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報ステ「社外スタッフ切り」はジャーナリズムの危機 当事者「まるで使い捨て」

2020年02月13日 14:52  弁護士ドットコム

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テレビ朝日が2019年末、報道番組「報道ステーション」のリニューアルを理由として社外スタッフ約10人に、2020年3月末の契約終了を通知した問題で、メディア関連の労組でつくる「日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)」は2月13日、衆院第一議員会館で緊急院内集会「『報ステ』を問う」を開催し、報道番組のジャーナリズムの萎縮を警戒した。


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MICは、契約終了を通知された社外スタッフはいずれも政治や社会問題に精通し、報ステのジャーナリズムを支え続けた中核メンバーであるとし、「真摯に番組制作に取り組んできた労働者の権利と尊厳を踏みにじる行為で 、経験豊かなスタッフの大量排除は、事実上の番組解体にもつながるものだ」とテレ朝に契約終了通知の撤回を求めてきた。



一方、テレ朝は契約終了を認めたうえで、同局の別の報道情報番組への就業を打診していることから、派遣切りや雇い止めには当たらないと主張している。



報ステでは2019年秋、当時チーフプロデューサー(CP)だった男性局員による社外スタッフを含む複数の女性に対するセクハラも発覚。労働・雇用の問題が立て続けに起きたことで、現場には不安が広まっており、MICはジャーナリズムの萎縮を危惧している。



●テレ朝の問題体質

MIC議長で新聞労連中央執行委員長の南彰氏(朝日新聞)は、報ステで起きたセクハラと社外スタッフ切りの問題点を指摘する。



まず、セクハラをしたCPは解任されたが、会社側が下した処分は「謹慎」(3日間の出勤停止)という軽いものだったこと。



そして、社外スタッフの契約終了が通知されたことを受け、民放労連所属のテレ朝の労組も会社側と交渉し、次の職場を早めに確保するなどの約束を取り付けた。しかし、1カ月半たっても次の職場が未定のスタッフがほとんどだという。



契約を打ち切られることになった当事者のコメントが紹介された。



●「まるで使い捨て」「テレ朝の言葉を社外スタッフは誰も信じていない」

「今日何を伝えるべきか、世の中に届けなければならないことは何なのか、時には闘いながら、毎日の放送を出してきました。しかし今回の事態は、そうした現場スタッフの姿勢を否定するものだと受け止めざるを得ません。



ひいては、視聴者の方の知る機会を奪い、報道機関としての役割を果たすことができなくなるのではないかという危惧を覚えます」(1人目の当事者)



「少しでも政治や社会や日本がよくなればとの思いで、番組のため10年以上尽くしてきたのにまるで使い捨てされたようで残念です」(2人目の当事者。以下も同じ)



「基本給も社員とは雲泥の差がある現状で、さらに残業代や休日出勤手当も出ない中、日本で一番見られている報道番組との自負もあり頑張ってきた。今回、このような雇い止めにあい、自分達の契約状況が希薄で脆弱だと改めて思い知らされた」



「テレ朝側は今回の措置は雇い止めではないと主張しているが局内で働く多くの社外スタッフは誰もがその言葉を信じてない状況です」



セクハラの当事者への軽い処分や、理不尽な打ち切りを経験した報ステの現場では、モチベーションの低下が起きているという。MICでは、社外スタッフ切りがテレビ業界全体に広がる悪しき前例になることを懸念している。



●メディアにとって自殺行為



緊急集会に参加した国会議員も一様に懸念の声を上げた。共産党の宮本徹衆院議員は「こんなことでは番組で労働問題も取り上げられなくなる。メディアにとって自殺行為だ」とし、契約終了通知を「ただちに撤回すべきだ」と呼びかける。



TBSの報道番組キャスターや記者を務めた立憲民主党の杉尾秀哉参院議員は、ライバル局の報道ステーションを「特別な番組です。細切れのニュースのコンテクストをつなげて本質を伝え、中学生でもわかるニュースでした」と評価した。



社外スタッフ切りの問題が発覚した後に報ステ関係者と会って話を聞いたそうで、「番組が大きく変質しようとしているそうです。それは(局の)幹部の意向で、もっと数字が取れてお金になる番組にしろという行こうがあるのではないか」と話した。



集会の最後には、「実力のあるスタッフの雇用不安のない労働環境作りをメディア企業に求める」「派遣スタッフ契約終了の撤回をテレビ朝日に重ねて要求する」などの意向を盛り込んだ集会宣言が提案され、採択された。集会宣言はテレ朝と番組スポンサーに送付されるという。