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『シロクロ』横浜流星が事件解決に奔走する理由とは? 解き明かされる謎とさらなる疑問

2020年02月03日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(c)読売テレビ

 レン(清野菜名)と双子の姉妹リコが実は入れ替わっていた過去が明らかになった『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(読売テレビ・日本テレビ系、以下『シロクロ』)の第4話。怒涛の勢いで謎が解き明かされ、直輝(横浜流星)を取り巻く環境は大きく揺れ動いていた。


【写真】スーツで黒縁眼鏡をかけた横浜流星


 精神科医の門田(山崎樹範)はレンとリコを入れ替わらせたことを暴露し、その行動を直輝に責められる。しかし門田は、レンの家庭の幸せのためにはこうするしかなかったと胸の内を明かす。納得できない直輝だが、門田もまた、直輝がレンを操っていることに対して直輝を詰めた。その一方で、市民からはミスパンダに白黒つけてもらいたいという依頼が来るように。Mr.ノーコンプライアンス(佐藤二朗)は、相手の要望に振り回されないようにと、依頼に応えないことを直輝に指示した。しかし、直輝は過去の父・哲也(田中圭)の言葉が忘れられず、ミスパンダと共に勝手に事件を解決してしまう。その頃、報道番組のディレクター・神代(要潤)は、直輝とミスパンダのことを嗅ぎ回っていた。さらに、神代と同じ報道番組の記者・あずさ(白石聖)はMr.ノーコンプライアンスの娘であり、過去にコアラ男に人質にされていた経緯がある。直輝と付き合っていたが、直輝とレンが抱き合っている盗撮写真が「コアラ男」を名乗る何者かから送られてきて、不安を募らせていた……。


 それぞれの場所で作られていたコミュニティが徐々に接点を持ち始め、作品全体のキャラクターが複雑に絡み合うようになった。謎が解き明かされ、人間関係が明らかになると同時に、それぞれのキャラクターに対して不信感も募る。門田とレンの母・麻衣子(山口紗弥加)は、本当に描かれている通りの理由でレンとリコを入れ替えたのか、麻衣子がリコを疎んじる理由、そして囲碁喫茶GOBANの夫婦と麻衣子の関係、夫婦はどこまで事情を知っているのか……など疑い出すとキリがない。


 さらに、直輝が過去に父・哲也を亡くしている理由や、コアラ男の事件がどう関わってくるのかも忘れてはならない。本作の特徴的な演出は、核心ギリギリまでの情報が開示されていることだ。第4話では、哲也が亡くなっていることを直輝の友人が知っていたり、ミスパンダと直輝が行動を共にしていることを神代が気付いたことが明かされた。直輝とあずさの関係、Mr.ノーコンプライアンスと法務大臣・佐島源造が同一人物であること、門田の催眠でレンとリコが入れ替わっていることなど、本来なら作品の最後に明かされるようなネタが序盤から勢いよく明かされているのだ。


 しかし、これは思わぬミスリードにつながる可能性も秘めている。我々は明かされた情報に対して、“知りたかったことが知れた”という爽快感で、ついキャラクターの発言に信頼を寄せてしまう。本作に隠された謎がどこまで大きな繋がりを持っているのか、さらにはどのキャラクターが信頼に値する人物なのか。本作は情報を出すことで、その判断力を煙に巻いている。まるでミスパンダと飼育員さんのように。翻弄されながらも謎が明かされるスッキリ感にやみつきになる本作は、キャッチーな“ミスパンダ”というキャラクターに惑わされる極上のミステリーだろう。


(Nana Numoto)