2020年02月14日 16:42 弁護士ドットコム
同人誌の海賊版サイトに、無断で作品をアップロードされて、著作権(公衆送信権)を侵害されたとして、漫画家の女性が、海賊版サイトを運営するIT関連会社とその代表らを相手取り、1000万円の損害賠償をもとめた訴訟で、東京地裁(佐藤達文裁判長)は2月14日、約219万円の支払いを命じる判決を下した。
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原告は、漫画家で、漫画やアニメ、ゲームなどの同人作品をつくる活動もしている。女性向けの同人誌の海賊版サイト7つ(現在はすべて閉鎖)で、彼女の同人作品(漫画)が無断で掲載されていたため、2018年12月、運営会社のアクラス(熊本市)を提訴した。
判決文などによると、アクラス社は「女性の作品が違法な二次的著作物だから、損害賠償請求は信義則違反、または権利の濫用にあたる」などと反論したが、東京地裁の佐藤裁判長は「違法な二次的著作物であると認めるに足りる証拠は存在しない」と判断した。
賠償額も争点の1つになった。
作品ごとにアクセス数(PV)を表示しているサイトと、そうでないサイトがあった。そのため、原告側は、前者については表示されているアクセス数、後者についてはウェブサイト分析ツール「シミラーウェブ」を使って、アクセス数の推計を主張した。
一方、佐藤裁判長は「シミラーウェブの推計結果に基づいて認定できない」として、アクセス数が表示されていないサイトについて、アクセス数の平均から推定。そのうえで、作品ごとの全アクセス数から作品のページ数をわった数を出したうえで、著作権法114条1項にもとづいて賠償額を算出した。
女性の代理人をつとめた平野敬弁護士によると、今回のケースでは、海賊版サイトの運営者を特定した方法は次のようなものだ。
(1)まず、海賊版サイトに貼られている「ウェブ広告」をたどって、広告代理店を見つけ出す
(2)そのうえで、弁護士会照会制度(弁護士法23条)を使って、広告代理店から、海賊版サイトの運営会社に関する必要事項を照会してもらう
平野弁護士は判決後、「海賊版サイトの運営者は、現在の法律などをうまく組み合わせれば、特定できる」「さらに、広告代理店に開示義務などを課すようにルールを変えれば、より一層に効果が大きいはずだ」と述べた。