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『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』で親が学ぶべき「就活の現状」と「してはいけないこと」

2020年01月21日 18:50  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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売り手市場と言われる昨今、「いまの大学生(わが子)の就職は楽勝のはず」と考える親御さんもいるだろう。ところが就活生の7人に1人は「就活うつ」になるというデータもあるほど、いまの就活は過酷だ。

今回ご紹介する『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』(日経BP)は、就活生の親に向けた就活支援本である。子どもをホワイト企業に入社させることを目的としている本書は、まず親に対して「あなたの時代とはこんなに違う」と教え、ギャップを埋めるところから始まる。親子間の齟齬をなくし、いまの就活戦線で押さえておくべき情報が満載の良書となっている。(文:篠原みつき)

「東大にも入れたのに、なんでそんな会社にしか入れないの!?」

著者の竹内健登(たけうちけんと)氏は、東京大学工学部卒。デトロイトトーマツグループの人材戦略コンサルタントを経て、現在はAvalon Consultingの取締役社長、就活コンサルタントとして全国の大学生へ就職指導を行っている。

華やかな経歴の著者だが、過去には就活に失敗し、母親から「せっかく20年間育てて東大にも入れたのに、なんでそんな会社にしか入れないの!?」と言われて精神がずたずたになった経験があるという。

1年間の就職留年(休学)でビジネススクールに通い、前述のキャリアを始めることができたが、後に3歳年下の東大薬学部の弟が、大手製薬会社から軒並み不採用になる。これに疑問を抱いた著者は、就活について徹底研究。5年かけて「就活の真実」にたどり着いたという。

それを紹介する前に、著者は

「親御さんの時代錯誤な考えや結果につながらないアドバイスは、『毒』にしかなりません」

と釘を刺す。その上で、「親の時代」と「いまの就活」との違いを3つあげている。

(1)就活が自由競争化した

かつては教授や研究室のコネや、就職課の求人票で行なっていたが、今はネットを介した他大学の学生との自由競争。優良企業ランキング上位の応募倍率は1000倍を超えることも。

(2)大学生が多すぎる

親の世代の進学率は30~40%で大学生の希少価値が高かったが、今は50%を超えている。

(3)「求める人材」レベルが上昇している

バブル期の大量採用とは違い、いまは大半の企業が少数精鋭に転換している。文系理系を問わず高いコミュニケーション能力が求められ、外国人との折衝能力を必須にしている企業もあるという。

つまり、今の学生が置かれている就活は、売り手市場どころか苛烈を極めているのだ。

一流ホワイト企業が求める3つの"就活生に求める能力"

著者いわく、一流ホワイト企業に"入れる人"と"入れない人"の違いとは、「留学経験の有無」や「大学のブランド」、「大学で優秀な成績を収めていること」とは関係ないという(もちろん学歴フィルターがあることは否定していないが)。本質的に企業が就活生に求める力は、以下の3つになる。

(1)IQ―「筋道立った思考ができるか」「論理的思考力があるか」
(2)EQ―心の知能指数「自他の感情を認識し、それをコントロールする力」「他人を尊重し、共感し、配慮する力」
(3)就活力―「就職活動をうまくこなす能力」

(1)と(2)は、つまり知力と社会性だ。これらはレベルの差こそあれ、どんな企業でも求める能力ではないだろうか。本書では、これらを親が客観的に見極めたり、伸ばしたりする方法が示されている。

(3)の"就活力"とは、「スケジュール管理」「自己分析」「業界研究企業研究」「文章力」、身だしなみやマナーまで含む。一流ホワイト企業ならではの難易度の高いES(エントリーシート)の書き方については、「1つの問いに対しては、言いたいことを1つに絞る」「最初に結論を書く(結論→根拠・具体例)」「字数が埋まらなければ具体例でかさ増しする」など、ポイントや具体例を示した実践的な内容となっている。

「就活は子育ての総仕上げ」一番身近な親が適切な支援を

それにしても、いまの就活で必要なスキルのなんと多いことか。不調が続けば「就活うつ」にもなりかねない。そんなとき孤独な戦いをするか、一番身近な親が適切な対応をしてくれるか否かは大きな問題だ。本書を読むと、「就活は子育ての総仕上げ」と銘打つのもよくわかる。

とはいえ、支援に熱くなりすぎて「してはいけないこと」として、

「お子さんの進路や内定先に関して自分の時代のことを例に挙げて否定する」
「受けるべき企業を親御さんの基準で選んで、リストアップする」
「面接会場や企業説明会についてくる」

など10項目もあげているので注意が必要だ。

なかには、「うちの子は一流企業なんて……」と諦めている親御さんもいるかもしれないが、何の知識もなく的外れな言動でお子さんを追い詰めないためにも、読んで損はない一冊としてお薦めしたい。