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米司法省がGoogleに「独占禁止法捜査に非協力的」と警告 法的処置も辞さない構え

2020年03月03日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

https://www.washingtonpost.com/technology/2020/02/27/google-doj-antitrust-evidence/より

 アメリカ司法省は、2月24日付けでGoogle宛に送った書簡で、反トラスト法(独占禁止法)違反捜査への非協力的な態度を非難し、対応に改善が見られない場合、法的処置も辞さないと示唆した。


(参考:YouTube、2019年の収益額はなんと1兆7000億円 Googleが初公表


・Googleは「協力している」と反論
 『The Washington Post』が“匿名の人物からの情報”として報じたところによると、ライアン・ショアーズ副司法長官の署名が入った書簡がGoogleに届いた(参考:https://www.washingtonpost.com/technology/2020/02/27/google-doj-antitrust-evidence/)。


 内容は「独占禁止法違反の捜査に伴い、2019年10月に証拠提出の法的な命令が発せられたにもかかわらず、Googleはそれを遅延させており、容認し難い」というもの。


 さらに「捜査当局は、検索エンジン、広告、Androidオペレーティングシステム(OS)に関する記録を要求しており、3月2日までの期限を与え、Googleが対応しなければ、更なる手段を講じざるを得ない」とした。アメリカ司法省が取りうる次なる手段は、裁判所がGoogleに記録提出を強制する民事調査請求だ。


 同記事によると、Googleスポークスマンであるジュリー・タラロ・マカリスター氏は、既に数百万ページの書類を提出しているとし「弊社は、規制当局に協力してきた実績があり、プロダクトが選択肢を生み出し、消費者や企業を支援する努力を続けます」という声明を発表した。


 Googleはテキサスなどの州政府からも、独占禁止法違反を追及されている。米国の規制当局は、以前にも独占禁止法違反の可能性についてGoogleの捜査を行い、企業解体や厳重処分を下すことも検討されたが、結局お咎めはなく、2013年に捜査は打ち切られた。


 2019年8月には、アメリカ司法省がGoogleの持株会社Alphabetに対し、米国や他地域における「過去の独占禁止法に関連する捜査記録」を提出するように、といった法的命令も発していた。


・EUで3年連続の巨額制裁金
 また、欧州連合(EU)の欧州委員会は過去数年間で3回、EU競争法(独占禁止法)違反でGoogleに制裁金を科している。


 2017年6月には検索のショッピング比較で、自社に有利な内容を優先的に表示させたとして、24億2000万ユーロ(約3100億円)の支払い命令が下った。


 翌年の2018年7月には、アプリと抱き合わせることで、Androidの支配を不当に強めたとして、43億4000万ユーロ(約5500億円)が科された。


 そして2019年3月には、Google AdSenseのオンライン広告における支配的な立場を濫用し、他社の広告を排除したとして14億9000万ユーロ(約1900億円)の罰金を科すことを、マルグレーテ・ベステアー欧州委員は決定した(参考:https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_19_1770)。


 これ以外にも、巨大化する米国のテクノロジー企業は、世界中で規制当局との緊張が高まっている。


 過去にはMicrosoftが、アメリカや欧州で同様の制裁を科されたが、近年ではGAFAと呼ばれるGoogle、Amazon、Facebook、Appleへの風当たりが強くなっており、大統領選の民主党候補指名争いにおいても、“テックジャイアントの解体”は一つのトピックになっている。


 5社あわせたGAFAMは、大きな成功を収めているがゆえ、これらの試練に直面しているといえるが、この流れは避けようもないのだろうか。


(Nagata Tombo)