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『龍が如く7 光と闇の行方』は“サブカル小ネタ”の特盛ゲームだ

2020年01月31日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)SEGA

 1月16日に発売され、各所で話題沸騰となっている『龍が如く7 光と闇の行方』。裏社会をモチーフにした渋いストーリーと豊富なコンテンツ量が特徴な『龍が如く』シリーズだが、本作も例外ではなく膨大なサブカルチャーについての小ネタが含まれている。今回の記事では、そういった細部に注目していこう。


(参考:中居正広、『龍が如く7』の大胆なゲームシステム刷新に戸惑い「ややこしくなったな~!」


 まず、今作の代表的なネタ要素である「スジモン」から見ていこう。歴代『如く』シリーズ作とは異なり、RPGとして生まれ変わった『龍が如く7 光と闇の行方』では、『ポケットモンスター』シリーズのパロディとして、敵キャラクターのことを「スジモン」と称し、図鑑に登録することができるなど、ちょっとしたコレクション要素が加わっている(といっても実際に捕まえるわけでなく、倒すだけで図鑑に登録されるのだが)。一定数図鑑に「スジモン」を登録すると、スジモンセンターにいるスジモン博士から報酬がもらえる、という仕組みだ。


 「スジモン」の特徴は多岐にわたっており、たとえば「鍼灸師系」カテゴリの最上位である「ハリ・レイザー」は、外部の痛みを一切感じないために顔が鍼まみれになっている。これは「ヘル・レイザー」シリーズ、そしてその代表的なキャラクターである「ピンヘッド」のパロディだ。「ピンヘッド」は究極の快楽のために自分の頭にピンを打っているというキャラクターなので、若干説明文もリンクしており面白い。


 また、露出狂であればコートを広げて攻撃をしてくるという具合に、スジモンたちは自らの個性にあった攻撃方法をとってくる。「ローションまみれ系」のスジモンは自らのローションによってすべってしまい、攻撃ができないターンが存在する、など、戦闘シーンは愉快な小ネタにまみれており、プレイしていて飽きないようになっている。


 キャラクターに仕込まれた小ネタはスジモンだけではない。たとえば本作の目玉ミニゲームのうちの一つである「会社経営」に登場する社員も、よくみると元ネタがある人物だったりする。たとえば「半澤」というキャラクターは、正義感の強さゆえ退職に追い込まれ、リベンジを目指す元銀行員との説明文で分かるように、『半沢直樹』が元ネタかと思われる。


 かつて奇才ゲームクリエイターとして名を馳せていた、という触れ込みの「テクノ・ユータ」は、おそらく『ときめきメモリアル』シリーズで知られる「メタル・ユーキ」こと斎藤幹雄氏が元ネタだろう。と、こういう最近の若い人は知らなそうなマニアック気味の小ネタもたくさん含まれているのが本作の特徴で、おそらく筆者も気づいていないようなものがまだ膨大にあるのだろう。


 パーティーメンバーとの日常会話が楽しめる「パーティーチャット」では、ホームレスの「ナンバ」を演じた安田顕氏に絡んだ小ネタが展開される。例えば「牛乳を吐く」ことにまつわる会話は、彼が『水曜どうでしょう』内の「対決列島」という企画で大量の牛乳を一気飲みした挙げ句に嘔吐してしまった“伝説の事件”が元ネタになっている。他にも“黄色いぬいぐるみ”や“エビチリ”について言及があったりと、本作には『水曜どうでしょう』ファンならニヤリとさせられる小ネタが多数含まれている。


 また、ナンバはレベルアップ時に「一つ上の男」というセリフを発するが、これは安田顕氏が『鈴井の巣』という番組の企画で「上野クリニック」にて包茎手術を行ったということに引っ掛けた小ネタになっている。『龍が如く』シリーズで演じた俳優にまつわる小ネタがここまで全面展開されるのは、本作が初めてではなかろうか。


 と、ここまででも本作の小ネタをすべて理解するためにはかなりのサブカルチャー知識が要求されることがわかっただろうが、恐ろしいことに『龍が如く7』ではその知識をプレイヤーに「要求」してくるミニゲーム、「資格学校」がある。「資格学校」はいわば四択クイズのミニゲームなのだが、その中でも特に「SEGA検定」は難しく、さながらSEGAのカルトクイズのようになっている。問題数はそう多くはないので何度もプレイすれば誰でもクリアできるが、SEGA知識に自信のあるかたはぜひ一発クリアを狙ってみるのもよいだろう。


 ほかにも、「冬のソナタ」を彷彿とさせる韓流ドラマが登場するサイドストーリーなど、『龍が如く7』には笑える小ネタがたくさん含まれている。もちろんシリーズファンに向けたような過去作キャラの再登場もあったりで、本作のボリュームはまさに「特盛」といったところ。そのすべてを理解するのは至難の業だと思うが、知識に自信があるプレイヤーは細部の小ネタ探しをする、というようなやり込みも楽しめるだろう。


 『龍が如く7 光と闇の行方』はPlayStation 4向けにPlayStation Storeや小売店などで絶賛発売中。膨大な小ネタに心躍るプレイヤーは、ぜひ手にとってみてほしい。


(文章書く彦)