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『あいのり』は“恋リア”という枠に収まりきらない? 新シーズン、次々にメンバー倒れる“過酷さ”に注目

2020年02月07日 12:52  リアルサウンド

リアルサウンド

『あいのり:African Journey』

 2019年9月よりNetflixにて放送を開始した『あいのり:African Journey』が、2020年1月30日で最終回を迎えた。本作は、恋愛バラエティ『あいのり』シリーズの第3弾である。1999年に『あいのり』としてフジテレビ系で放送が始まって以来、今日まで多くの視聴者に愛され続ける長寿番組で、かつて社会現象まで巻き起こした。『テラスハウス』シリーズや『バチェラー』シリーズよりも長い歴史があり、芸能人ではなく一般人の参加者が恋愛する姿を追うリアリティーショーブームの火付け役とも言える『あいのり』。メンバーが、真実の愛を探すべく、ピンクのラブワゴンに乗って、アフリカ各地を旅する今回もまた、ルールは「告白してOKならキスして帰国、NOなら一人で帰国」というもの。恋愛以外にも、旅先の土地について理解を深める企画など、様々なコンテンツが用意されている。


(関連:『あいのり』でっぱりん&じゅんきインタビュー やっと見つけた真実の愛「一緒にいられると思った」


 『あいのり:African Journey』最終回では、2組のカップルが成立。シーズン全体としては、これで3組のカップルが誕生したことになる。


 そんな今回の旅だが、内容的には非常に過酷だったように思う。歴代の『あいのり』シリーズの中でも、屈指のハードさだったのではないだろうか。その理由として、風土病である腸チフスやアメーバ赤痢に感染して気力・体力ともに限界を迎えたことによってラブワゴンを降りていったメンバー(コウ)がいたことや、高山病になりながらキリマンジャロを登山し、スタッフ・メンバーともにバタバタと体調を崩していったことなど、健康面でのハプニングが挙げられる。


 異国を旅しながらの恋愛ドキュメンタリーが本作品の魅力だが、今回は国外ならではの苦労が浮き彫りとなった印象だ。同時に、こういったアクシデントも含めてリアルな他国のいまを知れるのは、本作の醍醐味とも言えるだろう。旅行に関心のある視聴者にとって参考になるだけでなく、他国実情を身近に感じられるのは、恋愛リアリティーショーにはあまり興味がない人たちにとっても、本作を楽しめる要素になっているはずだ。


 また『あいのり:African Journey』では、歴代同様、個性的なメンバーが活躍し、視聴者に様々なドキドキを届けてくれた。特に今回注目されたのは、フジテレビ系で放送されていた時代の『あいのり』で、史上最も長く旅を続けた男として一躍有名となったヒデが、新メンバーとして加入したことだろう。ヒデは約15年ぶりにラブワゴンに乗車し、恋に関わっていこうと一生懸命努力するが、年の差もありなかなか上手くいかず。最終的には、旅の途中でリタイアしてしまうという無念な結果となってしまった。


 さらに、度々名言を残してきたしゅうまいは、初期メンバーのハスキーと共に、最終回まで残ることに。ハスキーがJOYから告白を受けて帰国が決まる一方で、しゅうまいはなかなか恋が成就せず、結局、最後まで良縁が訪れることはなかった。ハッピーエンドを迎えたハスキーだが、彼女もまた旅の途中で病に伏したり、幼い頃から抱えていた心の闇を打ち明けたりと、困難や苦悩もたくさんあった。涙をたくさん流しつつも、最初から最後までみんなをリードしながら作品を盛り上げてくれたハスキー。最後はとびきりの笑顔で、旅のフィナーレを飾ってくれた。


 他の恋愛リアリティーショーではあまり見られない健康面・衛生面での問題や、知らない国に行く不安感とその土地で出会う新しいことへのワクワクなどが持ち味となる『あいのり』。地上波での放送当時は、時代を象徴する人気番組であった。これからも『あいのり』は、他の作品とは一味違ったアプローチで、恋愛バラエティを牽引していくことだろう。(文=Nana Numoto)