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ユアネスのサウンドが生む、聴き手を無防備にさせる瞬間 『One Man Live Tour 2020 “ES”』 恵比寿リキッドルーム公演を観て

2020年02月26日 19:42  リアルサウンド

リアルサウンド

ユアネス(写真=Daisuke Miyashita)

 暗転するフロア。満員の観客のざわめきがピタリと止まる。濃いブルーのバックライト。ステージはまだ薄闇の中に沈んでいる。メンバーのシルエットが動く。拍手。スタンバイする4人。静寂。手紙を読む女性の声。最新作の2nd EP『ES』のオープニングを飾るポエトリーリーディング、「あなたは嘘をつく」が流れる。息がつまるような緊張感。静寂は続く。ため息のような女性の呼吸。切り取られた写真のように、ほとんど動かないステージと観客。そこにいる全員が、まるで感情をセーブするかのように、次の瞬間を待っていた。明滅する白い光。黒川侑司(Vo/Gt)の歌声が、次の瞬間を持ってきた。最新作のタイトルにもなっている「ES」が放たれる。会場全体の緊張感が一気に高まったように感じられた。観客それぞれが、全身でユアネスの放つエネルギーを受け止めようとした瞬間だったのだと思う。


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