2020年02月13日 15:32 弁護士ドットコム
羽田空港へ向かう新しい飛行ルートに反対する団体は2月13日、日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見を開き、新ルートには深刻な騒音公害と事故時の地上死傷者のリスクがあり、運用を中止すべきと訴えた。
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訪日外国人数を4000万人に増やすという政府目標の一環として、国交省は、羽田空港の離着陸の回数を増やすために、東京都心部を低空で飛行する新ルートでテストを実施しており、本格運用は3月29日から始まる見込みだ。
会見した羽田問題解決プロジェクトの大村究代表は「航空機からの落下物はトラブルがなくても発生する。騒音対策も不十分だ。大きなリスクを抱えたまま、新ルートを運用してはならない」と語った。
国交省によると、羽田空港は都心から近く、24時間オープンしているという強みがあり、ビジネスや観光をしやすい環境であるとして、日本の成長を支えるためにも羽田空港の国際線の増便が必要だとしている。
その上で、滑走路の使い方を見直すとともに、新ルートを開設すれば、国際線の発着回数を最大で年間約6万回から9万9000回に3.9万回増やせると試算している。
大村代表は、羽田空港の機能強化自体を否定するつもりはないとした上で、「新ルートはどれも危険である」という。
特に、新ルートのうち、羽田空港の北方向から都心を低空で飛行して進入するルート(南風ルート)が問題だといい、「南風ルートの下には小・中学校がたくさんある。落下物で何かが起こってからでは遅い」と主張する。
会見に出席した日本航空の元パイロットである杉江弘さんは、「航空機の進入降下角度は一般的に3度だが、南風ルートは3.45度で設定されている。角度が急なほど、着陸は難しくなる。パイロットには極めて難度の高いルートだ」とパイロット視点で危険性を訴えた。
新ルートのテスト飛行は1月30日からすでに行われており、夏ダイヤがはじまる3月29日から本格的な運用がはじまる予定だ。
大村代表は「新ルートの運用をすぐにでも止めるべきで、止めるための行政訴訟も検討している」という。
そのうえで、「(訴訟などをするにしても)実際にはすでにテスト飛行がはじまっており、3月29日までに止めさせるのが現実的に難しいことは承知している。しかし、新ルートの運用は、東京五輪が終わるまでといった一時的なものではない。将来を見据え、新ルートを固定化させないための行動を続ける必要がある」と述べた。
また、杉江さんも「こんな都心を飛ぶなんて空港は世界のどこにもなく、都心の上空で大事故が起こらないという保証はない。パイロットにも困難を強いるルートであり、国交省は今すぐ新ルートの運用を止めるべきだ」と主張した。