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Dragon Ashストリーミング解禁で音楽ファンが生み出した“祝砲” バイラルチャート上位に複数曲ランクイン

2020年03月03日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

Dragon Ash『FANTASISTA』

参考:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest


 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(2月27日公開:2月20日~2月26日集計分)のTOP10は以下の通り。


1位:Powfu「death bed (feat. beabadoobee)」
2位:Official髭男dism「I LOVE…」
3位:KERENMI「ROOFTOPS feat. 藤原聡」
4位:LiSA「紅蓮華」
5位:BTS「Black Swan」
6位:Dragon Ash「Fantasista」
7位:Dear Cloud「Silver Lining」
8位:相沢「ベノム」
9位:Dragon Ash「Let yourself go, Let myself go」
10位:YOASOBI「夜に駆ける」


 トップ10入りした楽曲の中で今週フォーカスを当てるのは、問答無用でDragon Ash。2月21日にストリーミングサービスへ322曲を解禁し、「Fantasista」「Let yourself go, Let myself go」の2曲がランクイン。トップ30まで遡ると「陽はまたのぼりくりかえす」(12位)、「Deep Impact feat.ラッパ我リヤ」(14位)、「Viva la revolution」(24位)の3曲もピックアップされている。


(関連:Dragon Ashは常に“ステージの上”で生きてきた デビュー20周年、今夜Mステ初出演!


 5曲はそれぞれ納得のラインナップだが、このうち「陽はまたのぼりくりかえす」「Let yourself go, Let myself go」はいわゆる“初期DA”の楽曲。いずれもシングルカットされたが、ミドルバラードの前者と、彼らのミクスチャーロックスタイルが花咲いた後者では、楽曲の性質も違うし、どちらかといえばエッジィな音楽性の「Let yourself go, Let myself go」がオリコン週間シングルチャート初登場4位を獲得しているというのが面白い。さらに「Let yourself go, Let myself go」がバイラルチャートで9位にランクインしているのは、当時この曲や音楽番組で披露した“名パフォーマンス”に衝撃を受けたリスナーが多かったことの証左と言えるだろう。


 続く「Viva la revolution」「Deep Impact feat.ラッパ我リヤ」は、“伝説の曲”こと「Grateful Days」以降の楽曲。前者はレゲエやボサノヴァの要素を多く取り入れたアルバム『Viva La Revolution』のタイトルトラックで、後者はラッパ我リヤを迎え、SONYの「MDウォークマン」のCMソングにも起用されるなど、勢いに乗るDAの“強さ”を見せつけたロックナンバー。〈いよいよ壁は無くなるぞ〉のパンチラインも有名な日本語ラップのクラシックだ。


 そしてバイラルチャートで順位が最も高いのは「Fantasista」。大ヒットを叩き出した「Life goes on」に続く楽曲として、『2002 FIFAワールドカップ』のテーマソングに起用され、毎日のようにテレビや街から聴こえてくると、あっという間に彼らの代表曲に。ライブやフェスでもKjの「ミクスチャーロックは好きですかー!?」という名フレーズとともに演奏されたりと、音楽ファンの記憶に強く残り続けている楽曲だからこそ、どの楽曲よりも多くストリーミングされることになったのだろう。


 また、DAのストリーミング解禁に他のアーティストと違う点を挙げるとすると、彼らは同じバンドとは思えないくらいに“ミクスチャーロック”という枠組みの中で音楽性を変化させ続け、広いジャンルのリスナーに影響を与えていること。どの時期・アルバムが好きかという話題で“語り”を発生させることができるのは、特異なキャリアの積み上げがあってこそだ。


 以前にL’Arc~en~Cielの一斉解禁時にも書いたが、ストリーミングにおけるカタログの一斉解禁は、ファンダムの強さとキャリアの長さがバイラルチャート入りを左右する(参考:https://realsound.jp/2019/12/post-462120.html)。今回5曲が上位に入ったことは、バンドとしてドラマティックな出来事を経験してきたDragon Ashを支える、“強いファンたち”が生み出した“祝砲”のようなものなのだろう。(中村拓海)