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「業績下がれば社長やめる」宣言の真意は?ストライプインターナショナル石川康晴社長2020年のチャレンジと戦略

2020年01月31日 18:12  Fashionsnap.com

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ストライプインターナショナル 石川康晴 代表取締役社長 Image by: FASHIONSNAP.COM
ストライプインターナショナルが、2020年度の事業計画を発表した。今月行った新年会で社員に向けて「2019年より業績が下がれば社長をやめる」と宣言した石川康晴代表取締役社長。「ニートになる覚悟はあるので、チャレンジしたいと思っています。日本も海外もダイナミックに」と話し、国内店舗の出店加速から海外戦略の強化、新規事業の立ち上げまで様々な計画を打ち出している。
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 グループの業績は、2019年度の連結売上高が1,389億円の見込みで、2020年度の目標は前年比101.4%の1,409億円。粗利率5.4%の良化を目指すほか、営業利益は前年度比50億円の拡大を図る。
 今年度の国内SPA事業では、AIを活用した在庫最適化により、昨年17%(約430億円)削減した仕入高をさらに2%(約35億円)削減する計画だ。在庫最適化の次なる一手として、今年度はMD構成を季節軸から気温軸に変更する。その背景について石川社長は「アパレル業界ではよく『暖冬だったから売れなかった』と言い訳するが、何十年同じことを言っているのだろうかと。春夏秋冬に梅春と晩夏を加えた6回のMDが常識だったが大改革する」と説明。気象庁のデータなどを学習させたAIの需要予測と共に、-3度から36度までの気温3度ごとの14回に分けて商品を企画し、気温に合わせて適切な時期に商品を投入することで、余剰在庫の削減やセール期間の縮小を図るという。
 また、国内の実店舗においては「アメリカン ホリック(AMERICAN HOLIC)」「サマンサ モスモス(Samansa Mos2)「メゾン ド フルール(Maison de FLEUR)」をはじめ、計113店舗を新規出店する。
 このほか、ECモール「ストライプデパートメント」で昨年提供を開始した百貨店向け新サービス「ダース(DaaS=Department EC as a Service)」に注力。2020年上期に新たに5社との提携が決定している。また、「2020」のロゴをあしらったアイテムの発売や、「ホテル コエ トーキョー(hotel koe tokyo)」でのイベントを多数計画するなど、オリンピックイヤーならではの様々な取り組みを打ち出す予定だ。
 新規事業では、音楽プラットフォームの開発を課題が多いながらも引き続き進めるほか、新たにアウトドア事業に参入。アウトドア向けのウェア開発や、自然を感じながら食事が楽しめるレストランの開業などを計画しているという。
 海外事業においては、東南アジアおよび中国市場の出店を強化。今夏にはフィリピン市場に新規参入するほか、ベトナムでは昨年買収した大手シューズ・バッグメーカーGlobal Fashion Trading Corp.のブランド「バスカラ(VASCARA)」事業の強化、中国ではフランチャイズ20店舗を出店する計画だ。中国では現在、新型コロナウイルスの感染が拡大しているが、現地の医療関係者から正しい情報を得た上で、日本から現地にマスクを送るなどの対応をしながら営業を続けているという。
 なお、上場についてはこれまでの発表通り2020年後半を目処としているが、具体的な時期については未定となっている。
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