東京商工リサーチは1月30日、昨年倒産した障害者福祉事業者の数が前年比30.4%増の30件にのぼったと発表した。過去20年で最多という。小規模事業者の販売不振や放漫経営が目立ち、人手不足関連の倒産も5件あった。
調査は障害者を支援する生活介護やグループホームなどの障害者福祉サービスを手掛ける企業の倒産を集計し、それぞれの原因を分析した。
13年施行「障害者総合支援法」以降に急増 根底にあるのは"安易な参入"
これまでの最多は17、18年の各23件。2000年の調査開始以降、06年まで障害者福祉事業者の倒産はゼロだった。07、10年には1件あったものの、続く08~09、11年は再びゼロに。翌12、13年ごろから倒産件数が急増し始めた。
同社は、倒産増の原因について13年4月施行の「障害者総合支援法」で、民間企業参入の敷居が低くなり、給付金や補助金を頼りにした企業が大幅に増加したことを挙げている。
倒産原因別にみると、最多の「販売不振」(53.3%)が約半数を占めた。次いで「事業上の失敗」(20%)、「運転資金の欠如」(13.3%)が続いた。負債額別では、1億円未満が83.3%と8割を上回り、ほとんどを小規模事業者が占めていた。
従業員数別では「5人未満」(70%)が多数を占めた。以降も「5人以上10人未満」(16.6%)、「10人以上は4件」(13.3%)と少人数による運営背景がうかがえる。
地域別では「近畿」(36.6%)が最多。次いで「関東」(23.3%)、「九州」(20%)、「北海道」(10%)、「中部」(6.6%)、「中国」(3.3%)と続いた。一方、「東北」「北陸」「四国」では倒産がなかった。