NPO法人WELgeeは2月、難民を対象にした日本初の人材紹介サービス「JobCopass(ジョブコーパス)」を始めた。母国での紛争や迫害から日本に逃れてきたアフリカ・中東・アジア出身の人材を対象に、育成から採用、定着サポートまでを一貫して行う。
リリースよると、日本へ逃れる難民は毎年およそ1万人にのぼるという。同法人は
「そういった人々の中にも様々な経験やスキル、志を持つ人材がいることに着目しました」
とサービス誕生の背景を語っている。
アフガニスタン人男性、日本でフルスタックエンジニアに
すでにヤマハ発動機や大川印刷などの7社が導入をスタート。実際に、日本に住む難民申請者からは
「50社以上に応募して面談に進むのだけど『難民』だと伝えると顔色が変わるんだ」(20代後半、男性、アフリカ出身)
「自分にも、日本社会に貢献できる部分があると思う。それを証明するチャンスが欲しいだけなんだ」(20代後半、アフリカ出身、男性)
といった声が寄せられている。
数いる難民申請者のうち、ビジネスで活躍できる人材を厳選。実際に難民人材に備わる3つの特長として「セルフスターター」「圧倒的な成長意欲」「異文化間の協働経験」を挙げる。
リリースでは「圧倒的な成長意欲」を持つ人の一例として、テロ組織IS(イスラム国)が活動し、内戦が続くアフガニスタンを逃れてきた20代男性のエピソードを紹介。
元々はフリーランスの中国語通訳者として活躍していたという男性。日本で難民となった後は、WELgeeの紹介でITベンチャーに就職。知識、経験がゼロの状態からプログラミングのトレーニングを受けたり、エンジニアとして実務に携わったりした後、現在はフルスタックエンジニアとして案件をこなしている、という。
同法人は「以上のような資質を持つ難民申請者を採用することは、日本企業が課題とする、閉鎖性や国際経験不足を解決しうる、一つの有効なアプローチになる」とアピール。これまでに同社を通じて、東アフリカ出身者を採用したことがあるヤマハ発動機の人事担当者は
「グローバルな意識を社員に浸透させる先導者としての役割にも期待している」
と期待を寄せている。
同法人で代表理事を務める渡部カンコロンゴ清花さんは
「難民認定される人数は、先進諸国の中でもぐんと少ない日本。国家と国連だけが、難民問題を解決するのではありません。社会に存在する様々なアクターと共に、新たな選択肢を作っていきます」
と力を込めている。