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『ゼルダの伝説 BoW』から『ポプテピピック』まで 『Skyrim』で広がる再現Mod文化

2020年02月13日 15:12  リアルサウンド

リアルサウンド

ESV Skyrim SE Mod : Breath of the Wildrim by GodlySandwich

 日常的にPCゲームを嗜むユーザーなら「Mod」という言葉に見覚えはないだろうか。”modification”を語源に持つModは、PCゲームの内部データ改変・改造を指す用語である。実際に用いられる改変データの種類は様々。ゲーム攻略を快適に進めるための補助ツールもあれば、グラフィックや音声、UIをガラッと一新する大掛かりなものなど、ゲームタイトルを問わず有志の手によって色々なModが作られている。


(参考:VR対応『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』海外レビュー 「VR酔い」するが「次善の策」がある?


 本サイトでは以前『マインクラフト』で動作する「ハリー・ポッター」再現Modをご紹介したが、今回は『The Elder Scrolls V: Skyrim』(以下『Skyrim』)用に制作された「Breath Of The Wildrim」を取り上げる。まずは下記のトレーラーをご覧いただきたい。


 Breath Of The Wildrimは、ゲーム内グラフィックを別データに差し替える改変Modだ。開発を手掛けるReallyBigSandwich氏によれば、このModを導入することで「リアル調に描かれたビジュアルから一転、『Skyrim』の世界に『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下『BoW』)が誕生する」とのこと。こちらは全て一から作り直されるわけではなく、「Artistic Skyrim Overhaul」という既存Modを活用して制作されている。Breath Of The Wildrimの正確なリリース日自体は未定だが、開発者は米掲示板サイトredditにて共同制作者を募り、鋭意製作中の模様だ。


 同じ『The Elder Scrolls』シリーズにフォーカスすると、『Skyrim』で過去タイトルの再現を試みるプロジェクトも始動している。その名も「Skywind」と呼ばれるModは、2002年発売のオープンワールドRPG『The Elder Scrolls III: Morrowind』(以下『Morrowin』)を、『Skyrim』で再構築するという壮大な内容が特徴。制作にあたってはMod開発チームTESRenewalが有志らに働きかけ、モデリング作成を中心に推し進められている。開発の方針を打ち出した2015年から今年で5年目を迎えるが、開発に携わる製作者の熱心な取り組みは以前として継続中のようだ。


・大きな話題を呼んだ『ポプテピピック』再現Mod
 上記2件は”ゲームタイトル”を再現したModだが、中にはアニメ作品のネタをそのままゲーム内で再現可能なModも存在する。2018年1月にひげよし氏によって生み出された「Pop Team Epic Helmet」は、アニメ作品『ポプテピピック』(2018年1月~3月放送)の第1話で挿入された劇中ネタを意識したもの。本Modを『Skyrim』へ導入すると、『ポプテピピック』のメインキャラクター・ポプ子&ピピ美の頭部をヘルメットとして装備可能となる。


 冒頭のオープニングシーンからハッキリと映るアニメキャラの顔は、本作の重厚な世界感とは裏腹にシュールそのもの。Mod制作の背景には「アニメ内で流れた『Skyrim』パロディをそのままゲーム内に逆輸入した」というエピソードもあり、実際の使用シーンを収めたツイートは4万件を超えるいいねと、3万件ものリツイート数を記録。なお、ひげよし氏は他にも同じ形式のModを『Fallout4』用に開発。こちらもいいね・リツイート数をあわせて1200件もの反応を得ている。


 2020年11月11日で発売から9年目を迎える『Skyrim』だが、Mod共有サイトや掲示板を通して繰り広げられファン同士の活発な交流を見るに、まだまだ衰える影を見せてはいない。一意専心でMod開発に打ち込む製作者のおかげで、今後も人々の心を惹き付けるユニークな作品が産声を上げそうだ。


(龍田優貴)