2020年02月04日 10:11 弁護士ドットコム
「ラーメンと半チャーハンセット(890円)を頼んだのに、出てきたのはラーメンと半チャーハンと餃子セット(1080円)でした」。
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子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板で、スレ主が怒りの声を寄せています。(「聞いて下さい!お昼にラーメン屋さんに食べに行ったんだけど」)
スレ主は、店員に「注文と違う」ことを伝えたにも関わらず、「出したから食べてください」と言われ、食べたくもない餃子を食べることになってしまったといいます。ところが、会計では「ラーメンと半チャーハンと餃子セット」の代金1080円を請求されたとのこと。
「餃子は頼んでいない」とスレ主が説明しても、店員は「食べたのならば支払う義務がある」の一点張り。仕方なく、1080円を支払ったそうですが、「こんな事がまかり通るなら、何でもありになりますよね?」とスレ主は憤慨しています。
このように注文したものと違うものが提供された場合、代金を支払う義務があるのでしょうか。前島申長弁護士に聞きました。
ーースレ主と店員の行為は、法的にどのように説明できるのでしょうか
「スレ主がラーメン屋で『ラーメンと半チャーハンセット』を注文する行為は、『ラーメンと半チャーハンセット』の提供の『申込み』であり、店員が注文を受けた行為は、その『承諾』にあたります。
この時点で、ラーメン屋に、『ラーメンと半チャーハンセット』の『提供(財産移転)義務』が発生し、スレ主には『代金支払義務』が発生することになります。
今回は、提供されたものが、『ラーメンと半チャーハンと餃子セット』でしたが、スレ主の申込は『ラーメンと半チャーハンセット』ですので、『ラーメンと半チャーハン』については提供義務が発生することになります。
しかし、『餃子』については、契約の内容になっていませんので、店側に提供義務が発生しない反面、スレ主には、『餃子』分の代金支払義務が発生しないことになります。
したがって、この時点でスレ主は、自分の頼んだものは『ラーメンと半チャーハン』のセットである旨の意思表示を店側にし、『餃子』を引き下げてもらうことができます。なお、その場合は、当然『ラーメンと半チャーハンセット』の代金890円のみの支払義務が生じることになります」
ーー今回のケースでは、スレ主は店員に食べるよう促され、「完食」しています。このように「完食」してしまった場合は、代金を支払わなければならないのでしょうか
「提供された商品を完食するという行為は、『追認』(事後承諾)にあたります。そのため、スレ主には、『餃子』を食べ始めた時点で事後的に、『ラーメンと半チャーハン』だけではなく、『餃子』についての代金支払義務が発生することになります。
したがって、この場合には、1080円を支払う必要があると思われます」
【取材協力弁護士】
前島 申長(まえしま・のぶなが)弁護士
前島綜合法律事務所代表弁護士 大阪弁護士会所属
交通事故・労災事故などの一般民事事件、遺産分割・離婚問題などの家事事件を多く扱う。交通事故については、被害者側の損害賠償請求の他に加害者側の示談交渉・刑事弁護も扱う。
事務所名:前島綜合法律事務所