トップへ

井筒和幸監督、8年ぶり新作映画『無頼』5月公開 松本利夫、柳ゆり菜ら出演

2020年01月28日 13:00  CINRA.NET

CINRA.NET

『無頼』 ©2020「無頼」製作委員会/チッチオフィルム
井筒和幸監督の映画『無頼』が5月16日から東京・新宿K's cinemaほか全国で順次公開される。

『パッチギ!』『黄金を抱いて翔べ』などを手掛けてきた井筒和幸監督にとって、約8年ぶりの新作となる同作の舞台は、太平洋戦争に敗れ、貧困と無秩序の中に放り出された日本。敗戦直後の動乱期、所得倍増計画、高度経済成長、政治の季節とオイルショック、バブルの狂騒と崩壊など変転を続けた昭和史を、世間という「良識の監獄」の外側で生き抜いた「あぶれ者」たちの群像劇を通して描く。

物語の主役となる伝説のアウトサイダー役を松本利夫(EXILE)が演じるほか、その妻・佳奈役に柳ゆり菜がキャスティング。共演者には、中村達也、ラサール石井、小木茂光、木下ほうか、升毅、隆大介、外波山文明、三上寛が名を連ねる。さらにオーディションで選ばれた総勢300人の俳優陣が出演。

■井筒和幸監督のコメント
改めて振り返ってみると、社会のあぶれ者、はみ出し者ばかり描いてきました。デビュー作の『ガキ帝国』では1968年、大阪ミナミを闊歩する少年院上がりの不良少年たちを。『犬死にせしもの』では終戦直後、陸軍の復員兵上がりの無法者たちを。『岸和田少年愚連隊』では1976年、大阪の田舎町にくすぶる格差教育の落ちこぼれの不良少年どもを。『パッチギ!』では1968年、京都ゼロ番地に生きる在日朝鮮人の高校生たちを。『ヒーローショー』では2010年、都市部を彷徨うまさに平成の「失われた世代」のはぐれ者たちを。そして『黄金を抱いて翔べ』では金塊強奪の夢に命を賭けた虚無的な流れ者たちを──。時代や設定こそ違えど、登場人物たちは誰もが社会から無用とされ、貧困と差別、汚辱に暴力で抗ってきた「寄る辺なき者たち」だと言えます。今回の『無頼』でもやはりスクリーンを彩るのは、欲望の昭和を徒手空拳で生き抜いた、文字どおり無頼の徒たちです。
時代は昭和から平成、令和へと移っても、貧困や差別、孤立は何も変わっていません。本作ではアウトロー社会という、世間の良識から排除されたネガ画像をあえて描くことで、僕なりの昭和史を逆照射してみたいという思いもありました。ことの是非を語るのではなく、ただ、こんなふうに無頼な生き方を通した男たちがいたということを、現代の若者に見せたいと思ったんです。そして、自分を抑えつけるあらゆる抑圧に対して一歩も引かなかった彼らの人生を通じて、“くじけるな、寄る辺なきこの世界を生き抜け”と励ましてあげたい。それがこのシャシンに込めた、映画作家としての僕の願いです。