エン・ジャパンは1月15日、「働き方改革法」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は、昨年の11月半ばから12月上旬にかけてインターネット上で実施。同社運営の「人事のミカタ」を利用する、従業員が1000人未満の企業の人事担当者を対象に、509社から回答を得た。
「働き方改革法」の認知率は99%(内容を含め知っている:45%、概要だけ知っている:54%)。働き方改革法への対応状況については、完全に対応した企業は5%に留まったものの、55%がおおむね対応を終えたと回答した。企業規模別にみると、対応した企業の割合は企業規模に比例する傾向にある。
「大義名分があるので休みやすいが、仕事が減るわけでもない」という声も
実際に対応が進んでいる項目は「年次有休取得」の義務化だ。83%が対応しており、法整備によって有休がとりやすい職場づくりが進んでいる。
一方で対応に課題を残すのは「高度プロフェッショナル制度の創設」だ。対応している企業は24%程度で「全く対応できていない」企業が3割もある。高度プロフェッショナル制度とは、高度の知識や技術を持ち、一定の年収を超える専門職を対象に労働時間の規制を外す仕組みのこと。適用条件が厳しく導入に苦労している企業は多いようだ。
働き方改革の推進によって、経営に「支障が出ている」と回答した企業は42%。具体的な項目としては、「時間外労働の上限規制」(65%)、「年次有給取得の義務化」(61%)、「同一労働同一賃金の義務化」(45%)であった。
「働き方改革法により、企業の労働環境や、日本が良くなっていると思うか」と聞いたところ、「変わらない」が最多で40%。企業からは、
「確かに大義名分があるので休みやすいが、仕事が減るわけでもない。業務を効率化して短時間で終わらせるのは理解できるが、中小企業は個々の事情があるのでそう簡単にはいかない」(広告・出版・マスコミ関連/50~99人)
といった声があがった。
「働き方に疑問を持ち、効率的な働き方を模索するようになった傾向は良いと思う」
しかし、「良くなっていると思う」(とても良くなっていると思う:1%、良くなっていると思う:30%)は「悪くなっていると思う」(9%)を22ポイント上回っている。
「法律を理由に、有給消化や残業減を言いやすくなったと考えます。当たり前の権利を行使できない経営は淘汰されるべき。結果、日本経済にとっても労働者にとっても有益だと思う」(商社/100~299人)
「もっと抜本的に、法令を厳しくして実施したほうが良いと思うが、若い人を中心に、日本の働き方自体に疑問を持ち、効率的な働き方を模索するようになった傾向は良いと思います」(サービス関連/100~299人)
といった声が多く挙がった。働き方改革のさらなる普及によって労働環境が改善されることを期待したい。