参加したブランド関係者からは「アジア人に対する差別は特に無く、スタッフの協力もあってショーはいつも通りに行うことができた」「とにかくできることをやるしかないと感じた」「こういう時だからこそ、本当に必要なもの、夢のあるものを届けられたら」といった声が聞かれた。
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