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iPhoneのバッテリーも“取り外し式”に? EUが新たな設計基準を提案

2020年03月03日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

https://www.macrumors.com/2020/02/27/apple-removable-batteries-europe/より

 スマホのバッテリーが本体よりも早く寿命を迎え、対処に困る経験は多くの人が持っているだろう。しかし、将来的に簡単にバッテリーが取り外し出来る設計が欧州連合(EU)で義務化される可能性があることが分かった。


(参考:iPhone 12の“次世代機能”が続々リーク 新色にネイビーブルー採用?


 オランダのメディア『Het Financieele Dagblad』がリークしたところによると、3月中にも正式に提案されるという。


・環境対策も、少なくとも2021年までは現状維持
 バッテリーを取り外し可能にする設計が義務化されても、変化には時間が必要で2021年のGalaxy S21(仮)やiPhone 13(仮)で設計変更されることはないというのが『TechRadar』の見方だ(参考:https://www.techradar.com/news/all-new-iphones-might-be-forced-to-have-a-removable-battery)。


 これを義務化する背景には、業者に持ち込む必要がなく、ユーザーが簡単に取り替えることができれば、携帯の使用期間が延びて、電子機器のゴミを減らすことができるという、環境保護の観点がある。


 この義務化は、EUで販売する携帯端末のみが対象となるが、人口5億人でドイツ、フランス、イタリアといった国々をカバーする巨大な市場の基準を満たさない製品が大幅に価値を落とすため、事実上、世界中に影響することになるだろう。日本では近年、これに似たケースで、SIMロック解除が義務化される動きがあった。


・充電ポートの統一規格にも反対したAppleは反発必至
 EUでは、同じく環境対策として、携帯電話の充電ポートを統一規格USB Type-Cにすることが決定している。


 これにより、年間約51,000トンの電子廃棄物が減ると報告されている。しかし、Appleはこの決定に不服で、イノベーションが抑え込まれ、Lightningデバイスが廃棄され、ゴミは増加すると主張している(参考:https://thenextweb.com/plugged/2020/02/27/leaked-eu-legislation-would-force-apple-to-use-removable-batteries-in-its-iphones/)。


 以前、バッテリーが取り外し可能な携帯もあったが、AppleのiPhoneは取り外しが出来な構造であり、それがトレンドとなり、2020年現在、バッテリーが固定されていないハイエンドのスマホは皆無だ。


 バッテリーが寿命を迎えた際に簡単に交換できれば便利だが、携帯メーカー側にも、現状そうしていない理由がある。バッテリーを固定することには、ユーザーがデバイス内部やバッテリーを損傷させることを防ぐ意味もある。


 『MacRumors』は、iPhoneが取り外し可能なバッテリーに準拠するためには、大幅な設計変更を行う必要があると指摘する(参考:https://www.macrumors.com/2020/02/27/apple-removable-batteries-europe/)。


 取り外し可能なバッテリーを使用すると、iPhoneは防水機能やスリムなデザイン等を失う可能性があるという。


 Appleは「iPhoneは充電ポートUSB Type-Cを採用するには薄すぎると」反論しており、バッテリー設計の規制にも反発することだろう。


 これまで、独特の設計やデザインがiPhoneをiPhoneたらしめてきた。環境対策というのは一定の理解は出来るものの、合理化の波がiPhoneの個性を奪ってしまうのは、少し寂しい気もする。


(Nagata Tombo)