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新型コロナウイルスがファッションウィークに打撃、パリコレにも影響

2020年02月23日 09:12  Fashionsnap.com

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「サルヴァトーレ フェラガモ」がミラノで開催した2020-21年秋冬コレクションのショーの様子 Image by: FASHIONSNAP.COM
中国をはじめ各地で猛威をふるう新型コロナウイルスが、2020-21年秋冬シーズンのファッションウィークに影響を及ぼしている。ミラノで開催中のファッションウィークでは、中国や日本などから現地への渡航を自粛するエディターやバイヤーらが少なくない。2月24日に開幕するパリファッションウィーク(以下、パリコレ)も、すでに複数のブランドや担当者が参加をキャンセルしている。世界中から最も多くのブランドやファッション関係者が集う場であるため、ウイルスの感染拡大への懸念だけではなく、プロモーションやセールスといったビジネス面でも影を落としそうだ。
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 2月18日から24日まで開催されているミラノファッションウィークでは、「サルヴァトーレ フェラガモ(Salvatore Ferragamo)」などラグジュアリーブランドの日本のPRチームが現地への渡航を中止。一部ブランドの日本支社の社員や三越伊勢丹ホールディングスをはじめとする大手百貨店のバイヤーチームは、ミラノおよびパリへの渡航の自粛および派遣する人員の大幅な縮小などの措置を取っている。
 2月24日から3月3日にかけて行われるパリコレは、中国発の「Jarel Zhang」や「Mashama」、台湾発のブランド「シャッツィ・チェン(SHIATZY CHEN)」がショーの開催を見送る。また「シャネル(CHANEL)」が日本のPR担当者の現地入りを取り止めるなど、アジア地域から渡航するブランド関係者が減少。資生堂は日本からの参加を一部のメイクアップアーティストのみに縮小し、「ギンザ(GINZA)」「ヴォーグ ジャパン(VOGUE JAPAN)」「シュプール(SPUR)」「ヴァンサンカン(25ans)」といった女性誌はエディターらの渡航を自粛する予定だという。
 このほか、3月26日から開催予定だった上海ファッションウィークは延期が決定しており、日程の目処は立っていない状況だ。日本国内では、楽天が冠スポンサーを務める東京のファッションウィーク「Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 A/W」(以下、東コレ)は3月16日から21日まで予定通り開催する方針だが、参加を予定していた「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」は昨今の状況とショーの動員規模の大きさから中止することを決定した。
 各国のファッションウィークを長年取材している繊研新聞社の編集委員 小笠原拓郎氏は、現地の様子として「各会場で混乱は無くコレクションは淡々と進んでいる」としているが、ビジネスの側面では中国からの来場がほとんど無い状況について「影響は深刻」と危惧する。「過去には9.11でニューヨークコレクションが中止になったことなどもあるが、当時に比べてプレタポルテのビジネスが中国に依存する比率が高くなっているため、ビジネスへのダメージという点では今回の方が大きいかもしれない」。特に中国からの買い付けが売上の40%を占めるブランドもある中、発注に来られないバイヤーに対して対応策が求められるほか、現在の市場の景気動向から「発注控えも起こりかねない」と懸念している。
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