働き方改革の一環として、2019年から有給休暇の義務化が始まった。大企業も中小企業も10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者に対して、年5日間の有給休暇を取得させなければならない。
2020年の4月で義務化から1年となるが、実際に現場で有休消化はできているのだろうか。企業口コミサイト「キャリコネ」に寄せられた有休消化に関する口コミを見てみよう。【参照元:キャリコネ】
「分業も進み有給消化率も全社で85%」
「有休消化に関して必ず5日以上消化するようにされているので、休みについては客先調整さえすれば、必ずとれます」(ソフトウェア関連職、20代前半、女性、正社員、年収342万円)
「残業は部署により異なるが全般的に30時間以内を死守しており、非常にワークライフバランスが取れた企業へと変わっている。一昔前のIT企業とは異なり分業も進み、有休消化率も全社で85%を掲げている」(営業、40代前半、男性、正社員、年収1200万円)
働き方改革により有休取得義務化に企業が取り組むようになった影響から、実際に5日以上有休を取得できているという口コミが見られた。またワークシェアリングも進み、会社の有休取得率が増えたという体験談もあった。
長時間労働が染み付いている日本企業では、有休を申請することに抵抗や遠慮がある社員もまだ多いかもしれない。しかし企業が率先して休みやすい制度や雰囲気を作り、休んでも仕事が滞らない分業体制を整えれば、有休を当たり前に使えるようになるだろう。
「有休完全消化が義務になっているが、休んだことにして仕事している」という人も
一方で、思ったようには取得できていないという声も根強い。
「休日、有休等も整備されているが、有休消化の取得等は積極的では無い。各部署単位で取得率も大きく違い、積極的な上長であれば取得も問題ないが、古風な上長に当たると、取得に関してかなり消極的」(企画営業、20代後半、男性、正社員、年収500万円)
「有休消化も100%が義務となっているが、人によっては休んだことにして出社し仕事をしている。その状況を上司も労働組合も見て見ぬふりをしている」(物流サービス、40代前半、男性、正社員、年収500万円)
「有休消化が高いように見えるがそれはリフレッシュ休暇があるから。土日と繋げて3日間有休を使うという制度で、その時しか有休は使っていない」(ルートセールス、20代前半、男性、正社員、年収250万円)
「1年で有休の全消化を推奨しているので、勤続年数が長いと1年で20日消費しなくてはいけない。取りやすくするために指定日有休を設けてもらい会社側から消化するよう促される」(ホールスタッフ、30代前半、女性、正社員、年収400万円)
5日間の有休取得よりさらに進んだ取り組みとして、有休の100%消化を目指している企業もある。しかし、実態は休んだことにして働いているだけだという声もあり、なかなかうまくいっていない。また、5日間の有休は取れているものの、取得日を会社側から指定されている場合もあるようだ。
今回の有休取得義務化では、有休取得の「時季を指定」することは認められている。しかし可能な限り労働者の希望に沿った時季になるように意見を聴取することになっている。大企業・中小企業ともに、従業員全員の有給日程を調整するのは現実的に難しいだろう。しかし労働者が質の良い休暇を過ごすことで、生産性やパフォーマンスが高まるメリットも期待できる。企業は会社の成長のためにも、有休取得義務化に対応していく必要がある。【参照元:キャリコネ】