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IDOLiSH7は大きな変化の時を迎えているーーサブスク解禁を機に振り返るグループの歩み

2020年02月14日 10:21  リアルサウンド

リアルサウンド

 2020年2月5日より主要サブスクリプションサービスで、IDOLiSH7の楽曲の配信が開始された。同日に発売された2nd LIVE『REUNION』のBlu-ray BOXも、オリコンデイリー1位を獲得。波に乗っているアイドルのサブスク解禁というニュースは、大きな話題となった。


(参考:TRIGGERの持つ“強さ”とは何か 『Crescent rise』に表れた変化と自信


 これまで様々な楽曲を発表してきたIDOLiSH7。デビュー曲「MONSTER GENERATiON」や、賞レースを戦った「MEMORiES MELODiES」「ナナツイロREALiZE」など、希望に満ちた明るいJ-POPが彼らの得意とするところだ。これは、センターを務める七瀬陸のキャラクターが象徴するように、明るく前向きな元気をくれる正統派アイドルグループのカラーそのものと言える。


 7人のメンバーの個性を活かした楽曲も豊富である。リーダーの二階堂大和がその表現力を最大限に発揮したクールな「GOOD NIGHT AWESOME」、和泉一織がセンターを務めた「Perfection Gimmick」はスタイリッシュで大人びた一曲だ。


  グループ内ユニットの楽曲も多彩で、メンバーの組み合わせの妙を味わえる。和泉一織と七瀬陸による「Fry away!」や、二階堂大和・和泉三月・六弥ナギの「ピタゴラス☆ファイター」は、ファンの中ではユニット名として呼ばれ定番となった。


 IDOLiSH7としてデビューする以前に、正式にユニットとしてデビューしている四葉環と逢坂壮五によるMEZZO”も、定評のあったバラード曲に加え、最近ではロックテイストの強い楽曲にも挑戦しジャンルの幅を広げている。


 そんな中、1月にリリースされた最新シングル『Mr.AFFECTiON』の収録内容は、IDOLiSH7の新譜としては驚きの内容だった。


 表題曲「Mr.AFFECTiON」は激しさを感じる一曲だ。ブラックオアホワイトで「#白く染め上げろ」というハッシュタグが使われたが、まさに激しい吹雪で一面が白銀になるような勢いを感じさせる。四方から飛んでくるような7人の声を、七瀬の華のあるボーカルがまとめてあげている。


 前述のように、メンバー1人の個性を活かしたクールな曲はあったが、今回のようにセンターの七瀬を中心に構成された楽曲で、ここまで“かっこいいIDOLiSH7”を前面に打ち出したものはなかったように思う。クールな1曲をIDOLiSH7がそれぞれの声を活かして仕上げてきたこと、ブラックオアホワイトという大舞台にぶつけてきたことに驚いたファンも多かったのではないだろうか。IDOLiSH7の新たな魅力が開花したと言えるだろう。


 アニメ『宝石の国』など透明感のある映像に定評のある制作会社・Orangeが手掛けた珠玉のMVからも、その違いは窺える。これまでのMVでもれなく描かれていたメンバーの満面の笑みは封印され、繊細で切実、強い意志を携えた表情が印象的だ。


 このシングルに同時収録されているのは、DHCとのタイアップでも話題になった「ハツコイリズム」。初恋を色鮮やかに歌い上げるラブソングだが、まるでメンバーそれぞれがIDOLiSH7というグループへの気持ちを吐露するようにも聴こえ、切ないメロディと相まって印象的な一曲だ。(「Sakura Message」もそうだが、いつも元気いっぱいのIDOLiSH7が歌うバラードは、いい意味でのギャップがあり胸に迫るものがある)


 IDOLiSH7のシングルに、冒頭に述べたような“明るく前向きな楽曲“が収録されていないのは初めてのこと。このことからもわかるように、今、私たちはIDOLiSH7というグループの大きな変化の時に立ち会っているのではないだろうか。


 今回のサブスク解禁ではRe:valeやTRIGGER、ブラックオアホワイトを戦ったŹOOĻの楽曲も同時に配信が開始。TRIGGERとIDOLiSH7のグループを飛び越えたシャッフルユニット曲や、ソロ曲なども配信されている。先輩グループやライバルの楽曲も併せて聴くことで、IDOLiSH7がこれまで歩んできた道を追うことができる。


 IDOLiSH7に限らず、アイドルの楽曲がサブスク配信されることの最大の利点は、“ファンのための曲”という枠を超えて楽曲そのものの魅力に多くの人が触れられるということだ。サブスク解禁をきっかけに、個性と物語の詰まった音楽とともにIDOLiSH7の魅力がより多くの人に伝わることだろう。


 常にドラマチックに成長してきたIDOLiSH7は、もう“新人アイドル”ではない。“フレッシュさ”や“応援したくなる”“身近に感じられる”といった魅力だけでは戦えないステージまで到達し、様々なテイストの楽曲を歌うようになってきた。


 多才なアイドルがひしめき、それぞれの個性を活かして凌ぎを削りトップを目指している中、IDOLiSH7がメンバーそれぞれの色を持ち寄り、どのようにグループに反映させていくのだろうかーー今後も彼らの紡ぐ物語と音楽を見守ってゆきたい。(草野英絵)