親日国として知られ、毎年多くの日本人観光客が訪れる「タイ」。特に首都であるバンコクは、ロサンゼルスに次いで世界で2番目に日本人が多い都市とされています。日系企業の進出も多く、ASEASN諸国の中でも日本人にとっても親近感のある国です。
そんなタイ・バンコクに「バンコクのアキバ」と呼ばれている場所があるのをご存知ですか? 近年、観光名所になりつつある老舗ショッピングセンター「MBKセンター(マーブンクローン)」のある一角です。
MBKセンターは1985年にオープンし、2017年に大規模リニューアル。建物もスタイリッシュなデザインに。BTSナショナルスタジアム駅直結で利便性も高いため、ガイドブックには必ず掲載されています。この建物の前で写真撮影をする観光客もいるほどです。
このMBKセンターは8階建て、広さはトータルで8万9000平方メートル。この広さは東京ドームの約2倍です。何千もの店が入っており、現地人のみならず常に国際色豊かな観光客で賑わっています。
実はこの建物内のある一角が、「秋葉原の電気街」のようになっていて「バンコクのアキバ」とも呼ばれているそうなのです。一体どうなっているのでしょうか。潜入してみました。(取材・文:MAMI)
電気屋も陳列が東南アジア! 陳列棚に同じ商品がギッシリ
その電気街エリアはMBKセンターの4階にありました。周辺の吹き抜けエリアには、あらゆる場所で飾られているタイのワチラロンコン国王の巨大写真とともに、NOKIAのスマホ広告、IJ SIAMという現地の印刷会社の広告で埋め尽くされています。
バンコクのアキバと呼ばれる一帯に入ると、広いエリアに大小様々なお店がみっちりと並んでいました。印象としては、「とても清潔で綺麗で明るい店内」。並んでいる文字を除けば、日本の家電量販店とそう変わらないように思います。外国人観光客の姿が目立ちます。
陳列している商品は、パソコンからタブレット、あらゆるメーカーのスマホ、カメラ、オーディオ機器、その他周辺機器まで幅広いです。また新品だけではなく中古の商品まで、本当に電子関係のモノならなんでも揃っていました。
日本と違う点を挙げるなら、同一商品の量。陳列棚に隙間もなく、同じ商品がギッシリと並べられています。売れ行きが良いためか、商品を陳列するのが面倒なのか。店舗にある在庫を全て並べているのかもしれません。ここらへんは少し東南アジアらしさを感じます。
「超最新の商品は置いてるのかな?」と思っていましたが、発売されたばかりのアクションカメラ「Gopro Hero8」がありました。また、日本のどこで買うよりも数千円ほど安い。品揃えだけではなく、価格的にも訪れる楽しさがありそうです。
ほかにも、ドローンやラジコンカーなど電子玩具も置いているお店も。商品は中国製品が多い印象です。日本でいうdocomoなどに例えられるタイのキャリア通信会社「true」の正規店舗もあります。
スマホは東南アジアで人気の中国通信メーカー「HUAWEI」の正規店もあり、ひっきりなしに多くの人で賑わっていました。「OPPO」「Xiaomi」などの人気中国通信メーカーの店舗もあります。「SAMSUNG」「Apple」のスマホも販売されていました。
噂によると、このMBKセンターには東南アジアでよくある海賊商品はほぼないとのこと。しっかりとした電気街として機能しているようです。
セールストークにのせられて充電器を買ったけど……
そんな中、とある店主の話術にのせられて「チャージャー(ポータブル充電器)」を購入しました。この店主、ネパール系ミャンマー人のとのこと。なぜかは分かりませんが他の店舗もインド系風、中華系風の店員さんがとても多かったです。
購入したチャージャーは中国製で、ブランド名の記載は特にありませんでしたが。驚くことに、スマホより少し重いくらいの180グラム、サイズもiPhone7と同じサイズ感で容量は20000mAh。iPhone 11 Proなら5回は連続充電できてしまうものです。
こんなサイズ感、充電容量、ワイヤレスチャージャー付で、お値段2500円程度。人気メーカー・Ankerの同容量商品(PowerCore Essential 20000mAh 日本のAmazonで現在3990円)でも重さは345グラム。サイズは一回り以上も違うのです。
それと比較してしまうと、あまりにもパーフェクトすぎるため怪しさもありましたが、「なにかの部品がとても軽いもので作られている」という説明で、妙に納得してしまいました。店主のセールストークにのせられて購入。
早速、チャージャーの充電をいっぱいにしてしばらく使ってみました。残念ながらiPhone7でも約3回しかフル充電はできませんでした……。はたして騙されてしまったのか、海賊版は置いていないと噂だったのに、海賊版だったのか……。
真実は分かりませんが、色々な電化商品に手頃な値段で挑戦できるのはこの電気街の面白さのひとつだと思います。また、MBKセンターには電気街以外にも、一日では見終えることができないほどのたくさんのモノが売られていました。
具体的には、ファッション、雑貨、土産品(海賊版含む)、食品、家具、アウトドア製品、ゲーム、レストラン街など、雑多な感じが楽しい、なんでも揃う「超巨大デパート」でした。