トップへ

自席でランチしながら「電話番」と来客対応…これも休憩時間にされちゃうの?

2020年02月19日 11:22  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

「昼休憩中でも電話番、来客対応を強制されているのですが、手待時間は労働時間にあたらないのでしょうか?」そのような相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。


【関連記事:部下が1人で宣言「有休消化で20連休します」、上司は「職場秩序」の崩壊恐れ苦悩】



相談者は、会社の昼休憩中も電話や来客対応するよう命じられているそうです。電話や来客が不意に来ることもあるので、必然的に自分の席に拘束されるため、気は休まりません。



「電話や来客があった際は、すぐに対応できるようにしています」と語る相談者。そこで「昼食をとったり、スマホやパソコンを見たり、業務以外のことをしている手待時間は、労働時間にならないのでしょうか?」と質問しています。



自由に休憩できない以上、このような待機(手待)時間も労働時間にあたるのでしょうか。金井英人弁護士に聞きました。



●休憩時間は「自由利用の原則」がある

ーーそもそも「休憩時間」とは、どのような位置付けにあるのでしょうか



まず、「休憩時間」とはどういう時間のことを指すのかについてですが、法律上、使用者(雇用主)は、労働者に休憩時間を自由に利用させなければならないとされています(労働基準法34条3項)。これは、休憩時間の「自由利用の原則」と呼ばれるものです。



つまり休憩時間は、食事をしたり、外出をしたり、身体を休めたりなど、業務から解放されて完全に自由に過ごすことができるのです。そうすることで、心身をリフレッシュさせて健康を維持し、仕事の能率を高めたり労働災害を防いだりすることが期待できます。



●「一見すると休憩しているように見える」けれども…

ーー相談者のように、休憩時間中に電話や来客対応をしなければならない場合、それは休憩時間にあたるのでしょうか。



電話や来客さえなければ、手待時間中も昼食をとったりスマホやパソコンを見たりできるわけですから、一見すると、それは休憩をしているように見えるかもしれません。



しかし、電話や来客があった場合には対応しなければならないという業務命令がある以上、その場を自由に離れることができません。そうすると、休憩時間の「自由利用の原則」に反することになります。ということは、こうした手待時間は休憩時間にはあたらないことになるのです。



ーー業務がある以上、労働時間とみなすのですね



そうです。会社は本来与えなければならない休憩時間を与えていないことになり、労働基準法に違反する可能性がありますし、その手待時間は労働時間として、賃金を支払わなければならないことにもなり得ます。



会社には、自由な休憩時間が何のためにあるのかを考え、休憩時間中は電話や来客対応を止めたり、きちんとした手続をとって交代制の休憩制度を導入したりするといった対応が求められます。




【取材協力弁護士】
金井 英人(かない・ひでひと)弁護士
愛知県弁護士会所属。労働事件、家事事件、刑事事件など幅広く事件を扱う。現在はブラックバイト対策弁護団あいちに所属し、ワークルール教育や若者を中心とした労働・貧困問題に取り組んでいる。
事務所名:弁護士法人名古屋法律事務所 みなと事務所
事務所URL:http://www.nagoyalaw.com/