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自動運転車の技術を採用し、どこでもタッチスクリーンに変える超小型デバイスが登場

2020年02月04日 07:21  リアルサウンド

リアルサウンド

Kickstarterより

 タッチスクリーンのないスマホなんて今頃ないだろうが、「スマート」テレビにもパソコンにもタッチスクリーンを持たないものはまだまだ多い。そんなデバイスがタッチスクリーン式になったら利便性が増していいのに…いやそれよりも、わざわざ手を伸ばしてそこにタッチしなくてもジェスチャーを認識してくれるものだったらさらに便利なことだろう。


(参考:チームラボ、タッチしたり線を引くと変化する「小人が住まう黒板」をヘルシンキに常設展示


 そんなSFみたいなバーチャルタッチスクリーンを簡単に実現してしまうポケットサイズのデバイスが、Kickstarterでキャンペーン中の「GLAMOS」。開発するのは元Samsungのエンジニアだ。


・自動運転車に使われる技術でバーチャルタッチスクリーンを実現
 大きさは37mm x 34mm x 27mm、重さは17.7g。GLAMOSは小さなデバイスだが、これを中心に上方180度、左右1m以内の平面空間への「タッチ」を認識する。センサーは秒間40回認識、認識精度は1m以内であれば±2cm。


 仕組みは、自動運転車でも重要な役割を果たす光によるセンサー技術「LiDAR」。GLAMOSの内部からは850nmの波長の赤外線が放たれ、内蔵の回転する鏡により赤外線がセンサー範囲にぐるり照射される。範囲内に入力があればそれが光を反射するのでその距離が測定される(この一連のくだりはWikipediaのLiDARを説明するGIFアニメがわかりやすい)。測定データはタッチデータとしてデバイスへと送られ認識される。


 このLiDARセンサー技術は、自動運転車では周囲にあるものと車との位置関係を把握するのに用いられているものだ。それをバーチャルタッチスクリーンに応用することで、他種センサーを用いる従来の類似製品より小型化することが可能になったのだ。


・設定も簡単で対応デバイスも豊富
 セットアップも簡単で、特に別途ソフトやアプリのインストールは不要。使用したいデバイスと有線で接続するか、Bluetoothで接続すればすぐに使えるプラグアンドプレイ式だ。


 対応デバイスは、Android、iOS、PC(Windows 7以降)、macOS、そして「全ての」スマートTVとのこと。KickstarterキャンペーンページにはLinuxのロゴも見られる他、FAQページでは、「スマートではない」通常のテレビには今のところ対応していないが、開発チームは互換性を広げるため頑張っている旨が記されている。


・利点だけでなく欠点にも
 小型で持ち運びも簡単、設定も用意、他の類似ガジェットよりも対応可能な画面サイズが大きいことも魅力だ。そしてフィジカルなタッチスクリーンよりも優れる点としては物理的に触れる事が無いので衛生的であるという点があるだろう。


 その一方で、注意しないといけないこともある。プロモーション動画ではまるでGLAMOSがマイクロソフトのKinectなどのような立体認識ができるかのように映されたシーンもあるが、実際には空間上に平面の膜があり、そこを何かが通過すると認識されるものである。また、ズームなどのジェスチャーを見る限り複数タッチにも対応しているようではあるが、GLAMOSを基点に放射線状にレーザーが出る構造のため、GLAMOSとタッチ点に直線を描いたときにタッチ点より外側に来る空間をタッチしても同時に認識されることはない。


 GLAMOSが気になるという方は利点だけでなく、このような欠点も理解した上で決断するとよいだろう。


 リワードとしてはBluetooth機能の有無により約1万3000円の「GLAMOS Basic」と、約1万5000円の「GLAMOS Pro」が用意されており、Bluetooth機能を有するProの方が多少高くなっている。Kickstarterキャンペーンとしては記事執筆時時点(1月28日)で、目標金額に対し既に1400%以上となる1600万円ほどの出資が集まっている。リワード発送予定は2020年7月が予定されている。


(Yu Ando)