2020年02月12日 10:12 リアルサウンド
NEWSが、3月4日にニューアルバム『STORY』をリリースする。NEWSはこれまで、グループ名の頭文字を取り、「N」=『NEVERLAND』(2017年)、「E」=『EPCOTIA』(2018年)、「W」=『WORLDISTA』(2019年)と、コンセプチュアルなアルバムプロジェクトを繰り広げてきた。「S」=『STORY』の収録曲を見てみると、「STORY」から始まり「NEW STORY」で締めくくられている。シリーズの集大成にして、NEWSの新たな物語の始まりとなる本作への期待が一気に高まる。
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NEWSが、このアルバムプロジェクトで見せてくれたものとは何か。発売日までのカウントダウンをしながら、改めてこれまでのアルバムを振り返り、最新作『STORY』を最大限に楽しもうではないか。今回紐解きたいのは、すべての始まりとなった第1章『NEVERLAND』だ。
「ようこそNEVERLANDへ――」
ディスクをセットし、再生ボタンを押すと、聞こえてきたのは“ミスター・インポッシブル“と名乗る、案内人の声。まるでテーマパークにいるかのような心が躍るBGMと共に、「鍵を見つけてくれてありがとう。目の前にあるこの時空の扉、これはあなたの旅のゴールでもあり、旅の始まりでもあります。楽しみ方は、あなた次第」と語りかけられる。
アルバムの初回封入特典には、実際に鍵のモチーフと招待状が。「いつでもどこでもこの鍵は、ネバーランドにつながる不思議な鍵。招待状が届いたあなたを、世にも美しい、Fire,Water,Ray,Sound,Dance,Love,and Magic!の世界に、ぼくたち4人がいざないます」のメッセージを添えられているというニクい演出も。
まるでどこかの国のおとぎ話に、足を踏み入れたような世界観。火の中、水の中へと冒険を繰り広げ、音楽に合わせて踊り、恋と魔法がきらめくNEVERLAND。NEWSの4人がヒーローならば、それを聞く誰もがヒロインになれる。そんな現実を飛び越えた世界に一気に引き込まれるのが、このアルバムの衝撃だった。
続いて、オープニングから異国情緒なサウンドが妖しげに響く「NEVERLAND」が耳に飛び込んでくる。聞き慣れた彼らの歌声なのに、いつもよりスパイシーな歌い方に、少し戸惑う。姿形はそっくりなのに、パラレルワールドの4人に出会ったような感覚だ。暗闇の中、松明を掲げて突き進むかのような力強さ。その先に待つ何かが楽しみなような、少し怖いような。だが、4人と一緒なら、きっと楽しめるはず、見知らぬ世界の旅も!
そんな気持ちでいると、街の上を気持ちよく飛び回るような爽快感あふれる「アン・ドゥ・トロワ」が聞こえてくる。まぶたを閉じると、月、星、街の灯り、そして弾けるような彼らの笑顔が、浮かんでくるようだ。そして、今度は4人がジャケットを翻し、24時を示す時計台の光を背に「EMMA」を歌い始める……というのは、筆者がアルバムを聞いていて見えた景色。あなたが聞いたときには、どんな風景が見えただろうか。それぞれのまぶたの裏に広がって見えるのが、『NEVERLAND』の魔法だ。
ミスター・インポッシブルの口から、NEWSメンバーはこんなふうに紹介されている「ポテスターテム(動力)を司る手越祐也。テンプス(時空)を操る小山慶一郎。ベルビス(言葉)を奏でる加藤シゲアキ。スペクタクルム(美観)を生み出す増田貴久」これは、彼らが現実のNEVERLAND=コンサートを創り出すときの役割を示しているのかもしれない。
持ち前のフィジカルとメンタルの強さで、NEWSの音楽をグイグイと引き上げていく手越。「BLACK FIRE」を聞けば、その歌に対する熱量を感じずにはいられない。そんな手越に感化されるように、3人の歌声もパワフルに響く。それまで抱えていた感情があふれたように歌う「U R not alone」にも思わず胸が熱くなる。時にマグマのようにブワッと吹き上がる4人のエネルギーを調整し、MCとしてまとめていくのが小山だ。もちろん、これほどNEWSのエンターテインメントに物語性を生んだのは、作家としての才能を開花させた加藤がいればこそだし、その世界観を衣装など見える形にしているのが増田の美的センス。
4人それぞれが培ってきたものを集めると、こんなに素敵な世界が広がるという証明。誰ひとりとして欠けては、この夢のような作品は創り上げることができなかったという確信。それが、第1章『NEVERLAND』だった。もちろん、そんな彼らに心惹かれて集まった制作スタッフたちの才能が融合し、このファンタジックなアルバムは生まれた。そして、この始まりが、ファンの愛によって育まれたからこそ、第2章の『EPCOTIA』と続いたのだ。
“NEWSが創り出す次なる世界が見たい“その想いこそが、このアルバムプロジェクト4部作の原動力にほかならない。(佐藤結衣)