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武漢から戻った家族、力ずくで検疫センターに連行される 「なぜ検疫を拒否するのか」疑問の声も(中国)<動画あり>

2020年02月12日 06:02  Techinsight Japan

Techinsight Japan

新型コロナウイルスの検疫のため強制連行される家族(画像は『NBC News 2020年2月9日付「Video appears to show people in China forcibly taken for quarantine over coronavirus」』のスクリーンショット)
日本では中国・武漢市からチャーター機で帰国した人に検疫が行われているが、このほど中国国内で武漢市から戻った家族が新型コロナウイルスの感染を懸念した自治体によって検疫のために力ずくで連行された。その様子を捉えた動画がSNSに投稿され物議を醸している。『NBC News』『New York Post』などが伝えた。

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中国では地域自治体や警察などによって新型コロナウイルスに感染している疑いがある人を、強制的に検疫センターに連行しているようだ。SNSではその様子を捉えた動画が次々と投稿され、その手荒な連行の仕方に非難の声があがる一方、検疫を拒む人達に対して疑問視する声も続出している。

今月に入ってから江蘇省蘇州市崑山市で撮影された動画がSNSで拡散したが、そこには「昆山市社会治理」と書かれた青い防護服を着ている地元自治体の職員と白い防護服姿の防疫課職員と思われる人達がマンションの一室に集まっていた。

『NBC News』によると、このマンションに住む一家は新型コロナウイルスの発生源とされる武漢市から戻ったばかりだったという。家族は症状が出ていないものの検疫を受けるよう求められており、これを拒んだようだ。動画では防護服の男性が「準備はできているか?」と尋ねると、家主は「まだ準備などできていない」と返答する様子が捉えられている。

結局、防護服を着た集団によって家族は腕や脚などを掴まれて力ずくで部屋から引きずり出された後、救急車に乗せられた。まるで人権を無視したような自治体の行為に多くの人が驚いたようで、次のような声が見受けられた。

「なんてことだ。まるで『シンドラーのリスト』のワンシーンのようだ。」
「こんなに酷いことをするのか。これが共産主義のやり方なんだよな。」
「なんて悲しいことだ。この家族は死の部屋へと連れていかれるんだよ。」

しかし一部の中国人達の考えはシビアなようで、この自治体のやり方について擁護するコメントも見受けられた。

「職員を責めるべきではないと思う。なぜこの人達は検疫を拒否するのか理解できない。」
「これはしょうがないよね。政府はまず多くの人の安全を確保するために村を隔離して国全体を救うというやり方をするべき。」
「この家族は自分達のことしか考えてないじゃないか。」

中国国内の一部の検疫センターではベッドがきちんと隔離されておらず、トイレや薬も十分に用意されていない場所で隔離され、非感染者が隔離された場合には「すぐにウイルスに感染してしまうだろう」と指摘する意見もあった。

もっとも感染者の多い武漢市では、今月2日に武漢政府が「検疫の経過観察期間は健康診断の結果に基づいて決定する。患者はそれに対して協力的であることが求められる。もし非協力的な対応をとった場合は法に則り、警察が介入する」と述べている。

またその数日後には、国務院副総理の孫春蘭氏が武漢市を訪れており、ウイルス感染拡大を重く受け止めたのか「ウイルスを封じ込めるための観察・検疫においては、誰一人として検査漏れがないように徹底すべきだ」と強く訴えていた。



画像は『NBC News 2020年2月9日付「Video appears to show people in China forcibly taken for quarantine over coronavirus」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)