増税後、景気は本当に良くなっているのだろうか。2月5日の「モーニングCROSS」(MX系)では、京都大学の藤井聡教授が消費税率を5%に引き下げることの必要性を語った。
経産省の発表によると12月の小売業販売額は前年比で2.6%減少。この原因について「暖冬の影響で暖房や衣類の売り上げが減少したため」と考えているようだ。これに対して藤井教授は、
「政府は消費税のせいで景気が悪くなったって言いたくないので、経産省から内閣府から官邸から、みんな一包みになって景気が悪くなっているのを隠蔽しているんですよ、と僕は思うんですよね」
と話す。また小売業販売額を見ると、「97年の5%増税、14年の8%増税、19年の10%増税、(小売業販売額は)どれでも増税すると前年同月比がズドンと下がっている」と指摘した。(文:石川祐介)
増税で経済状況が冷えこむ日本 今後様々な苦難が押し寄せ"令和恐慌"に?
藤井教授は続けて、「今回の増税は過去2回よりも酷い落ち込みをしている」
「過去の増税では駆け込み需要があって(販売額が)ドンとあがってズドンと落ちた。今回は駆け込み需要があった。今回も駆け込みしてるんですけど弱々しい」
「小売全体のことですからとてつもないことが起こってる」
と話す。キャッシュレス還元など様々な施策を講じたにもかかわらず、駆け込み需要に飛びつけるだけの余力のある国民が如実に減っていることが、今回の増税で明らかなになったという。
さらに、「日本が駄目になったのは1997年に増税したから」「過去20年間、世界の中で最も成長していない。(日本は)文字通り世界一の低成長国家」と語気を荒げる藤井教授。続けて、
「コロナウイルス騒動、オリンピックが終わるだけで恐慌になります。ブレグジットになり円高になって輸出が減る。イラン問題は石油価格の高騰に結びつく可能性がある。米中経済戦争はまだまだ続く。日米FTAで対米輸出は縮小する」
と10%増税で経済状況が冷えこんでいる日本に今後様々な苦難が押し寄せ、"令和恐慌"を引き起こすだろうと予想する。「消費税を5%しない限り、日本経済は奈落の底に沈むことは避けがたい」と減税の必要性を訴えた。
「消費税を上げること」が目的化している?
司会の堀潤さんは「財務省はなんで(景気悪化するとわかっていて)消費増税を推し進めるんですか?」と質問すると、「ここ10年、20年、『消費税率を上げる』ということで政府の中でずっと戦い続けてるんです」と消費税率を上げることが目的化していると指摘。
政府はその影響を全く鑑みていないが、消費税の減税は「政局が動かないと難しい」と高いハードルを語った。
ネット上には「日本が経済成長しなかったのは人災でしょ。しかも改善する気も無いし」と今の経済状況は政治家が元凶であるという人や、「消費税廃止してくれる党に政権交代しないとダメだね」と選挙を待ち望む人もいた。
また、増税するのであれば最低賃金も引き上げる必要があるが、「これだけ所得が増えないのに税率は上がる。なのに対策しない国会議員が増える謎」という声も。全く実施されていない現状への不満もあがっている。今後の政治の動向は他人事と思わず厳しい目を向ける必要がある。