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選択的夫婦別姓に自民議員も「賛成」の声 超党派40人で勉強会、法改正にはずみ

2020年02月14日 19:12  弁護士ドットコム

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選択的夫婦別姓について考える超党派有志勉強会が2月14日、東京・永田町の衆議院第二議員会館で開かれ、与野党から約40人の国会議員が参加した。


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選択的夫婦別姓を求める裁判を行なっているサイボウズの青野慶久社長による報告や、1996年当時に法務省民事局参事官として、選択的夫婦別姓の民法改正法案を答申した法制審議会の幹事を務めていた小池信之弁護士による基調講演があった。



選択的夫婦別姓の問題点として、子どもの姓をどうするのかという問題がある。勉強会では、夫婦別姓を選び、姓が異なる事実婚両親の子どもとして育った大学生と高校生も登壇した。



2人は「普通ではないと感じたり、姓が異なることで親との距離を感じるということは全くありませんでした」「両親のような人たちのために夫婦別姓も選べるようになってほしい」として、参加した各党党首や国会議員に対し、法改正を求める要望書を提出した。



●「家族の実情に合わせた制度を」

現在、選択的夫婦別姓を求める訴訟は複数、行われている。勉強会では、その一つである第二次夫婦別姓訴訟を担当する野口敏彦弁護士が法的論点を整理した。



続いて別の夫婦別姓訴訟を行なっている青野社長が結婚により妻の姓となったことで、さまざまな弊害があるとして、「国会議員の皆さまには早く立法していただき、精神的、経済的苦痛をとりのぞいていただきたいです」と訴えた。



選択的夫婦別姓をめぐっては、法制審議会が5年間の議論の末、1996年に民法改正をうながす答申を出している。



答申に携わった小池弁護士によると、男女平等推進の見地から、審議会で夫婦の婚姻および離婚について審議され、各界からの意見は選択的夫婦別姓について、大多数がなんらかの制度を導入すべきだという意見だったという。



その理由として、名前は個人の人格の一部であるから、婚姻によってこれを改めなければならないのは人格権の侵害につながるのではといったことが挙げられた。



しかし、法務大臣に対して答申があったものの、自民党内で了解が得られず、国会で提案されることはなく、現在に至っている。小池弁護士は「2020年にふさわしい法改正を」として、次のように語った。



「弁護士の立場から申し上げます。反対される方の中には、夫婦同姓が古来の伝統だという方が相当数おられますが、実はそれは、その家に所属する全員が同じ姓を名乗るという、 古い家制度です。厳密にいえば、夫婦同姓は戦後からの制度です。



また、確かに夫婦同姓は家族の一体感を醸成する役割を担っていたとは思いますが、弁護士として家族のありようは変化していると感じます。その中で、画一的に法律で決めるのではなく、家族の実情に合わせた制度にすべきではないかと思います」



●「政界でも圧倒的に選択的夫婦別姓の流れ」

勉強会では、選択的夫婦別姓制度がないために、事実婚となっている夫婦らが当事者として国会議員に声を届けた。



今回、約40人の国会議員が参加していたが、与野党関わらず、選択的夫婦別姓について議論を求める声は広がっている。



自民党の木村弥生衆院議員は、「選択的夫婦別姓については、自民党内にも賛成意見があります。私の地元の京都でも、少子化の中、老舗同士の結婚で家の姓を継承することに困難を感じています。目的が一緒であれば、たくさんの賛同を得られますので、実家の姓を継承するといった観点からも考えていければと思います」とコメントした。



また、共産党の志位和夫委員長は、「現在の制度は、『強制的夫婦同姓制度』です。私たちが目指すのは選択的夫婦別姓制度で、誰の不利益にもならない。野党でも立憲民主党、国民民主党と足並みが揃ってきています。自民党からも賛成の声があがってますし、公明党もそうです。政界でも圧倒的に選択的風別姓の流れになっています。力を合わせて実現していきたいです」と語った。



このほか、勉強会には立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表らの姿もあった。



勉強会を企画した「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の井田奈穂事務局長は、「(私たちは)訴訟や地方議会から夫婦別姓を求める声をあげています。今回の勉強会を通じて、法改正の機運が醸成されているように感じます」と話している。