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「歩きタバコは凶器」刑罰を求める声も…なぜ警察は取り締まらないの?

2020年02月08日 10:22  弁護士ドットコム

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受動喫煙対策の強化により、街から喫煙できる場所が減ってきている。一方で、「歩きタバコになぜ刑罰が科されないの?」、「警察に取り締まりをしてほしい」など、歩きタバコに対する怒りの声が止むことはない。


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小学2年生の子どもがいる主婦のアオイさん(30代・女性)も「歩きタバコは凶器です」と怒りをあらわにする。



事件はアオイさんが子どもと2人で歩道を歩いているときに起こった。路上喫煙が禁止されている場所にも関わらず、突然タバコの臭いが漂ってきたという。不思議に思っていると、突然子どもが「ギャッ」と叫んだ。



「私たちの前に歩いていた人が、いつの間にかタバコに火をつけ、吸いながら歩き出していたんです。子どもは目の前に出てきたタバコの火に驚き、声を上げたと言っていました」(アオイさん)



アオイさんの子どもは無事だったが、歩きタバコをする人のタバコが当たり、こめかみや目の付近に火傷を負った子どもや、手の甲を「根性焼き」されたという人もいるようだ。



●過料は「行政罰」で「刑罰」ではない  

危険な「歩きタバコ」をなくすためには、どうすれば良いのだろうか。中には、「歩きタバコ」を禁止するだけではなく、違反した場合の罰則も用意している自治体もある。



たとえば、東京都・千代田区では、2002年に全国初の罰則つきの条例(「生活環境条例」)が成立。道路上や区が指定する公共の場所で喫煙した場合は、2000円の「過料」を払わなければならないとされる。





「過料」は「刑罰」とは違うのだろうか。また、条例に違反して「歩きタバコ」をした場合はだれが取り締まるのだろうか。小野智彦弁護士はつぎのように語る。



「『過料』は行政罰で、『刑罰』は文字通り刑事罰です。刑事罰の中に『科料』というものがあります。これは、1000円以上1万円未満の軽い犯罪について科す財産刑です。



一方『過料』は、国または地方公共団体が行政上の軽い禁令を犯した者(たとえば、行政上の義務や地方公共団体の条例などに違反した者)に対して科する金銭罰となっています。



『過料』はあくまでも行政罰ですので、行政職員が取り締まることになります。市の条例であれば市役所の職員が、県の条例であれば県の職員がおこないます。刑事罰ではないので、警察の管轄外ということになり、警察が取り締まることはできないことになっています」



●「暴行」「傷害」にあたる可能性も

実際に「歩きタバコ」によって怪我を負った人もいる。この場合、「歩きタバコ」をした人を「過失傷害」罪に問うことはできないのだろうか。



また、中には、怪我はしていないものの、「歩きタバコ」自体が人の健康を害するとして「傷害」罪にあたるのではないかという疑問も出ている。



小野弁護士は「もちろん、怪我を負ったということであれば、『過失傷害』となり、刑事罰の対象になります」としたうえで、歩きタバコ自体については次のように説明する。



「歩きタバコ自体が『人の生理的機能を害する』とまでは言いにくいのですが、わざとタバコの煙を吹きかけることは『暴行』罪になることがあります。そこから副流煙などの病気になれば、『人の生理的機能を害する』ことになり、『傷害』罪に発展する可能性はあるでしょう」



たとえば、わざと人の顔にタバコの煙をふきかけたり、喘息を持っている人がそばにいると知りながらタバコを吸い、喘息の発作を発生させたりすれば、「暴行」や「傷害」の罪に問われる可能性があるだろう。




【取材協力弁護士】
小野 智彦(おの・ともひこ)弁護士
浜松市出身。1999年4月、弁護士登録。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏が漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴した事件などの代理人を務めた。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。
事務所名:大本総合法律事務所
事務所URL:https://www.facebook.com/lawyerono/