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ポランスキー監督が仏版アカデミー賞を受賞した瞬間、女優達が怒りの退場「全ての性被害者を軽蔑する行為」

2020年03月01日 12:02  Techinsight Japan

Techinsight Japan

ロマン・ポランスキー監督の最優秀監督賞受賞に女優ら猛反発
現地時間2月28日、フランス版アカデミー賞にあたる「セザール賞」授賞式がパリで開催された。最優秀監督賞は、過去に未成年に対する性的犯罪容疑で有罪判決を受けたロマン・ポランスキー監督(86)が受賞した。その瞬間、同監督の受賞に抗議した女優のアデル・エネル(31)が式典を退場。数名の出席者達も彼女に続いてその場を後にした。

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ロマン・ポランスキー監督は映画『J’accuse(英題:An Officer and a Spy)』がセザール賞で12部門にノミネートされたことで、大きな議論を呼んでいた。ポランスキー監督は1977年に13歳の少女を強姦したとして、法廷強姦の罪で有罪判決が下された。42日間刑務所で精神鑑定を受けた後、仮釈放中にフランスへ逃亡。米国側からの身柄引き渡し要請は阻止され、ハリウッドから長期に渡る逃亡生活を送っている。

ポランスキー監督が最優秀監督賞を受賞したと告げられた瞬間、会場からはブーイングの声があがった。観客席にいた女優のアデル・エネルは席を立ち、「恥!」とひとこと言い放って退場した。彼女は10代の頃フランス人の映画監督から性的被害を受けた事実を明かし、フランスの映画界で性的被害を告白した第一人者なのだ。

式典ではアデルに続いて映画監督のセリーヌ・シアマが退場、その後も抗議する人々が続々と会場を立ち去った。授賞式の司会を務めた女優兼コメディアンのフローレンス・フォレスティはポランスキー監督の受賞発表後、式典には戻らなかった。のちに自身のインスタグラムを更新し、真黒な画面上に「嫌悪感を抱いた」とコメントした。

2019年には、フランス人の女性がポランスキー監督から性的被害を受けたという新たな告発をしている。そのため授賞式当日にはポランスキー監督のノミネートに抗議するフェミニスト活動家達が集まり、会場前でプロテストを行っていた。ポランスキー監督は事前に身の危険を感じていると話しており、本人と撮影クルーは式典に出席しなかった。

今回のセザール賞におけるポランスキー監督のノミネートはフェミニスト活動家らを憤慨させ、賞のボイコットを呼びかける運動にまで発展した。こういった動きの中、2月初めにはセザール賞理事会のメンバー全員が辞任している。式典後には総会を開催し、新しい理事を選出する予定とのことだ。

式場を真っ先に退場したアデル・エネルは先日、米紙『The New York Times』のインタビューに応じ、ポランスキー監督がノミネートされたことについてこう語っていた。

「ポランスキーの名を際立たせることは、すべての犠牲者を軽蔑することになる。女性に性的危害を与えることが、さほど悪いことではないと言っているようなものよ。」



(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)