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吉川愛×萩原みのり×今泉佑唯が語り合う、映画『転がるビー玉』裏話と同年代への意識

2020年02月07日 12:32  リアルサウンド

リアルサウンド

(左から)今泉佑唯、吉川愛、萩原みのり(撮影:服部健太郎)

 映画『転がるビー玉』が2月7日より全国公開された。ファッション&カルチャーマガジン『NYLON JAPAN』の創刊15周年記念プロジェクトとなる本作は、かつてないほどの大規模再開発中の渋谷で、いずれ取り壊されることが決まっている古いマンションをシェアして生活する、3人の女の子の葛藤と幸せを描いた青春映画だ。


参考:吉川愛×萩原みのり×今泉佑唯『転がるビー玉』予告編公開 主題歌は佐藤千亜妃の書き下ろし楽曲


 メインキャストを務めたのは、吉川愛、萩原みのり、今泉佑唯の3人。モデルの愛を演じた吉川、編集者の瑞穂を演じた萩原、ストリートミュージシャンの恵梨香を演じた今泉に、それぞれの印象や撮影で印象に残ったことなどを語り合ってもらった。


ーー今回メインキャストとなった皆さんは初共演だったそうですが、それぞれの印象はどうでしたか?


萩原みのり(以下、萩原):私は2人と違ってオーディションで選んでいただいたので、すごいところに混ぜていただいたなという感覚でした。2人の名前を聞いたときに、「同じ場所に立っていいんだ」と思ったぐらいで。でも、最初に会った時、ずーみん(今泉佑唯)が歌っていたんです(笑)。


一同:はははは(笑)。


萩原:なんか大きな声で不思議な歌を歌っていて。だから、すごい変わった子だなと思いました(笑)。で、愛ちゃんはめっちゃクール。“変わった子”と“クールな子”という印象でした。


吉川愛(以下、吉川):あれ、自分で作った歌だよね?


今泉佑唯(以下、今泉):うん。なんかその場で思いついたトマトポテトの歌(笑)。


一同:(爆笑)


今泉:その時ぐらいからトマトポテトがめちゃくちゃ流行ってて。


萩原:まだ歌ってるんだ!(笑)


吉川:完成はしたの?


今泉:いや、してない(笑)。あそこだけ。


萩原:彼女、本当にすごいんです。今日もメイクしながら歌ってました。自分の面白さに気づいてないんですよ。


今泉:(笑)。逆に私は、ここに自分が入っていいのかなっていうぐらい、すごく不安だったんです。最初はなんかもう怖くて……。2人ともすごいクールだから。


吉川・萩原:ははは(笑)。


今泉:愛ちゃんは「絶対クールだ」ってなんとなくイメトレしてたんです。だけど、みのりちゃんが想像以上にクールで……。もうクールすぎるクール。「あ、どうしよう。場違いだ」と思っていました。


吉川:でも私は、みのりちゃんは大体想像がついてました。


萩原:お互い人見知りってことを察してたよね。


吉川:そう! 本当に人見知り同士なので、「あ、どうも」「すいません」みたいな。厚すぎる壁があって、最初は怖かったです。


萩原:それめっちゃ言われるんだよな~。


吉川:だって本当に怖かったもん!(笑)


萩原:(笑)


吉川:私もよく「初対面怖い」って言われるので、たぶん同じ部類なんだろうなというのは一瞬で分かりました。で、ずーみんは……(笑)。最初はおとなしい、クールなタイプかと思ったんですけど、180度違いましたね。


今泉:お!


萩原:褒めたんじゃない!


一同:はははは(笑)。


吉川:初めて会ったときに歌ってたずーみんを見て、「あ、こういう人なんだ」って一瞬で分かったんです。「人見知りしないんですか?」って聞いたら、「私全然しないのー!」って言ってて(笑)。その返答ですぐに理解しました。だから、思っていたイメージとは全然違いましたね。


――確かに実際にお会いすると結構ギャップがありますね。


今泉:えー、ありますか? ギャップ萌え?


吉川:そこまで言ってない(笑)。


萩原:自分で言わないで、本当に(笑)。でも、ずーみんがいなかったら私と愛ちゃんの壁は、絶対に取れなかったと思う。


吉川:うん、取れなかったね。


萩原:なんかもうずーみんが自由すぎて。私たち2人はそれに圧倒されるというか。ボケ対ツッコミ2人みたいな感じでした。


今泉:でも途中から変わったよね。ボケ(吉川愛)とツッコミ(萩原みのり)になったじゃん!


吉川:えっ!?


萩原:そう! なんか途中で移っちゃって(笑)。2人がボケになっちゃった。


今泉:えっ、気づいてないの? ボケだったよ!


吉川:えっ!? 気づいてない気づいてない。


今泉:途中からずっとボケだった(笑)。


萩原:いや、本当に。途中で覚醒したんだよ! 最初は一緒に回収する側だったんだけど、いつの間にか一緒にボケてた(笑)。


一同:はははは(笑)。


萩原:ここで私までボケたら終わるなと思った。


吉川:素が出てたのかもしれない。仕事のときはクールかもしれないけど、プライベートははじけるタイプなので(笑)。


ーー映画ではアドリブのシーンも多かったそうですね。


萩原:結構あったよね?


吉川:結構あったね。


萩原:クラブ帰りにコンビニ行くシーンのコンビニの中はほぼアドリブでした。あと停電のシーン。電気がバッて消えたあとも、ほぼ全てアドリブでしたね。


吉川:もともとは台詞があったんですけど、それを忘れていて(笑)。それで結果的にアドリブになったんだよね。


萩原:そうそう。お2人、どんどんテンションがぶち上がっていきましたね。


一同:はははは(笑)


萩原:もう回収不可能ぐらいまでテンションが上がっているのを、私が必死で拾い集めていました。


ーー皆さんが演じたキャラクターはそれぞれ悩みを抱えています。実際のお仕事とも近い部分があったと思いますが、共感できる部分はありましたか?


吉川:私が演じた愛は、モデルを目指してオーディションを受け続けるも、なかなかうまくいかない。一方で、一緒にやってきた人がすごい売れちゃって嫉妬心みたいなものも生まれてくる。同じ立場になったら確かに辛いし、努力しても追いつけない存在がいるのは悔しいので、そういうところはすごく共感できました。


萩原:瑞穂は、必死で今を生きているんだけど、感情が追いついていかないところがあって、それが1~2年前ぐらいの自分とすごく重なる部分があったんです。時間によってテンションが変わったり、言われた一言ですごく傷付いてモヤモヤしたり……。成長して受け入れられるようになってラクになったので、瑞穂ももう少し時間が経ったら、また変わるんだろうなと思いますけど、根っこの部分は理解できるなと。私のことを「芯がある」と言ってくれる方も多いんですけど、実際はそんなのなくて……。先輩とかの言葉に影響を受けて、昨日までは赤だと思っていたものが、次の日には白だと思うようになるタイプなんです。感情が毎日違うんですよね。こういう年頃ってそういうブレブレな感じが露骨に出ると思うんですけど、一緒に住んでる3人がぶつかり合ったりぶつからないように抑えてたりするのが、すごく共感できました。


今泉:2人と比べると恵梨香は結構明るい性格なんですけど、3人の中で唯一働いていなくて、親のお金で生活させてもらっている。演じていても、その後ろめたさから、本当にこれでいいのかなと思う時もありました。恵梨香はこのまま夢を追いかけていいのかなと。それが、自分が昔夢を追いかけていたときとすごく重なる部分もあったので、なんかジーンときましたね。


ーー皆さん同年代なわけですが、愛が悩んでいるように、他の同年代の役者の方の活躍を意識したりすることはあるんですか?


萩原:私はしますね。自分の中ではまだ全然いけてないので、「いろんな役をやれていいな」とかはすごく思います。実は、この作品のオーディションで私が言った言葉が、愛の台詞になっている部分がかなり多くて。


ーーそうなんですか?


萩原:私の一番の悩みが、「自分の強みがわからない」ことなんです。いっぱい女優さんがいる中で、私にしかできないことがあるのかどうかが分からなくて。そうなると、私じゃなきゃいけない理由がないというか、「その役誰でもやれちゃうじゃん」っていう……。そこが自分の中でずっとモヤモヤする部分で、いつか自分の「強み」をはっきりと答えられるようになりたいとはずっと思っているので、愛ちゃんのシーンを見てかなりくらいました。


吉川:でも、私も自分の強みがわからないから同じかも……。


萩原:私、オーディションの自己PR欄とかが、本当に苦手なんですよね。愛ちゃんは意識するの?


吉川:意識はあまりしないほうかな。「この役やってみたかったな」って思うことはもちろんあるけど、ライバル視することはないですね。自分は自分って思ってます。


今泉:私は誰かを意識しちゃうと、結構悪い方向に進んじゃうタイプなので、考えないようにしています。ネガティブになるし嫉妬心も生まれるから、一瞬だけ意識して、「ダメだ、ネガティブになっちゃう」って感じですぐ自分に戻ります。


ーー3人の中ではどうでしたか?


吉川:意識するというよりか、私は2人に助けられた感覚の方が強くて。特に最後に愛がすごい爆発しちゃうシーンで、2人には本当に助けられました。


萩原:嬉しいですね~。私は台本を読んでいた段階では、ずーみんがこんなに歌ってるとは思わなかった!


今泉:ははは(笑)。


吉川:確かに思ってたより歌ってたよね。


萩原:でも歌声がめちゃくちゃ綺麗で。あの歌のおかげで作品が締まる感じがしました。歌ってるときの表情もすごく好きで、観終わった後に「歌めっちゃよかった」ってメッセージを送ったら、「私まだ観てない」って返信が来た(笑)。


一同:はははは(笑)。


今泉:私、ギターを弾くシーンがすごく不安だったんです。でも、2人に聞かせるシーンがあって、そのときの2人の優しい表情を見たら、「あ、なんかできる気がしてきた」ってなって。だから、2人にはすごい背中を押してもらいましたね。(取材・文=宮川翔)