2020年02月26日 18:42 弁護士ドットコム
子どものいる夫婦が、不和による別居をするにあたっては、どちらか一方が子どもとともに家を出ることが多い。子どもと離れて暮らす親14人が2月26日、子の「連れ去り」を防止する立法措置を国が怠り多大な精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法1条1項に基づき、1人あたり11 万円の国家賠償を求めて集団提訴した。
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原告らは、一方の親が、もう一方の親の同意を得ずに子どもを連れて別居することを「連れ去り」と表現している。提訴後、東京・霞が関で会見を開いた代理人の作花知志弁護士は「子どもの連れ去りが日本では横行しているが、それを防ぐための立法措置を講じていない国会の責任を問う裁判だ」と語った。
訴状などによれば、原告は「配偶者に子を連れ去られた(引き離された)結果、憲法13条(幸福追求権、人格権)、憲法24条1項により保障されている(1)リプロダクティブ権(子を産み育てるかどうかを意思決定する権利)、(2)親権、(3)監護権の基本的人権を、それぞれ侵害された」としている。
日本が加盟する「ハーグ条約」は原則として、片方の親が16歳未満の子を国外に連れ去った場合、親の求めに応じて元の居住国へ引き渡す。ハーグ条約では国内については対象ではない。
作花弁護士は「この裁判を通して法律が変わり、ハーグ条約に適合する国内法になること。いわば親による子どもの誘拐、無法地帯のような状態をなくすことがこの裁判の最大の目的だ」と話した。