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NAMBA69らがライブシーンの”現場”の熱さを証明 『JMS presents BODY and SOUL SPECIAL』レポ

2020年02月25日 18:02  リアルサウンド

リアルサウンド

『JMS presents BODY and SOUL SPECIAL』(写真=TAKASHI KONUMA)

 2月9日に東京・新木場STUDIO COASTで、『JMS presents BODY and SOUL SPECIAL』が行われた。同イベントは、インディーズレーベルの運営やディストリビューション、『REDLINE』などを手がけるジャパンミュージックシステム(JMS)主催のライブイベント。2018年10月に行われたライブツアー『JMS presents BODY and SOUL TOUR』のヘッドライナーが一堂に会し、一夜限りの復活を果たした。本稿では、熱い一夜となったイベント全体をレポートする。


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 この日の出演バンドは、COUNTRY YARD、Crystal Lake、NAMBA69、NOISEMAKER、Northern19、SHADOWSの計6組。ロック、ハードロック、パンク、メタルコア、メロディックパンクなど音楽性はバンドによって異なるが、しっくりくるメンツというか、違和感のない顔ぶれだ。会場の外には、フードエリア、物販エリアがあり、ちょっとしたフェスのような仕様になっていて、音で遊ぶ準備は万全を期していた。


 各バンド持ち時間40分のステージ。合言葉は「ホイッサー!」。トップバッターのSHADOWSは、1曲目の「Fail」が始まるなりクラウドサーフ、ステージダイブが続出。オーディエンスの衝動が爆発していた。「BEK」でのHiro(Vo)の叫びからは、イベントにかける彼らの並々ならぬ意気込みが感じられ、この1日に一気にエンジンがかかった瞬間だった。2番手のNorthern19は、勢いがかかったオーディエンスに「一括りに最高のロックショーだ!」と投げかけ、個性あふれるバンドが揃い、ファンもバラバラなのかもしれないが、ジャンルレスに楽しんでほしいと語った。メロディアスな「THE NIGHT WITHOUT A STAR」からパンキッシュに1分台で駆け抜けていく「SUMMER」まで、幅広い楽曲を備えたセットリストが、そうした彼らの音楽への想いを体現していたと言ってもいい。また、NOISEMAKERは「Yay Yay Yay Yay Yay Yay Yay Yay」で場内に大きなシンガロングを起こしたかと思えば、この2年の間に生まれた自身の代表曲「NAME」で勝負。彼らならではの軽やかな身のこなしでオーディエンスを沸かした。


 イベント後半の狼煙を上げたCrystal Lakeは、1曲目の「Prometheus」からフロアを完全に掌握する圧巻のパフォーマンスを披露。攻撃的なサウンド、強烈なブレイクダウンでまくし立て、“ホイッサー”コールにのせて酒を煽るなど、カオスすぎるステージングを見せつけた。「Mercury」ではHiro(SHADOWS)がステージに登場し、Ryo(Vo)のシャウトと織り成すコントラストがあまりにも美しい名演を披露した。続く5組目COUNTRY YARDは、今年でアルバムデビューから10周年。「I’ll Be With You」「Starry Night」などで、シンプルなメロディ・演奏・歌で自分たちが培ってきたスタイルをしっかりと提示した。昨年リリースされたベストアルバムでもラストナンバーだった「Smiles For Miles」で締め括り、彼らがこれからも歩みを進めていく意志、そしてこの『BODY and SOUL』がとても大切な場所なんだという想いを強く感じられるステージだった。どのバンドのライブも見ていて飽きない場面の連続で、このイベントだからこそ見ることのできる特異な光景だったように振り返る。


 この日のハイライトはなんといっても大トリを飾ったNAMBA69だろう。イベント開催直前の2月3日に、ドラムのSAMBUの脱退・新メンバーの加入が発表され、この日が現体制でのラストライブとなった。当初、ラストライブなどを行う予定はなかったそうだが、主催者のKTR氏がNAMBA69を大トリにするという粋な計らいで、実現したとのことだった。ステージにはNAMBA69のファンが寄せ書きした横断幕がオーディエンスから届けられ、しんみりとした空気が漂っていたが、そこはさすがのNAMBA69。「湿っぽくさせてゴメン!」と、いつも通りの音楽を届け、それに応えるようにオーディエンスも盛り上がりを増していく。「SUMMERTIME」では、難波章浩(Vo/Ba)がマイクの位置を変え、SAMBUの方に体を向けて歌ったり、ko-hey(Gt/Cho)が「そんなしみったれた感じでやってらんねーから、メロディックパンクなめんなよ!」と叫び、オーディエンスを奮い立たせるなど、ダイナミックな演奏が繰り広げられラストライブへの想いを感じるプレイを見せつける。途中のMCでSAMBUは、涙ぐみ声を詰まらせながら「今日は感謝の気持ちを伝える以外ないと思ってきました」と、オーディエンス、バンドメンバー、スタッフへの感謝の想いを述べた。


 「TAKE ME HOME,COUNTRY ROADS」では、いつも難波が歌うイントロ部分をSAMBUが歌うスペシャルバージョンを披露。「MY WAY」では、出演した他のバンドメンバーもステージに集合し、フロアへダイブ。さらに、クラウドサーフしながらステージ上に集合したたくさんのオーディエンスが、SAMBUのドラムセットの周りを囲み、肩を組みながら歌ったりタオルを掲げたりして、最後の時をめいっぱい楽しんでいた(あの光景が美しすぎて涙を堪えながらペンを走らせました)。計15曲の最後にはSAMBUもフロアへダイブ。その後、最後の1音まで想いの丈をのせて力一杯叩ききり、出演バンドに胴上げされながらNAMBA69としての最後を飾った。熱の篭った素晴らしいラストステージ、これ以上のはなむけは無いだろう。NAMBA69の新たな旅の始まりはなんとも眩しいものだった。


 2年ぶりの開催で、一人のバンドメンバーのラストステージにもなった『JMS presents BODY and SOUL SPECIAL』。まだまだ現場が熱いことを証明するような1日であった。飛んで踊ってヘヴィな音に飲まれて叫んで汗かいてという楽しみ方が、ニッチな存在になったとしても、こうしたバンドやイベントによって、その火は絶えず燃やし続けることができるだろう。バンドとオーディエンスのロックの衝動が創り上げた素晴らしいイベントであった。また会える日を楽しみに、ホイッサー!(石見優里佳)