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凌、なぜビビの告白に中途半端な答えを出した? 『テラスハウス』第31話未公開映像

2020年02月06日 10:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(c)フジテレビ/イースト・エンタテインメント

 Netflixで配信されているリアリティーショー『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』。1月28日にYouTubeにアップされた未公開映像には、花と凌がダイニングで話している様子が収められていた。


(関連:凌、なぜ女性メンバー全員を敵に回した? 『テラスハウス』第30話未公開映像


「なんか恋愛って、難しいね」


 『テラスハウス』東京編にて、現時点で最もモテたメンバーと言えば、間違いなく凌だろう。花が一目惚れしただけでなく、ビビも入居後すぐに熱烈アタックを開始。愛華もまた一時期「ちょっと……私も凌くんのことが気になってて」(25th WEEK本編)とこぼしていたし、4日間ほどしか凌と一緒に過ごさなかった香織ですら「正直もっと話したかった。凌が初期メンバーにいたら、まずは絶対に凌とごはんに行ってたと思う」(卒業インタビュー)と語っていた。なぜ、凌がこんなにもモテるのか、関わる女性のほとんどを虜にしてしまうのかについては、以前のコラムで触れているため(参考:凌がモテる理由は“余裕と雄々しさ”にあり? 『テラスハウス』第23話未公開映像)、今回は彼を巡るテラスハウス内のラブバトルから感じた“恋愛の難しさ”を掘り下げていきたい。


 32nd WEEK本編で、テラスハウスからの卒業を宣言し、結局、誰とも付き合うことなく去って行った凌。最後に花から直接「2カ月半好きでした」と想いを告げられると、凌は「正直に言ったら、俺は花ちゃんのことを彼女とかそういう風には、見られなかった」とはっきり伝えていた。だが、ビビからの告白に対しては、断るものの最後まで“余白”を残していた凌。答えを先延ばしにし続けた結果、凌は「俺はビビちゃんがアメリカに行くって言ってたのが、すごく頭に残ってたし。だから、恋人っていう風にイメージができなかった」とあくまで“ビビが夢を叶えるには必然的に遠距離になるから、付き合えない”と説明し、ビビに期待を残すような(つまり諦めきれないような)振り方をしている。彼女からの好意を完全に拒否することもできず、凌は言葉を濁しながら曖昧な返事だけを残して、ビビがいない間にテラスハウスから逃げるように出ていった。


 なんとも煮え切らない終焉を迎えた、凌が主人公の恋物語。31st WEEKの未公開映像“It’s So Rough Being A Popular Guy”で、花が「なんか恋愛って、難しいね」と言っていたように、この恋愛模様は激ムズパズルかのように一つひとつのピースがはまっていかなかった。しかも、3人とも同じパズルに挑戦しているはずなのに、それぞれが感じていた“完成度”が違っていたのだから、進むに連れてどんどんグチャグチャになっていったのは、必然とも言えるだろう。


 ビビは凌とずっと両想いだと思っていたし、それはライバルである花の目から見てもそうだった。凌が花に、女性メンバー全員のことを「いま、女の子として特別な感情は持ってない。友達だと思ってる」と告げた夜。花が「でも私、凌さんはビビちゃんのことが好きなんだと思ってた」と指摘すると、凌は困ったような表情を浮かべて「俺、女の子に思わせぶることとかしたくないのね。でも、俺が気づかない間に勝手にそれしてるのかなって思った」と口にしている。主観的にも客観的にも、凌はビビに好意があるだろうと見えていても、二人が結ばれることはなかったのだから、恋愛とはなんて難しいのだろうか。いくら観察しても、いくら頭をフル回転させて考えても、他人の本当の気持ちは決してわからないのだから、もうお手上げた。


 つまり、ビビは凌と両想いであるはずのパズルを作っていたが、凌はビビと恋人になる未来が見えないピースをはめていた。花は凌との恋にほんの少しの可能性を期待して、何度も間違い手を止めながらもパズルを組み立てていたが、凌は花に全く恋愛対象として見ていないことを遠回しに伝えるピースを黙々と探し続けていたということになる。


 そして、この恋愛の難しさを痛感したのは、花とビビだけでなく、おそらく凌もまた然りだろう。凌は「いつ、俺が(花ちゃんを)どう思ってるのかっていうのを伝えるのがいいのかなって考えてた」と呟いたり、「可愛いとか綺麗とかさ、いい人とか面白いだけじゃ、俺は付き合えないと思うから」と語ったりしていた。また「たとえば、(これまでの生活だったら)興味がない女の人、好意を抱いていない人(にアタックされた場合)だったら、もうフェードアウトするだけじゃん? でも、一緒に住んでるとさ、それ以上の仲になる」とも打ち明けている。


 二人から猛烈にアピールされていた凌も、彼なりにたくさん悩み苦しんでいたのだろう。同じ家に住んでいるからこそ、彼女たちの好意から逃げることはできない(少々意地悪なことを言えば、全世界に配信されている以上、適当にあしらうこともできない)。加えて、ビビに至っては、凌自身も気持ちがわからず、明確な答えが導き出せなかったのではないだろうか。ビビへの想いを尋ねられるたびに凌は「ビビちゃん、アメリカに行くんでしょ? 俺、遠距離とかできないもん」の一点張りだった。まるで自分に言い聞かせるかのように。


 「自分の夢が一番大事」ときっぱり言い切る凌にとって、何事においても第一優先は“夢”。誰になんと言われても譲れないものが、“夢”なのだ。それは自分の夢だけでなく、相手にとっての夢も同じ。そして、凌は次に付き合う人と結婚したいとも話していた。すなわち、凌にとっては、結婚という未来が見えにくい遠距離恋愛はなし、だからと言ってビビが夢であるアメリカ行きを諦めてまで、自分のそばにいることもポリシーに反するから、絶対に受け入れることができない。もし、ビビが代わりに日本で夢を見つけたとしても、凌はそんな彼女に幻滅して急激に気持ちが冷めるように思う。ビビに女性としての魅力は感じているが、条件的に交際はありえない。でも、惹かれているのは確かというアンビバレントな感情が、凌の煮え切らない言動へと繋がったのではないだろうか。


 やっぱり恋愛は難しい。タイミングや条件などがすべて合致した上で、お互いを好きになることの希少さを改めて感じさせられた。凌のように絶対に譲れないものがあればあるほど、そのパズルはさらに難解になっていくように思う。


 ……と、三角関係の当事者たちの本音を推測し、ここまで長々と綴ってきたが、実際は凌が心の中で何を考え思っていたのかなんて、全くわからない。ましてや花もビビも、本当のところは全く違う心情かもしれない。結局、恋愛をはじめ人間関係において、いくら足掻いても、自分以外の誰かの心を100パーセント知ることなんてできないのだから。どんなに相手を想っても、決して見ることができない“真実”がなんともじれったい。(文=朝陽空)