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『カスタムキャスト』1周年記念インタビュー:ユーザー発信で広がる“遊び”とVTuberの可能性

2020年01月17日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

カスタムキャスト

 ドワンゴとS-courtが提携し、KISSが制作・販売する『カスタムオーダーメイド3D2』を元に開発されたスマートフォン向けのVTuber/Vキャスター用配信アプリ「カスタムキャスト」。このサービスは、2018年10月にスタートすると、わずか11日間で100万ダウンロードを突破。細部までカスタマイズ可能なクオリティの高いキャラクターメイキング機能が搭載された配信用サービスとして人気を集めている。2019年10月に1周年を迎え、2年目に突入したカスタムキャストのこれまでや、今後のビジョンについて、株式会社カスタムキャストの代表取締役・川崎大和氏と、株式会社ドワンゴの栗栖到氏に聞いた。


(参考:kz(livetune)が考える、VTuber文化ならではの魅力「僕らが10年かけたことを、わずか2年でやってる」


・配信用とキャラメイク用の利用が半々に
――カスタムキャストは2018年10月のサービス開始から1年を迎えていますね。1年間を通して、今の率直な手応えとしてはどんなことを感じていますか?


川崎:カスタムキャストはバーチャルな配信をされる方々のための「配信アプリ」としてスタートさせたものですが、蓋を開けてみると、特に最初期は、機能のひとつだった「キャラクターエディット」の部分がユーザーの方々に受けていったという経緯がありました。ですが、この1年間を通して、本来サポートしたいと考えていた、僕らが「Vキャスター」と呼ぶ配信者の方々の利用も、成熟してきているのを感じます。もちろん、現在もキャラクターエディットは多くの方に楽しんでいただいているのですが、それに加えて僕らが想定していた形での利用も伸びているということについて、熱く感じているところですね。


――1年間を経て、もともと想定していた活用のされ方も広がっているのですね。


川崎:そうなんです。現在では、配信者としてアプリを利用される方と、キャラクターメイキングだけを楽しむ方の割合が、半々ぐらいになっています。もともとはプロというわけではない方たちが、カスタムキャストを介してVキャスターになっていくという部分は、僕らが本来手応えを感じるべきことだったので、ここにきて本来の目的に近づいている感覚です。また、カスタムキャストはアバターのつくり込みの要素が充実しているので、その作業を通して世界観や設定を考えることで、配信をはじめるハードルを乗り越えやすくなっているのかな、とも感じます。最初は「Vキャスターとして活動できますよ」と言われても実感が伴わない方が多かったと思いますが、次第にその部分が成熟してきている感覚です。


――サービス開始当初にキャラクターメイキングの要素で人気が出たことが、図らずもVキャスターとして活動をすることへの敷居を下げてくれた部分があるかもしれない、と。


川崎:それはすごくいいところだったのかな、と思います。開始当初はキャラクターメイキングに魅力を感じてくれた方々が中心でしたが、それは自分の中の理想を形にするひとつの具現化作業でもあり、同時に利用される方々の性癖暴露大会のようでもあって……(笑)。


栗栖:それが簡単にできるという手軽さや、多くの方がSNSを利用するツール=スマホでキャラメイキングができるというサービスの性質が、SNSでの拡散力にも繋がったと感じていました。ですが、それから1年経ってVキャスター配信の部分も、目に見えるような形で盛り上がってくださるようになっています。


川崎:おそらく、カスタムキャストをはじめた当初は、タイミングとしても、ちょっと早かったのかもしれないですね。あの当時というのは、みなさんバーチャルタレントの配信を観てはいたものの、「自分が配信する」という面では、まだ「どうしたらいいんだろう?」と感じる方も多かったと思うので。機能としてスマホで手軽にできるものがあっても、そこに心の壁が存在していたように思います。また、それを乗り越えて「配信しよう」と思っても、今度は「自分の声でやるのか?」「それともボイスチェンジャーを使うのか?」など、色々なことを考える必要がありました。ですが、世間一般にもバーチャルな配信者の方々の文化自体が盛り上がっていく中で、たとえば今では、女の子のアバターを使って男性が自分の声で配信することも、普通になってきていますよね。配信する側だけでなく、受け入れる側にも準備ができたことで、配信の敷居が下がってきているのは大きいのかもしれません。


――バーチャル文化自体の盛り上がりが、カスタムキャストの広がりにも繋がっていると。


川崎:実際、最近ではバーチャルタレントの方々の活躍を色んな場所で見る機会が増えるようになりました。広告にしてもそうですし、他の場面でもそうですが、僕自身も「ここまで色々な場面で活躍するようになってきているんだな」と実感します。企業さんから個人さんまで様々な方が活動していて、メディア露出も多くなってきているので、「みんなが普通に使い出しているんだな」「手軽に使えるようになってきているんだな」と感じています。


――カスタムキャストは、キャラクターメイキングの機能に注目が集まったことで、サービス開始後わずか11日間で100万ダウンロードを突破しました。改めて振り返っていただきたいのですが、開始当初に嬉しかった反響というと、どういうものだったのでしょう?


川崎:当初は、嬉しいというよりも、とにかく驚いたという感覚でしかなかったです(笑)。当時は僕たち自身も自分たちが何者であるかよく分かっていなかったですし、なぜ多くの方が使ってくださっているのかも分かっていなかったので、本当に驚きで。


――あの当時、たとえば自分の周りでも、本来2次元文化に興味がないような人からも、「面白いアプリを見つけた」とカスタムキャストの話を聞くことがよくありました。


川崎:僕の知人からも、同じような話を聞きました。開始当初はそういった広がりを感じる機会がとても多かったです。カスタムキャストは配信者の方々のためにつくったサービスで、当初は一般の方々がキャラメイクを楽しむために用意したものではなかったので、色々な方が利用してくださることに驚いていました。これについては、クリエイター層の方々が、当初からキャラクターメイキングの楽しさを広げてくださっていた部分があったのですが、同時に、そんなふうに自分がつくったキャラクターをアップしてVRインスタのように楽しむことが、多くの人にも魅力として伝わりやすいものだったのかな、と思っています。


栗栖:また、そのようにキャラクターメイキングの機能が盛り上がっていった時点で印象的だったのは、本来私たちが配信者の方に向けて、「自分のアバター(=配信用の私/僕)」をつくるために用意したアプリに、「うちの子/うちの娘」をつくるという、自分ではない魅力を見出してくれたことでした。「そのニーズがこんなにあったんだ」と驚かされました。


――この部分は、カスタムキャストの大きな個性になっていますよね。サービスを利用される方々の中に、「配信を楽しむ方」「キャラメイクを楽しむ方」という形で何通りかのユーザーが生まれていて、「ニーズがひとつではなく複数存在している」と言いますか。


川崎:それは私たちにとっても大きな気づきでした。ですから、当初はVキャスターとしての機能の改善に注力しようと思っていたものの、(作成したキャラクターの写真/動画を自分で観て楽しむための)デコレーションの機能を強化するなど、アップデートの範囲が当初のロードマップにはなかったものにまで広がっていきました。純粋に配信ツールとしてだけ考えていたなら、「デコる」という機能は重視しなくてもよかったと思うんですよ。


――なるほど、複数のニーズについて、それぞれにサービスを充実させていったのですね。早い段階で、女性アバターだけではなく、男性アバターが実装されたのも印象的でした。


川崎:これは、ユーザーのみなさんの分布を調査してみたところ、女性の利用者が多いことが分かったのがきっかけです。その方々からの要望として、「男性キャラクターもつくりたい」という意見がたくさん届いていたんです。これも最初の予定にはなかったものでした。


栗栖:その結果、男性アバターをつくる機能を2019年の1月末にローンチしました。


川崎:リリース時にも非常に大きな反響をいただきました。


――ちなみに、利用者の男女比はどんな割合になっているのでしょう?


栗栖:男女比についても、開始当初からずっと半々ぐらいですね。当初から私たちの予想以上に女性ユーザーの方が多く、それが今でもほとんど変わっていないという状態です。


――カスタムキャストさんの場合、もともとは男性向けの文脈で開発された『カスタムオーダーメイド3D2』のキャラクターメイキング技術がもとになって生まれたサービスだということを考えると、当初から男女比が半々だったというのはすごいことですね。


川崎:そうなんですよ。『カスタムオーダーメイド3D2』を開発をしたときは、もともと女性ユーザーの方々を想定していなかったと言いますか、その目線を持つ必要がなかったんです。ですから、カスタムキャストではコスチュームのデザインを考える際にも、女性スタッフの意見を参考にして、女性ユーザーの方々の目線を取り入れていきました。これは、作成したキャラクターを撮影するフレームや、キャラクターのポージングなどについても同じです。その部分でも、女性のデザイナーに入ってもらったりして進めていきました。


――なるほど。アバターだけではなく、ポージングや撮影用のフレームも、男性ユーザー/女性ユーザーによって、それぞれ求めるものが違ってくるんですね。


川崎:そうなんです。ポージングひとつ取っても、男性に受けるものと女性に受けるものはまた違いますから、そういう部分も1年間を通して変わってきたところだと思います。


・「結局、ユーザーさんにはかなわない」(栗栖)
――「THE SEED ONLINE」との提携などについては、どんなふうに進めていかれたのですか?


川崎:「THE SEED ONLINE」は、もともとバーチャルキャストさんが開発されたもので、サービスの開始当初から「一緒に連携していきましょう」という形で相談をしていました。それが標準化していって、VRMフォーマットが共通言語化していったので、カスタムキャストでつくったキャラクターを出力していただくひとつの場所になっていただいています。


――キャラクター/アバターの活躍の舞台を広げていくための試みですね。


川崎:そうですね。僕らはアバターを出力する側で、バーチャルキャスト社さんが広げる側になってくださっていますね。


――他にサービスを進めていく中で、大事な気づきなどがあれば教えていただけますか?


栗栖:それはやはり、「結局、ユーザーさんにはかなわない」ということだと思います。コスチュームを実装しても、我々が「こういう使い方をしてくれるだろう」と想定していたことからは予測できない使い方をしてくださる方が多いんです。人によってはスカートをかぶってみる方もいますし、想定していなかった着回しをされる方もいらっしゃいますので。


――ある意味では、ユーザーの方々と一緒にサービスを発展させているような感覚なのかもしれませんね。


川崎:本当にそうですよね。そういった部分はすごく大きいと思います。


栗栖:そして、運営はいつも負けている、と言いますか(笑)。


――いえいえ(笑)。


栗栖:たとえば、配信者の方々に向けてコンテストを開催するにあたっても、「こんなコンテストがいい」というアイディアを、ユーザーさんが出してくださることがありますし、独自に採点ルールを決めて楽しむ方々もいて、我々もそれを見て、「そういうものが嬉しいんだ」と気づく瞬間があります。ですから、私たちは運営として環境を整えることを大切にして、出しゃばりすぎずに、ユーザーの方々が楽しめる場所を整えたいと思っているんです。


川崎:また、これは流れが一周してきているということかもしれませんが、ユーザーの方にうけるコスチュームが、一般的なものから、よりエッジの効いたものが好まれる方向に変わってきていることも感じます。たとえば、最近では季節ものの水着のようなコスチュームも好まれていますし、最近のアップデートでは、水着と上着を同時に着られるというアップデートを実装しました。ただ、エッジの効いたコスチュームを出せば出すほど、配信者の方々からすると、「もうちょっと普段着感覚で着られるものがほしい」という要望も生まれるので、配信をされる方とキャラメイキングだけを楽しまれる方のニーズに対して、バランスを取ることの大切さも感じているところです。


――現在のところ、配信を楽しむ方々と、キャラメイクを楽しむ方々は、それぞれクロスオーバーしているような状況にもあるのでしょうか?


川崎:いえ、現状ではそれぞれのユーザーの方々は層として分かれている印象で、どちらかに魅力を感じて、それぞれの興味に応じて使っていただいているような状況だと思います。


栗栖:そうやって2つの目的で利用している方々が、よりクロスオーバーするような状況を整えることも、これからは必要なのかもしれませんね。たとえば、キャラメイキングが得意な方がつくったアバターを使って、配信をしたい方が配信者として活動する、という状況が生まれてもいいかもしれません。喋る方、絵を描く方など、ユーザーさんがそれぞれに得意な能力を生かして楽しんでくださって、そうした人々が集まってくるような場所/文化が生まれることがあれば、それはとてもニコニコっぽいカルチャーだと思いますので。


――配信が好きな方、キャラクターメイキングが好きな方のそれぞれにおいて、開始当初とは「遊び方の変化」のようなものを感じている部分はありますか?


川崎:「遊び方の変化」というよりも、その「クオリティの変化」を感じている、ということはあるかもしれません。配信をされている方も、キャラクターメイキングを楽しまれている方も、それぞれにスキルが上がっていらっしゃって、とてもクオリティの高い配信/キャラクターメイクが生まれているのは、僕らとしても嬉しいです。また、キャラクターに設定や物語を加えて楽しむ方が増えてきたりもしていますし、一方でイラストを描かれる方が「カスタムキャストをポーズの参考にするために使う」ということも起きていたりと、新しい楽しみ方や活用法をユーザーの方々が見つけてくださったりもしています。SNSで自ら作成したキャラクターをつかったコラボ画像をつくってくださる方もいますね。


栗栖:今では配信者の方々がたくさんギフトをもらってコンテストやイベントで優勝するために、熱い気持ちで配信を行なったり、中にはイベントの終盤になると、泣きながら自分の優勝への想いを伝えている方もいて、カスタムキャストがそんなふうに熱くなってもらえる場所になっているということにも、嬉しさを感じたりしています。


――人々が夢中になれるような場所になってきているということですね。お2人が、バーチャルな配信ならではの魅力を感じた瞬間なども教えていただけますか?


川崎:僕たちは公式放送を担当しているので、その機会にみなさんの画像や動画を投稿していただいて、そこで何かを感じたり、色々なことを気づかされることはとても多いです。


――ライブ配信をされている方ですと、何かハプニングが起こったときの対応に多くの方が惹かれたりするということが起こったりもして、そういった部分もとても面白いですよね。その方の人間性が見えて、そこに惹かれるような魅力があると言いますか。


川崎:そうですよね。予定調和では終わらないからこそ、みんなが楽しめるということで。


栗栖:また、バーチャルな配信者の方々には、それぞれが自分の理想の姿を手に入れられる楽しさを感じる一方で、中には自分の顔を出している方もいるんです。そういう意味でも、単純に理想の容姿を手に入れられるというだけではない魅力があるのかな、と感じる瞬間もあると思います。カスタムキャストを通じて理想のアバターをつくっていただくことで、自分や周りの方々の気づかなかった好みに気づくこともあるかもしれません。たとえば、「ああ、川崎さんはこんなキャラクターをつくるんだ。こんなものが好きなんだ」と(笑)。


川崎:人がつくったものを見て、自分の好みに気づかされるような瞬間もありますよね。


――お2人は、現時点での「カスタムキャストの個性」はどんなものだと感じていますか?


川崎:僕自身は客観的に見られないところがあるんですよ。自分の場合、ずっとやってきたものが現在のカスタムキャストのサービスに繋がっている部分があるので、たとえば栗栖さんが驚かれることと、僕自身が驚くことというのが、いつもずれていたりするんです。


栗栖:たとえば僕が「こんなに細かくキャラクターメイキングができるのか?!」と驚いたとしても、川崎さんはずっとそれをやってきた方なので、それは普通のことになっていて。


川崎:そういうことが多くあるんです。


――むしろ、カスタムキャストのサービスがはじまって、多くの人が「こういうことに驚くのか?!」ということを実感している、というイメージですか。


川崎:キャラクターメイキングの機能に関しては、そういう感覚なんだと思います。ですが、一方でVキャスター、VTuberの方々の配信文化に関しては、日々驚くことがたくさんありますし、バーチャルキャラクターの理念についても、「自分の中ではこう持つべきなのかな」というものが、ふつふつと湧いてきている状態なんですよ。特にここ半年ぐらいは、それをすごく感じています。ユーザーのみなさんには、手軽に遊んでいただいて、配信を楽しんでいただくことが一番ですが、僕個人としては、「キャラクターやバーチャルな配信者の方々の未来というのは、どうあるべきなんだろう?」ということも、より考えるようになっていて。そういう自分の中での解釈の仕方が、どんどん生まれてきているのを感じています。


――それはきっと、カスタムキャストを通じてサービスを続けてこられたからこそですね。


川崎:そうなんですよ。僕はカスタムキャストをはじめる前は、ただゲームをつくっていた人間だったので、そのままだったら、こんなことを考えるようにはならなかったですから。


・「ニヤニヤできるようなことも考えています」(川崎)
――これはカスタムキャストというよりも、純粋に川崎さんが思うこととしてうかがいたいのですが、その「バーチャル配信者の可能性/理念」とは、どんなものなのでしょう?


川崎:自分が考えているのはシンプルなことで、他の方も言ってらっしゃいますが、「魂の位置がどの辺りにあるのか」ということですね。その際、「中の演者の方が魂である」ということが、一応は今の回答になっていると思うんですが、僕個人としてはそこに少し違和感があって、「それはバーチャルキャラクターではないのでは?」とも思うんです。むしろ、アバターと演者の間にあるものが、本来のバーチャルキャラクターの魂ではないのかな、と。


――実際のところ、バーチャル配信者の方々の活動というのは、「魂」と呼ばれる中の方の存在だけで成り立つものではないですよね。


川崎:そう思うんです。むしろその方々と、アバター/キャラクターとの間に、バーチャルキャラクターならではの魂が存在しているんじゃないかと。そして、個人的には、そこから何か違う形に進化していくのかな、と感じているんです。もちろん、今の在り方を否定するわけではないのですが、そういう解釈の仕方もあるのかな、と。その解釈や技術革新をどうすればいいのかな、どうあることが自分たちの納得できる形なのかな、ということを考えつつも、お客さんの遊び方が変わることで気づいていくのか、視聴者さんが求めていることによって変化が生まれるのかは分かりませんが、これからも色々な変化が生まれていくのかな、と思っています。僕らがやりたいのは難しいことではなく、純粋にユーザーのみなさんと楽しめる場所を提供したい、ということなので、それを目指してやっているところですね。


――バーチャルな配信の今後の可能性については、どう感じられていますか?


川崎:たとえば、アプリケーションの中でできることって、まだまだ非常に多いんじゃないかと思うんですよ。今の配信方法だけではなくて、このアプリを使って、もっと新しい遊び方が考えられるんじゃないかな、と感じているので。そういう遊び方が増えていくと、配信自体ももっと盛り上がるのかな、と思いますし、このアプリならではの形を追求してもいいのかな、というのが、昨今特に感じていることです。各社から色々な配信用アプリが出ていて、それぞれに特徴が違うので、僕たちの場合は「カスタムキャストだからできること」を考えていこうと思っていて。それを整えていくのが、カスタムキャストにとっての次の段階になっていくのかな、と感じています。これについては、既に自分の中で考えていることがいくつかあり、より違った楽しみ方もできるようになるんじゃないかと思っています。


――では最後に、みなさんがこの1年間で特に嬉しく感じたことを教えてください。


川崎:まずはやはり、サービス開始当初に100万ダウンロードを達成したことですね。もちろん、これは狙っていたことではなく、図らずもいただいたプレゼントでした。カスタムキャストは配信者の方々に向けて立ち上げたアプリですから、開始当初にバーチャルな配信者として活動されていた方がおそらく3000~5000人ほどだったと考えると、そんな状況は想定してもいなかったことだったんです。


栗栖:また、最初の頃は目新しいものとして利用されていたものが、今では継続して遊んでいただけるものになってきている、ということも嬉しく感じています。そもそも、「1年後も続いている」こと自体が、嬉しいことなのかもしれません(笑)。


川崎:本当にそうですね(笑)。


栗栖:VRMの普及なども含めて、業界全体で盛り上げていけたらと思っています。カスタムキャストは、ゲームのようにゴールがあるサービスではありませんから、みなさんが今も飽きずに使っていただいていることを、とても嬉しく思います。


川崎:そうですね。カスタムキャストの場合は、当初の僕らの想定を超えた形で、ユーザーの方々が様々な遊び方を見つけてくださって、それがアプリケーションとしての継続利用に繋がった部分があります。ですから、「みなさん、よく使ってくださったな」と思いますし、そこに対して僕らがどういうことをやっていかなければいけないかについても、思いを巡らせています。具体的には言えないですが、みなさんがニヤニヤできるようなことも考えていますので、楽しみにしていてください。実は10~20代の方だけではなく、様々な世代の方々に楽しんでもらってもいますので、色んな側面で魅力を感じてくださっていることを踏まえつつ、これからもみなさんが楽しめるようなものを提供したいと思っています。


(杉山仁)