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『PUBG Lite』は他の無料バトロワに勝てるか? “軽量化版”のメリットを探る

2020年01月15日 07:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2019年は様々なゲームがリリースされたが、やはり流行ったゲームとして外せないのは「バトロワ(バトルロイヤル)」ではないだろうか。以前から人気のジャンルではあるが、リスポーン・エンターテインメントから基本無料プレイの『Apex Legends』がリリースされ、多くのDL数を記録したことが記憶に新しい。


参考:『PUBG』から『Fortnite』『Apex Legends』まで バトロワ始めるならどのタイトル?


 今回はそんな「バトロワ」の原点ともいえる『PlayerUnknown’s Battlegrounds』こと『PUBG』の軽量化版としてリリースされた『PUBG Lite』を紹介したい。


・『PUBG』は“ヘビーなゲーム”だが……?
 『PUBG』はPC、PS4、Xbox Oneでリリースされているバトロワゲームだ。


 バトロワのゲームシステム自体は『PUBG』以前から確立されていたが、本作が大ヒットし、バトロワというゲームジャンルを育ててきたというのは事実だろう。そんなPUBGだが、その厳しいゲームルールに似てか、FHD(1920×1080)で60fps以上出すためには10万円ほどするゲーミングPCを必要とするなど、PCゲームとしては重めな部類で、初心者には厳しいものがあった。


 名前こそ知れているが、プレイするまでのハードルが高かったり、ほかのバトロワよりもシビアな戦いを求められたりと「初心者お断り」という空気が漂っているのも確か。「カジュアルにサクっとプレイする」というより、「腰を据えて鍛錬を積む」タイプのゲームといえるだろう。


・『PUBGモバイル』と『PUBG』のいいとこ取り
 スマホで手軽に遊ぶことができる『PUBGモバイル』もリリースされているが、『PUBG Lite』は『PUBGモバイル』と『PUBG』のハイブリッドといえるタイトルだ。


 『PUBGモバイル』のカジュアルさを取り入れつつ、『PUBG』の競技性や操作性、広大なマップでの戦闘を実現。加えて『PUBG Lite』は動作に必要な要求スペックがグッと下がり、基本無料プレイなので、プレイまでのハードルもかなり低いだろう。


・PUBGとPUBG Liteの要求スペックの違い
 軽量版と謳うだけあって、『PUBG』と比べると必要スペックはかなり低くなっている。とはいえCPUパワーはそれなりに必要なので、普段から使っているPCで動作可能かは調べておいたほうが良いだろう。


 公式は「ノートパソコンでも動作する」と謳っているが、それは本格的なゲーミングPCでなくても起動できるといった意味だ。要求スペックだけを見る限りでは、数年前のノートPCでも動作させることは可能だが、快適にプレイするのであればやはりゲーミングPCを用意する必要はあるだろう。


・容量も大幅ダウン
 『PUBG』と比べると、『PUBG Lite』は必要な保存容量も大幅に削減されている。『PUBG』が約30GBなのに比べ、『PUBG Lite』は約4GBと必要な保存容量が26GBも減っている。ノートパソコンでも動くと公式が謳っているだけあり、ストレージが比較的小さめのPCにも優しいデータ量だ。


 インストール時のダウンロードでもかなり早くできるので、固定回線の代わりにモバイルルーターを使っている人にとっても嬉しいだろう。


・『PUBG』モバイル寄りのカジュアルさ
 『PUBG Lite』はデイリーログインイベントやポップなスキンなど、『PUBGモバイル』のようなカジュアルさも兼ね備えているうえ、人数が足りない時には、CPUが操作するBOTが参戦することも確認されている。


 『PUBG』ではプレイヤー以外とマッチすることは100%ないが、『PUBG Lite』では『PUBGモバイル』同様にBOTとマッチすることもあるというのは頭に入れておこう。


 『PUBGモバイル』と同じく、アカウント作成直後の状態では敵のほとんどがBOTになり、プレイヤーはそのマッチに数人いるかいないか程度の状態でプレイすることとなる。すでにPUBGやPUBGモバイルをプレイしている人ならかなり楽にドン勝できると思うが、初戦でドン勝できたからといって、油断はしないほうがいいだろう。


・画面に表示される情報にも差が
 『PUBG Lite』は『PUBG』よりもカジュアル層をターゲットにしていることもあり、画面に様々な情報が表示されている。


 グレネードのピンを抜けば爆発までの秒数が表示され、マップには車が走る音や銃声が表示される。これらはPUBGにはない表示で、これがあることで初心者でも馴染みやすくなっていると感じた。


 その他にも本家『PUBG』に比べるとリコイル(射撃時の反動)が多少緩やかだったり、建物や遮蔽物が簡易化されていたりと、初心者でも楽しめるような調整が入っている。


 とはいえ、『PUBG』の軽量版という位置づけであるため、『PUBGモバイル』よりもグラフィックはキレイになっている印象だ。


 木々や草原の草、岩などのディテールはモバイルよりもアップしており、本家『PUBG』ほどのリアルさはではないが、画質は十分だ。『PUBG』で設定できるキーコンフィグやスコープの倍率ごとの感度設定なども健在なので、かなり細かく設定できる。


 カジュアル層向けでありつつも、ゲーマーにとってもプレイしやすい環境となっている。


・ライバルは『Fortnite』や『Apex Legends』
 『PUBG』はSteamで約3000円程度で販売されている有料ゲームだが、『PUBG Lite』は基本プレイ無料なので、購入する必要がないという点で、ハードルはかなり低い。


 だが、無料バトロワということは、ライバルとして挙がるのは『Fortnite』や『Apex Legends』といったタイトルになる。特に『Fortnite』は比較的低スペックでも動作するので、『PUBG Lite』とプレイヤー層が被ることとなる。


 『Fortnite』はマルチプラットフォーム対応で、PC、PS4、Switch、スマホのプレイヤーとマッチングすることも可能だが、『PUBG Lite』では『PUBG』や『PUBGモバイル』のプレイヤーとマッチングできないという制約がある。


 今まで『PUBG モバイル』を遊んでいたユーザーが『PUBG Lite』に移るとは考えづらいし、『PUBG』をプレイしていたユーザーは今後も『PUBG』を遊ぶ続けるだろう。そう考えると『PUBG Lite』を待っているのは、あまりポジティブではない未来かもしれない。


 多くのバトロワが無料で遊べてしまう今、PUBG Liteがどのようにプレイヤーを獲得するかが、2020年のバトロワシーンにおいて鍵を握ることになるだろう。


(tomokin)