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2020年はゲーム機業界再編の年? PS5のライバルはXbox Series XではなくNintendo Switch Proか

2020年01月14日 07:52  リアルサウンド

リアルサウンド

THEGAMER「Gaming Isn't Ready For 8K Resolution Yet」より

 2020年におけるゲーム業界で最注目のイベントと言えば、PS5のリリースだ。しかし、今年はほかにも注目すべきイベントがある。長年PSシリーズのライバルとされてきたあの大手テック系企業が開発するゲーム機シリーズの次世代機もリリースされ、かの日本企業からもサプライズが届けられそうなのだ。


(参考:PS5にはまだ発表していない機能がある? コントローラーには背面ボタンが実装される可能性も


・PS5とXbox Series Xの勝負の行方
 金融系ニュースメディア『The Motley Fool』は12日、次世代ゲーム機の覇権争いに関する考察記事を公開した。この記事で論じられているゲーム機はPS5とMicrosoftが開発中の次世代ゲーム機Xbox Series Xだ。PS5を開発するSonyは、ゲーム機業界をめぐる覇権を長年Microsoftと争ってきた。PS5とXbox Series Xの競争は、長年の覇権争いの最新形態なのだ。


 すでに各所で報道されている通り、PS5は4K画質に対応し、SSDを実装、そしてレイトレーシングを実現している。さらに後方互換性を確保し、Sonyが展開するゲームサブスクPS Nowもサポートする。対するXbox Series Xも4K画質対応でレイトレーシングを実現、後方互換性を確保し、MicrosoftのゲームサブスクXbox Game Passをサポート、将来的には新型ゲームサブスクxCloudもサポートする。仕様的にはPS5とXbox Series Xはほぼ同等なのである。


 もっとも、ふたつのゲーム機を細かく比較すると違いが見えてくる。PS5はPSVRを引き続きサポートするが、Xbox Series XはVR非対応である。また、PSシリーズは伝統的にXboxシリーズより低価格でもある。こうした違いを考慮すると、おそらくPS5がゲーム機業界の覇権を握ることが予想されるのだ。だからと言って、Xbox Series Xが売れないわけではない。Microsoftのゲーム機ビジネスは、今後も堅調に成長すると見られている。


・Nintendo Switch Proは4K対応?
 PS5とXbox Series Xの対決はPS5に軍配が上がると予想されるものも、PS5を脅かす思わぬ刺客の登場が噂されている。イギリスのタブロイド紙『EXPRESS』電子版が12日に公開した記事では、Nintendo Switchの上位モデルにあたるNintendo Switch Proのリリースに関する噂をまとめている。そんな噂のひとつとして台湾のテック系ニュースメディア『DigiTimes』の記事は、同ゲーム機が2020年半ばにリリースされるのではないか、と報じている。EXPRESSの記事は、今年のE3で同ゲーム機に関して何らかの発表があるのではないか、とも述べている。


 ゲームニュースメディア『gamesindustry.biz』は10日、Nintendo Switch Proの仕様を予想する記事を公開している。その記事では、Nintendo Switch Proの最大の特徴は4K画質のサポートになるだろうと述べている。4K画質に対応すれば、既存のNintendo Switchより高価格に設定してもプレイヤーを納得させられるだろう。


 Nintendo Switch Proが4K画質に対応した場合、PS5およびXbox Series Xと競合関係になるかも知れない。とは言うのも、Nintendo SwitchシリーズとPSシリーズおよびXboxシリーズではプレイできるゲームの傾向が異なるため、競合関係というよりは共存関係に落ち着くと考えるほうが妥当なように思われる。


・「8K対応ゲーム」時代はまだ来ない
 近年の動画コンテンツとゲームのトレンドを語るキーワードとして「4K画質」があり、一部では「8K」という表現も見られるようになった(例えば「NHK BS8K」)。こうしたなか、ゲームメディア『THEGAMER』は10日、8K画質のゲームの可能性を考察した記事を公開した。


 8K画質に対応したゲーム機開発の兆候は、実のところ、すでに確認されている。Xboxシリーズの開発を率いるPhil Spencer氏のTwitterのプロフィール画像には、Xbox Series Xに実装されると思われるチップ画像が設定されている。このチップに「8K」という刻印が確認できるのだ。


 8K画質に対応できたとしても、ゲームでは画質とともにFPS(1秒間に画面を描画する回数)が重要となる。高画質を実現できても、FPSが低い値だと快適なゲームの操作性が損なわれてしまうのだ。そして、ゲームの進化は伝統的にまず画質が向上した後に、フレームレートも向上するという歩みをたどってきた。例えば、2018年に発売された『アサシンクリード オデッセイ』の画質を最高に設定した場合、FPSは平均して30程度となる。一般に快適にプレイできるのはFPSが60以上なので、30だとゲームにおける動きに滑らかさが欠けてしまう。この事例は、2018年発売というあまり古くないゲームであってもFPSが画質に追いついていないことを示している。


 現在のゲームグラフィックをめぐる状況をアメリカに限定して見ると、一般家庭における4K対応テレビの普及率が2018年時点で32%である。また、PS4やXbox OneのすべてのゲームがHD画質の相当する1920 x 1080ビクセルに対応しているわけでもない。こうした状況をふまえると、8K画質を実現して快適にプレイできる60FPS以上を達成することが当たり前になる時代は、とうぶん先になると言わざるを得ないのだ。


 8K対応ゲームの時代は現実的ではないものも、4K対応ゲームの時代は現実的になりつつある。そして、2020年は後に「4Kゲーム時代元年」と呼ばれるようになるかも知れない。


(吉本幸記)